TEXT BY 江岸 ひとみ

 意外なゲスト!『サタデーナイト・ライブ』

 こちらアメリカでは、ハリウッド・スターが毎日のようにトーク番組に出演していて映画ファンにはうれしい限り。その中でも異彩を放つのが、もはや米国の国民番組ともいうべきコメディ番組『サタデーナイト・ライブ』(以下SNL)。今回はこの番組についてです。
 『サタデー・ナイト・ライブ』はスターのトークは無いものの、スターがホスト役(進行司会役)となって自らもコメディに挑戦するといった内容で、番組名通り土曜日の夜11時半から1時まで放送される。しかも、一部に録画はあるものの全部生のライブ。

 『Mr.ディーズ』『パンチドランク・ラブ』などで活躍するあのアダム・サンドラーもこの『サタデー・ナイト・ライブ』出身で、コメディアン達の登竜門とも言える番組だ。古くはジョン・ベルーシ、エディー・マーフィーもこの番組からブレイクした。
実際に会ってみると意外と小さいデニーロ氏
 番組のゲストは、大体その時期に上映されている話題の映画の出演者である場合が多いのだが、他にもバラエティに富んでおり、え?この人が!と言うようなスターもよく登場する。例えば、ウィレム・デフォー、イアン・マッケラン、クリストファー・ウォーケンなどの渋いおじさま俳優陣。元ニューヨーク市長ルドルフ・ジュリアーニ。去年の年末、万引き事件の裁判中の身であるにも関わらず、それすらも番組中でネタにされていたウィノナ・ライダー。そして来週のホスト役には、ブッシュ大統領と大統領の座を争った元副大統領アル・ゴア氏など、日本では信じられないような豪華なゲスト陣なのである。
 さて今回のゲストは、なんと超大物ロバート・デ・ニーロ!『サタデー・ナイト・ライブ』が始まって27年間の歴史で、初めての出演ということもあり、放送前から全米の話題になっていた。彼自身も最初のトークで、今回この役を引き受けたことについて周りから「どうして引き受けたの?」って聞かれるんだ、と言った内容のことを話していた。

 丁度『アナライズ・ミー』の続編、『アナライズ・ザット』が公開されたこともあり、デ・ニーロがゲストに決まったのは自然なことではある。最近はコメディ色が強いデ・ニーロであるが、それでも彼が変な衣装を着せられたり、彼についての個人的な事を笑いのネタにされたり(彼が黒人女性が好きなこともネタになっていた)、普通ではきっと怒り出すんじゃないの?的なこともこの番組では許されてしまう雰囲気がある。デ・ニーロは嫌がりもせず演じていた。
相変わらずの演技の幅には驚かされてします。かなりお勧めの映画!
 そして、度肝を抜いたのは、なんとデ・ニーロと仲が良いというだけで、たったワン・シーンだけ登場したハーヴェイ・カイテルである!! しかもデ・ニーロとホモの間柄という役柄。すんごい王子様みたいなカツラと衣装を着せられ、デ・ニーロと抱き合いったりキス(これは後ろ向きだったので分かりませんが、確実にしていないでしょう)したりといったものすごい役だった。ハーヴェイ・カイテルが登場した時の観客の歓声は凄まじかった。けれども、よくオーケーしたものである。ハーヴェイ・カイテル・ファンには信じがたい映像であるが、ある意味ますますファンの心を捉えたに違いない。

 常日頃、アメリカ的な笑いには付いて行けない、と思っている私だが、この『サタデー・ナイト・ライブ』は例外。結構、日本人の笑いに近いものがある。かなり笑えるけれど、こっちでやっているTV番組のパロディなども多く、アメリカにいないと分からないところもある。ずっと昔、日本でも放送されていた事もあるのだが、日本ではあまり受けなかったとか。。。それでも是非見てほしいアメリカのお笑い番組である。
<<戻る


東宝東和株式会社