総合映画ポータルサイトとしてこれまでに確かな存在感を示し、多くの人に応えてきた
「Movie Walker」。今回は、この人気サイトの編集長、江崎毅さんにお話をうかがいました。


■「Movie Walker」はどんなかたちでスタートしたんですか?
江崎「2000年4月に「Movie Walker」の前身となるサイトがスタートしたのですが、そのときは雑誌の(東京ウォーカーなどの)各エリアの「ウォーカー」誌で掲載されている上映時間をそのまま掲載していたんですね。それが、次第にシネコンというものが増えてきて、雑誌ではパーフェクトな上映スケジュールの掲載ができなくなってきました。シネコンの上映時間は土曜日からの時間がその週の水曜日に決まったりします。雑誌では印刷などの工程の関係で締切までに情報が間に合わないんです。でも逆に、サイトであればそんな変化にも対応できます。今では全国の30名ほどのスタッフが随時取材をして、「ウォーカー」誌が発売されていない東北、北陸、甲信越、中国・四国、沖縄エリアなども含め、正確な上映時間をアップできるようになりました。2001年夏から取り組み始めて、2002年の末には全国エリアをすべてカバーすることができるようになりましたね。「Movie Walker」というサイト名で本格スタートしたのは2002年の7月からです。そのときから雑誌からは完全に独立して、サイト独自の企画やコンテンツもスタートしました」


■そのときはどんなコンセプトからサイトを考えたんですか?
江崎「そのスタートにあたって考えたコンセプトというのは、“雑誌の味わいも感じさせる映画サイト”というものでした。その頃の映画ポータルサイトは、データベースだったり掲示板サイトだったりっていう傾向のものが多かったんですね。それまで僕は雑誌編集という立場から映画というジャンルに接してきたので、インターネットの良さと雑誌の良さを組み合わせた映画の総合情報サイトを作りたいと思いました」


■なるほど。月平均のページビューはどのくらいなんですか?
江崎「ページビューは東京エリアのトップページで月間平均100万ぐらいです。サイト全体でいうと月間平均で1800万ぐらい。それは今もどんどん伸びている状態です。映画の上映時間を扱っているサイトはうちを含めて3つしかないのですが、そのなかでも「MovieWalker」は映画製作者連盟が発表している2850という全国のスクリーン数(2004年末発表数)のうち、成人映画や不定期上映館などの約200スクリーンを除いて、現時点で他のサイトよりも多い2700以上のスクリーンの映画館情報をカバーし、その約93%のスクリーンは上映時間の情報まで掲載しています。それが実際に映画館に足を運ぶユーザーの方の大きな信用につながっているのだと思います。1日計算だと平均60万ぐらいということになりますが、上映時間が更新される金曜日は週末の計画を立てるユーザーの方が多く訪れるので、平均75万ぐらいのページビューになります」


■メインユーザー層はどのあたりなんでしょうか?
江崎「メインユーザーは20代後半から30代の女性です。それもあって、ファーストビューではないにもかかわらず、「ゴシップ&ニュース」というコーナーの人気がかなり高いです。海外スターのいろんなゴシップネタを紹介するコーナーですが、この他にも例えば5月にアップしたカンヌ映画祭のレッドカーペットのフォトギャラリーといった特集などもとてもページビューが高く、ユーザーに求められているなあと感じますね。「ゴシップ&~」は海外にいるライターさんに情報を集めてもらっているのですが、なるべくレアなネタをお願いするよう強化したこともあって、僕らが知らないところで「2ちゃんねる」にそのネタのスレッドができて、その影響でさらにサイトに訪れる人が増えるということもあります」


■映画業界人をクローズアップした企画があるのも特徴のひとつですね。
江崎「そうですね。それほど業界人をフィーチャーしたコンテンツが多いわけではないのですが、例えば不定期連載している「映画館コラム」。これは全国各地の映画館の支配人の方を取材して、映画館の歴史をじっくりと語っていただくという内容です。このコラムなんかは逆に映画業界の方によく読まれていますね。ページビューが高くなるような情報や企画ももちろん大切ですが、このコラムのような、ちょっとマニアックなテイストのものも提供していきたい。年に1本しか映画を見ないような方から月に1本は映画を見る方まで、幅広いユーザーが訪れられるようなサイト作りがしたいと考えています。それがさっき申し上げた“雑誌の味わいを感じさせる”サイト作りということと通じるのだと思います。あと、東京の人だけではなく全国各エリアの方にも楽しんでいただきたいので、各地の映画イベント情報なども大切にしていますね」


■今後の展開は?
江崎「いくつか考えていることはあります。例えばブログを「Movie Walker」なりのアプローチで始めるなどして今あるコミュニティ色に広がりを持たせることだったり、手応えを感じている動画配信の部分を強化するといったことだったりですが、それをすることが「Movie Walker」をもうワンランク上げることにつながるんだと思いますね。みなさんも楽しみにしていてください」
「Movie Walker」:http://www.walkerplus.com/movie/



江崎毅さんプロフィール
「CITY ROAD」編集部を経て、1990年「東京ウォーカー」、1996年「東海ウォーカー」の各雑誌創刊に映画担当として参加。2001年よりウォーカープラスで、ネット編集者に。
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