TEXT BY はせがわいずみ(FEATURE PRESS)

 3月25日(日)、西部時間の午後5時30分、ロサンゼルス市内のシュラインオーディトリアムで第73回アカデミー賞の授賞式がスタートした。最後のシュラインオーディトリアム、最初のスティーブ・マーチン司会、20世紀最後の受賞者・作品、21世紀最初の授賞式ということで、去年にも増してマスコミが注目する中、セット、テーマ曲、そしてアーサー・C・クラークがプレゼンターを務めるなど、『2001年宇宙の旅』をイメージした作りで、3時間半にわたって行われた。
当日のシュライン・オーディトリアム


アジアパワーを見せつけたアン・リー監督。『グリーン・ディスティニー』のプレミアにて Photo by Izumi Hasegawa
 今年はアジアの年といっていいほど、アジアものに溢れたアカデミー賞で、『グリーン・ディスティニー』のノミネーションはもちろん、ヨーヨー・マといったパフォーマー、加えてオスカー像のエスコート嬢はアジア系だった。しかし、『グリーン・ディスティニー』は外国語映画賞ほか3部門の受賞にとどまり、期待されていた作品賞と監督賞は逃した。ただ、そう簡単に東洋人に主要な賞を渡さないアカデミー賞会員が撮影賞、美術賞を初めて東洋人に贈ったことで、いかにアメリカで中国&カンフー映画がブームを迎え、アカデミーが開放されてきているかということがくみ取れるだろう。
 そして強かったのはやはり『グラディエーター』。作品賞、主演男優賞など5部門を押さえた。タキシードに身を包んだボディーガードと共に会場入りした、誘拐計画の的になっているラッセル・クロウは、アメリカの報道がこぞってはトム・ハンクスを有力視していたため、自分の名前が呼ばれた時は、まさに鳩が豆鉄砲を食らったようにきょとんとしていた。回りに座っていた『グラディエーター』スタッフに肩を叩かれると『オレか?』と本当にびっくりしたようで、スピーチでも終始手がふるえていた。屈強なグラディエーターを演じた男が、世界中の親近感を得た瞬間だ。

 また、「ラッセルの誘拐計画を羞じなさい。T・ハンクス」とS・マーチンがジョークを飛ばすと、客席のT・ハンクスは、しゅんとした演技で皆を笑わせた。ハリウッドのMr.ナイスガイと呼ばれるトムを、誰も犯人だとは思っていないネタがベースにあるギャグだ。そんなS・マーチンの司会ぶりは、合格点。客席を終始、心地良い笑いで包んでいた。しかし、プレゼンターで登場したベン・ステイラーのコメディな存在感は、将来の司会をにおわせるものだった。


 そして一番華やかな主演女優賞は、大方の予想通りジュリア・ロバーツがゲット。『マグノリアの花たち』('89)で助演女優賞、『プリティ・ウーマン』('90)で主演女優賞にノミネートされたことがある彼女。 “3度目の正直”となった今回の受賞スピーチは喜びいっぱいで、客席をほのぼのとした雰囲気にさせていたのが印象的だった。まさに今年はジュリアの年だ。

 もうひとつ注目のオリジナル歌曲賞。主演女優賞にはノミネートさえされなかったビョーク(『ダンサー・イン・ザ・ダーク』)の受賞を予想する筋もあったが、『ワンダー・ボーイズ』のボブ・ディランが初ノミネートで見事受賞。さすがの貫禄を見せつけた。


『エリン・ブロコビッチ』のジュリアは本当にかっこよかった!Photo by Bob Marshak (C)2000 Universal Studios

 助演女優賞をケイト・ハドソン(『あの頃ペニー・レインと』)が逃すなど、番狂わせ(!?)もあったものの、私としてはベニシオ・デル・トロが受賞したので満足な結果である。ベニシオ、おめでとう!

 …というわけで、受賞作品・受賞者は以下の通り。あなたの予想はいくつ当たった?ちなみに私は、80%といったところでした。


ノミネート作品はこちらから>>


☆☆__受賞作品・受賞者__☆☆
★作品賞『グラディエーター』
★監督賞スティーブン・ソダーバーグ(『トラフィック』)
★主演男優賞ラッセル・クロウ(『グラディエーター』)
★主演女優賞ジュリア・ロバーツ(『エリン・ブロコビッチ』)
★助演男優賞ベニシオ・デル・トロ(『トラフィック』)
★助演女優賞マルシア・ゲイ・ハーデン(『Pollock(原)』)
★オリジナル脚本賞『あの頃ペニー・レインと』
★脚色賞『トラフィック』
★外国語映画賞『グリーン・デスティニー』(台湾)
★美術賞『グリーン・デスティニー』
★撮影賞『グリーン・デスティニー』
★衣裳デザイン賞『グラディエーター』
★編集賞『トラフィック』
★メイクアップ賞『グリンチ』
★作曲賞『グリーン・デスティニー』
★オリジナル歌曲賞ボブ・ディラン「シングス・ハヴ・チェンジド」
(『ワンダー・ボーイズ』)
★音響賞『グラディエーター』
★音響効果賞『U-571』
★視覚効果賞『グラディエーター』
★長編ドキュメンタリー映画賞『Into the Arms of Strangers:
Stories of the Kindertransport』
★短編ドキュメンタリー映画賞『Big Mama』
★短編アニメ映画賞『Father and Daughter』
★短編実写映画賞『Quiero Ser (I Want To Be...)』
★名誉賞ジャック・カーディフ
アーネスト・レーマン
★アーヴィン・G・タルバーグ賞ディノ・デ・ラウレンティス

長らく、「集中連載 アカデミ賞の季節がやって来た!」にお付き合いくださいましてありがとうございました。来週からは通常連載に戻ります。こちらもお楽しみに!


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