TEXT BY ミドリ・モール(弁護士・ライター)

 アメリカ著作権法概要

 日本のコンテンツを海外に輸出するためには、どういった法律に気をつけなければならないか? 日本のコンテンツをアメリカに輸出したいと考えている方々へのアドバイスをいくつか紹介する。

 著作権法はその国ごとに異なるため、アメリカで保護を受けるためにはアメリカの著作権法に従わなければならない。郷に入れては郷に従えである。では、アメリカの著作権法上、どういった創作行為が保護されるのだろうか? 現在は、アメリカ著作権法1976年法が適用され、随時法律が修正されている。詳細は、著作権局のサイト(http://www.loc.gov/copyright)でアップデートされている。現行法は、1978年1月1日以降に創作された著作物に適用され、それ以前に創作された著作物については旧法が適用される。

 では、著作権はどうやって発生するのか。以下の要件がすべて満たされた時に、著作権は発生する。
(1) 法律に定められた9つの著作物の概念のひとつ、またはそれ以上に該当すること(著作権法第102条および103条)。すなわち、
 (a)  言語著作物literary works、
 (b)  音楽著作物musical works、
 (c)  演劇著作物dramatic works、
 (d)  パントマイムpantomimesおよび舞踏著作物choreographic works、
 (e)  絵画pictorial、図形graphicおよび彫刻sculpturalの著作物、
 (f)  映画motion pictures、その他の視聴覚著作物audiovisual works、
 (g)  録音物sound recordings、
 (h)  編集著作物compilations、
 (i)  二次的著作物derivative worksをいう。

(2) 表現が有形的媒体に固定されていること。- fixed in a tangible medium of expression
(3) 著作者の創作にかかる著作物であること。- original work of authorship
 上記の要件を満たす創作行為が、紙やキャンバス、レコードやその他の有形物に収録された時に、著作権が発生する。旧法と異なり、著作権表示(著作権者の名前と発行年度を記載したマルシーマーク、例えば、c 2003 Midori Mahl)は著作権発行の必要条件ではなくなった。また、著作権局での登録も著作権発生条件ではない。したがって、著作権は他人に感知されることなく発生する。

 著作権者はどういった権利をもち、どう保護されるのであろうか?
著作権は独占的な権利であり、排他的な権利である。著作権者は与えられた保護期間中、その著作物を独占的に利用する権利をもつ。アメリカで著作権はcopyright(コピーする権利)で経済的な権利だ。1998年の改正で20年延長されたため、創作者の生存期間プラス90年とされる。創作者が死んだ後、90年続くので、遺族や財産管理人の収入源となる。

 余談であるが、著者がロサンゼルスに住んでいる間、親が作ったテレビ番組とか、楽曲からのライセンス収入を遺産としてもらって、悠々自適の生活を送っている人々と会ったことがある。うらやましい限りである。また、職務著作の場合は、発行の時から95年、もしくは創作の時から120年のいずれか短い期間が適用される。著作権の保護期間が長すぎるといった反対論も強いが、結局のところ、かなり長い期間にわたって独占的利用をすることができるので、キラーコンテンツをもっている権利者にとっては、すばらしい収入源である。
 では、職務著作とは何か? 職務著作(work made for hire)とは、使用者(employee)、または委託者(commissioning party)が、従業員(employee)や請負人(independent contractor)を雇って、(1)使用者や委託者の指示で、(2)使用者や委託者の費用で創作した場合には、使用者や委託者が、創作者かつ著作権者となることを認めている。職務著作とするためには、(1)職務著作を合意した契約書が必要、(2)一定の著作物についてのみ適用される。

 たとえば、映画などの映像著作物は、制作者、脚本家、監督、撮影監督、照明、編集、俳優、音楽家など多数の人々の寄与によって著作物が完成される。映画スタジオはこれらの人々との間で雇用契約、もしくは委託契約を結ぶことによって、完成された作品の著作権をもつのが慣例。著作権をもったスタジオは映画を自由に編集し、手を加えることができる。それがアメリカ著作権法だ。
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