TEXT BY 伊藤秀隆(監督/プロデュース/脚本)

 ハリウッドのおもちゃ箱? 小道具屋さんを覗いてみよう!

 映画やTVは我々を日常から離れた色々な場所や時代に連れていってくれる。ある時は、西部開拓時代、ある時は100年後の未来。宇宙や海底を舞台にしたドラマだってある。
 ジェームズ・キャメロン監督が、大ヒット作タイタニックの撮影で潜水艦をチャーターし、海底に沈んだ本物のタイタニックを撮影したのは有名な話だ。しかし、読者の皆さんはご存知だと思うが映画の撮影をすべて本物で行うのは不可能である。だから、原寸大のセットをスタジオに作ったり、時代考証をしっかりやった上で装飾を行ったりして映画の舞台を作り上げるのだ。ユニバーサルスタジオに遊びに行ったことのある方なら経験があると思うが、スタジオのセットに足を踏み入れた瞬間思わず「ここはどこ?」と言ってしまいそうなほど本物そっくりな環境が作り上げられる。
 今回ご紹介するのは小道具をレンタルしているお店。これだけ多くの映画が作られている街なのだから、大道具や小道具も数限りないほどの種類が必要とされる。これらのお店に入って見るとそこは…そう、まるでおもちゃ箱のようなのだ。
 最初にご紹介するのは「Modern Props」(5500 West Jefferson LosAngeles.CA)。ここの入り口にはちゃんと受付嬢がいて一見普通の会社なのだが、中に進んでみるとそこは巨大な倉庫。かなり広い空間はSFやウエスタンなど時代や場所ごとにセクションが分かれて様々な小道具が置いてある。

 拳銃やライフルからミサイルに至るまで、あらゆる種類の兵器があるかと思えば、人間の頭やコカイン(単なる白い粉だが…)、はたまた普通の日常雑貨(メーカーの名前がついていると映画では使えないことがあるのでノーブランドのもの)まで、ここで揃わないものってあるの? という感じだ。それでもない物は作ってしまう。訪れた時も、宇宙船の内部のセットがサンプルとして建造されていた。
ここでその全てをお見せできないのが残念。だが、本当になんでもあるのだ。ちなみに右上のヘッドギアは『MIB II』で使われたものらしい。
 次にご紹介するのが「Independent Studio Services」(11907 Wicks St., Sun Valley, CA 91352)。ここの副社長をしているPaul Rauch氏はブライアン・デパルマ監督の傑作『アンタッチャブル』の有名なラストシーンで使用された、階段を落ちていく乳母車を作った人なのだ。中にはオリジナルの小道具を作る工房があり、他は各セクションごとに担当者がいて詳しく案内してくれた。
 最後にご紹介するのが「Hand Prop Room」(5700 Venice Blvd. Los Angeles ,CA9019)。この会社は多くのメジャーハリウッド映画に参加している。例えば、『スパイダーマン』『ソードフィッシュ』『ロストワールド』『パニックルーム』などなど数え上げたら切りがないほどの有名映画に参加している老舗の小道具会社だ。

 ここも他のプロップ(小道具)ショップと同じように様々なセクションに分かれた小さな部屋があり、色々な小道具が整理されて置いてある。色々なものがあるせいか、なんか変な匂いがしたのが印象として残っている。
僕は兵器になどの名前についてあまり詳しくないのだが、ライフルと一口に言っても様々な型があるのだ。
 本当になんでもあるハリウッドのプロップショップ。ただ、中にはヘロインのように、こんなものお金払ってレンタルしなくても小麦粉でいいじゃん! ていうのもあって、なかなか笑える。観光旅行では絶対見られない小道具のレンタルショップだが、本当に映画好きならば一度は訪れてみたい場所である。(但し一般公開はされていない。ゴメンナサイ)

取材協力:荻原麻子(Planet Kids プロダクションデザイナー)
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