TEXT BY はせがわいずみ(FEATURE PRESS)

 今週は、某映画プロダクションに勤務するアシスタント・プロデューサー、アイリーン・カーター女史よる映画製作の裏話を紹介しましょう。まずは良い映画の基本になる脚本さがし。当たり前だけど、映画にするほど面白いストーリーというのは簡単には見つからないものだそう。映画が当たるかどうかは、プロデューサーにとって死活問題。皆、血眼になって面白い脚本を探しています。アイリーンはそんなプロデューサーのアシスタントをしている女性。これから時々業界裏話を提供してくれるそうです。

 ダイヤの原石を求めて
 私の仕事はアシスタント・プロデューサー。業務のほとんどは、数字の管理とか、スケジュール調整とか、どっちかというとジミーな仕事だけど、結構クリエイティブな仕事というのが台本読み。山ほどある台本の中からこれと思うのを探し出し、プロデューサーに報告するわけ。もちろん映画にするかしないかの決定権を持っているのはプロデューサーだけど、何百冊の脚本をふるいに掛けるのは私の役目。

この段階で私がボツにすれば、プロデューサーは目を通さないのだから、 それなりに責任の重い仕事なのよ。何故プロデューサーが自分で読まないかって?送られてくる脚本は月に100以上あって、いちいち目を通 していたら他の仕事ができなくなっちゃうわ。だから変わりにアシスタントに読ませるわけ。

 もちろん私だって、そんなにたくさん読んでいられないから、まず、脚本についてくるシノプシスを読むの。シノプシスというのは、一言で言えば映画のあらすじね。映画のパンフに載ってるあらすじを想像して貰えばいいわ。まず最初にこれを読んで、つまらなかったらその段階でボツ。脚本そのものに目を通す事はないわ。この段階でまあまあの物だけ、脚本に目を通すの。といっても、最初から最後まで読むわけではなくて、まずざっと拾い読みしてストーリー構成が良くできているか、面白いかをチェック。これも合格点なら、最初から本編を熟読。登場人物がちゃんと描かれているか、ストーリーに矛盾はないか、等をチェックして、イケルかな、と思ったらそれに報告書をつけてプロデューサーに回すの。大体10のうち一つ位かな、選ぶのは。


 映画化されるのは1~2本
 さて、プロデューサーは、まず私の報告書を読んで、面白いと思った作品だけ読みます。
 そして、本当に行けそうな作品だけを選ぶわけ。ここまで来るのはそうねえ、100本に一つ位かな?さらに、その作品を他のプロデューサーと一緒に検討して、これなら面白い映画になる、というものを選んではじめて映画化が検討されるの。もう、気の遠くなるような話でしょ。正確な数字はわからないけど、何千という脚本のうち、映画化されるのは1~2本じゃないかしら。(要するにアメリカ横断ウルトラクイズ並みの競争率なわけだ-翻訳者)やっと選ばれた脚本だけど、これがそのまま使われる事はほとんどないの。映画化が決まったら、プロデューサーや脚本家が集まって、ストーリーや登場人物について皆でディスカッションしていくわけ。この登場人物は少し変えた方がいいとか、こういうエピソードを挿入しよう、とか、ついには、このエンディングはつまらないからこう変えよう、とか、どんどん書き直して、やっとオーケーになって初めて製作。山ほどある中からダイヤの原石を選び出して、磨きをかけて、それでもぜんぜん当たらない映画があるんだから、映画作りって大変よね。さあ今日も台本読まなくちゃ。



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