TEXT BY はせがわいずみ(FEATURE PRESS)

 映画やテレビでのアジア系アメリカ人の活躍

 アメリカのエンターテインメント業界におけるアジア系アメリカ人の地位向上と正しい理解を促進する団体「Media Action Network For Asian American」(通称MANAA)のメディア業績賞授賞式が、先月23日にハリウッドのルーズベルトホテルを会場に行われた。
 平等というイメージの強いアメリカだが、実は人種差別が根強く残っているのが現実だ。白人がマイノリティ(少数派)になっている地区が増加していても、テレビや映画では依然白人に多くのチャンスが与えられている。そして、アフリカ系アメリカ人の大統領は納得できてもアジア系はダメという最近報告された調査結果があるように、アジア系に対する差別感が強いのも現状だ。また、アジア系に対して、ステレオタイプなイメージしかないアメリカ人は圧倒的に多い。
 これらは、アジア系に対する理解の欠如から来ているとして、人々の考え方に影響力を持つ映画やテレビといったエンターテインメントから、こうしたステレオタイプなアジア人イメージを払拭させ、さまざまなアジア人を登場させることで、アジア系アメリカ人の地位の向上を目指そうというのがMANAAの活動目的である。最近では、映画『パール・ハーバー』(00)の日系人の描写に対して声明を発表し、各マスコミで取り上げられた。
 同団体のメンバーには、『スター・トレック』シリーズのジョージ・武井やシリコンバレーの代議士マイケル・ホンダ、アジア系アメリカ人として初めてキー局のキャスターとなったデビッド・オノなどがいる。

 映画やテレビで、アジア系アメリカ人の地位向上や理解を深めるきっかけを作った人々を称える同団体のメディア業績賞。ことしは、映画部門は『シャンハイ・ヌーン』(00)と『チャーリーズ・エンジェル』(00)、テレビ部門は『V.I.P.』('98~)と『Big Brother』(01)で、それぞれの関係者が受賞した。(受賞者名は下記の通り)。
 『チャーリーズ・エンジェル』で受賞した監督のMcG(マック・ジー)は「ドリュー・バリモアとキャメロン・ディアスとぼくで、もう一人のエンジェルを誰にしようか話し合っていた時、誰からともなく、ルーシー・リューがいいのではとなった。チャーミングで、聡明で、コメディ演技ができる女優なんてそういない。いざ撮影が始まると、ルーシーはそんなぼくらの難しいリクエストにすべて応えてくれた。アジア系ということは関係なかった」とスピーチした。
 MANAAの活動についてインタビューすると「確かに現実とメディアで描かれていることにギャップを感じる。ぼく自身は、もっとアジア系の人が活躍してもいいと思うからMANAAの活動を応援していきたい」と、まったく偏見のない態度でさわやかに答えてくれた。


■『シャンハイ・ヌーン』
・脚本家マイルズ・ミラーとアル・ゴーフ
・共演のオーウェン・ウィルソン

*アジア人(ジャッキー・チェン)と白人(O・ウィルソン)の真の友情と心の交流を描いたことなどにより受賞


■『チャーリーズ・エンジェル』
・プロデューサーのドリュー・バリモア、ナンシー・ジョボネン、レオナルド・ゴールドバーグ
・監督のMcG(マック・ジー)

*オリジナル版にはなかったアジア系の“チャーリーズ・エンジェル”を登場させたことで、白人女優を使うというハリウッドの古い慣習を見事破りヒットに導いたことと、白人キャストとの友情とコンビネーションを描き、アジア系の地位を向上させたことなどにより受賞


■『V.I.P.』(コロンビア・トライスターTV)
・コロンビア・トライスターTV代表・編成責任者ラス・クラスノフ

*白人とアフリカ系アメリカ人の出演者しかいなかった、私設ボディーガードチームV.I.P.(パメラ・アンダーソン・リー主演)の活躍を描く同番組に、ベトナム出身の俳優を起用し、クールな役柄を演じさせたことなどにより受賞


■『Big Brother』(CBSテレビ)
・プロデューサーのポール・ロマー
・制作会社エボリューション・フィルム&テープ

*至る所にテレビカメラを仕掛けた合宿所に9人の若者を閉じこめ、数日間の行動をテレビ中継し、合宿生活にそぐわない人物を視聴者が投票し出所させ、最後まで残った人物が賞金を手にするという同番組。結局、一度も票を獲得することなく賞金をゲットしたのは、超さわやかアジア系アメリカ人の青年だった。アジア系という偏見にとらわれず、番組を進行したことなどにより受賞


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