TEXT BY ミドリ・モール(弁護士・ライター)

 スターとエージェント、マネージャーについてのお話

 一人で2000万ドルものギャラを稼ぐビッグ・スターたち。ハリウッドでもっとも力をもつ彼らは映画スタジオや製作会社に対しても、絶大な交渉力をもつ。といっても、スターたちがギャラや条件などを直接交渉する訳ではない。交渉役のエージェントやマネージャーの仕事とは?
 いまハリウッドでもっとも力をもつスターは誰か? 業界紙ハリウッド・レポーターの報告によると、トム・クルーズ、トム・ハンクスそしてジュリア・ロバーツなどがランキングに名を連ねている。それぞれが同点でトップを占め、その後を追うのが、メル・ギブソン、ジム・キャリー、ジョージ・クルーニーら。トップ・テンは、ジュリア・ロバーツを除くと男優ばかり。目新しいところでは、『グラディエーター』(00)でアカデミー賞を受賞し、さらに『ビューティフル・マインド』(01)で再度アカデミー賞にノミネートされたラッセル・クロウの活躍が目覚しい。

順位 俳優名
1位 トム・クルーズ
1位 トム・ハンクス
1位 ジュリア・ロバーツ
2位 メル・ギブソン
3位 ジム・キャリー
4位 ジョージ・クルーニー
5位 ラッセル・クロウ
6位 ハリソン・フォード
7位 ブルース・ウィリス
8位 ブラッド・ピット
9位 二コラス・ケイジ
10位 レオナルド・デカプリオ
(ハリウッド・レポーター紙より)
 巨額なギャラを稼ぐビッグ・スターたちは、映画スタジオや製作会社に対しても、絶大な交渉力をもつ。といっても、スターたちが映画出演のギャラや条件などを直接交渉する訳ではない。

 ハリウッドには、スターたちを代理し、良い条件で映画出演交渉をしてくれるエージェントと呼ばれる人たちがいる。エージェントは、スターの名声や過去の出演歴や、アカデミー賞などの栄光を利用して、スターのために最も良い条件で映画出演の話をまとめるのが仕事だ。そして、スターたちはギャラの中から決められた割合でエージェントたちに手数料を支払う。スターが儲かれば、エージェントも儲かるという仕組みだ。

 スターたちは、金額を第一条件として映画出演を決めることもあれば、ギャラを割り引いても出演したい映画もある。自分の将来や俳優としてのキャリアを優先して仕事を受けることも多い。ガイ・リッチー監督作品『スナッチ』(00)に出演したブラッド・ピットや『シックス・センス』('99)のブルース・ウィリスなどがそれだ。有名になればなるほど、いままで築き上げたスターとしてのイメージを守ろうとする。優れたエージェントは、そういったスターの志向を尊重し、スターの才能を伸ばし、映画会社からより多くのギャラを引き出すよう働く。
 多くのスターたちが居住するカリフォルニア州には、スターたちを守るため、エージェントを規制する法律がある。エージェントになるためには、州に登録しなければならない。エージェントは審査にパスしなければ登録できない。予納金が必要とされる。 エージェントの取り分はスターのギャラの10パーセントに限られる、などだ。

 このため、規制の多いエージェントにならないで、かわりに規制のないマネージャーが増えている。マネージャーとは、スターの日程を管理し、日常の世話をする人たちのこと。そのため、エージェントのように、スターのために映画の仕事をとってきて、契約交渉をすることは法律上認められていない。にもかかわらず、マネージャーがスターを代理して、エージェントのように仕事の斡旋をして、ギャラからその取り分をとる。

 マネージャーは10パーセントの規制を受けないことから、スターのギャラから50%の手数料をとる人まででてきた。マネージャーという名目で、エージェント業務に入り込んでいるわけだ。こういった現状に不満をもつエージェントやスターたちは、マネージャーもエージェント同様、登録制にすべきだとロビイ活動を行なっている。
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