TEXT BY ミドリ・モール(弁護士・ライター)

 ビデオ・オン・デマンドを巡る訴訟(1)

 メジャースタジオとよばれるのは、ワーナーブラザース、ソニーピクチャーズ、20世紀フォックス、ユニバーサル、ディズニー、パラマウント、MGMそしてドリームワークス。これらメジャースタジオが製作し、配給する作品だけで、アメリカの映画ビジネス全体の約80%の収益を生み出す。独占状態といっても過言でない。

 これらの作品は、世界中で配給される。劇場で公開された映画は、ビデオやDVDで配給され、更に有料テレビ、地上波テレビで放映される。以下は、映画がどういったメディアで利用されているのかライフサイクルを説明したものだ。


■《映画のライフサイクル》
劇場公開
____/6ヵ月後ビデオ・DVD
______/9ヵ月後ホテル・ペイ
__________/9~12ヵ月後ペイ・パー・ビュー、VOD
_________________/10~18ヵ月後ペイ・テレビ
_________________________/24~30ヵ月後地上波
 アメリカでは、新しいメディアとしてビデオ・オン・デマンド(VOD)が紹介され、スタジオの更なる収入源となるであろうと期待されて久しい。VODとは、ペイ・パー・ビューのように見たいコンテンツを、見たい時に、テレビやオンライン上で見ることができる有料サービスで、ビデオ屋に行かずに映画をレンタルするような感覚だ。スタジオでは、ビデオとテレビの中間のメディアとして位置づけしているようで、ビデオからの収益を守るためにも、ペイ・パー・ビューと同じころ、観客に提供するそうだ。

 アメリカで、VODをオンライン上でストリーミング上映するビジネスを始めた会社がある。インターテイナーIntertainerという会社だ。1996年、コンピューター会社の大手であるマイクロソフト、インテル、そしてケーブル会社であるコムキャストとNBCの親会社であるGEなどが出資して生まれた会社である。
 独自に開発した技術で映像をストリーミング上映する。インターテイナー自体は、コンテンツをもたない。したがってコンテンツをどこかから調達しなければならない。顧客を増やすためには、キラーコンテンツをもつハリウッド映画が必要だ。

 そこでインターテイナーは、メジャースタジオにアプローチし、新作・旧作をVOD用に提供してもらうよう交渉した。そして、インターテイナーは、ワーナーブラザース、ソニーピクチャーズ、ユニバーサルといったメジャースタジオとの間でコンテンツをライセンスする契約を結び、前払い金を支払った。
 にもかかわらず、スタジオは約束どおりの作品を提供しなかったり、ライセンス契約の更新を拒否してきた。そのため、インターテイナーは顧客に映画をVOD上映することができなくなった。このままでは、ビジネスにならない。行き着くところは定番の裁判所。インターテイナーは、2002年9月24日、AOLタイムワーナー、ソニーピクチャーズ、ユニバーサルらを相手に、カリフォルニア州の連邦地方裁判所に提訴した。

 訴訟の理由は、これらのスタジオがVODのコンテンツ・アグリゲーターをつくり、共謀して、値段を不公正に設定している。反トラスト法(米独占禁止法)に違反した行為をおこなったということだ。
■訴状はこちらから> www.intertainer.tv
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