TEXT BY ミドリ・モール(弁護士・ライター)


 アメリカの好景気を反映するかのように、活況を呈するハリウッド映画産業。興行収入は右肩上がりで、昨年の興行収入は75億ドル(約8,100億円)を記録した。約1,800億円という日本国内の興行収入と比べると4.5倍。アメリカの映画市場の巨大さが分かろうというもの。

 昨年は、合計461本の映画が全米で劇場公開された。中でも、メジャー・スタジオは圧倒的な強さを誇る。ディズニー、ワーナーブラザース、パラマウント、20世紀フォックス、ユニバーサル、ソニー・ピクチャーズ、MGMだけで、159本を配給し、興行収入の8割を稼ぎ出す。残りを、ドリームワークス、ニューライン、ミラマックス、アーティザンなどのミニ・メジャーか、スタジオから資金援助のないインディ映画が分け合う格好だ。

 では、メジャー・スタジオ制作の映画は、いったい1本あたりいくら儲けているのだろうか。159本の映画が、75億ドルの8割に当たる60億ドルの興行収入を支える。1本平均3,770万ドルの興行収入ということになる。大ざっぱに言って、興行収入の半分が配給会社のポケットに入るので、映画1本当たりの配給収入はざっと1,900万ドルとなる。

 一方で、メジャーの映画は1本当たり、5,150万ドルもの制作費がかかると言われる。さらに、映画のプリント代、広告宣伝費として、2,453万ドルかかる(いずれも米国映画協会調べ)。1本の映画が劇場で公開されるまでに、7,603万ドルかかる訳だ。差し引きすると、配給収入だけでは約5,703万ドルの赤字になる計算だ。配給収入だけでブレイク・イーブンするためには、1億5,000万ドル稼がなければならない。北米での配給収入だけでブレイク・イーブンしている映画は数少ない。

 実際のところ、多くの映画は、海外配給、ビデオ配給、テレビ放映、サウンドトラ ックやマーチャンダイジングといった二次マーケットから入るお金で、はじめて利益を生み出す。映画は劇場で公開された後、6ケ月ほどでビデオやDVDとなり店頭に並ぶ。アメリカではこのビデオからの収入が大きい。昨年、ビデオはレンタルとセル(販売)で、約180億ドルの収入を記録した。それは小売店が取り分を差し引いた後、スタジオのポケットに入る。ビデオで儲けた後は、ペイ・パー・ビューで、そして次に、ケーブル、無料テレビで放映される。これと平行して、映画は世界各国で配給される。

 映画の劇場からの収入が占める割合は、全体の20%くらいだが、劇場でヒットするかどうかで、ビデオの売上や、テレビ局へのライセンス料が決まるので、大切な関門という訳だ。

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