TEXT BY 伊藤秀隆(監督/プロデュース/脚本)

 スターの生活エリア?

 スターの生活ってどんななの? 誰もが一度は思い描く世界だ。今回は、そんなスター達が普段行くお店についてレポートしよう。
 当たり前だがスターと言っても売れる前は普通の人。だから、急に売れ出した時は誰でも「スタートしてどう振舞えばよいのか? どう私生活を送ったら良いのか?」焦るそうだ。その結果、先輩スターのライフスタイルを真似るところからスタートする。先輩たちが出入りするバーやカフェに行き、彼らが買い物をする店で服を買う。だから、同じようなお店で、多くのスターが目撃されるのだ。「スターならばこのお店で買うべし!」そんな空気がスター達の世界にもあるようだ。
 まずは、そんなブティックを一見ご紹介しよう。その名は「Fred Segal」(8100 Melrose Ave., West Hollywood and 500 Broadway, Santa Monica, CA)。サンタモニカに1軒とメルローズに1軒ある。ここは知る人ぞ知るスター御用達の店。

 顧客の一部をご紹介すると、サンドラ・ブロック、マット・デイモン、ジェニファー・アニストン、ジュリア・ロバーツ、レオナルド・ディカプリオ、クリス・ロックなどなどだ。ニコール・キッドマンの娘、イザベラが2003年のアカデミー賞に出席するために初めてのハイヒールをここで購入したこともある。他、ロビン・ウィリアムズもこのお店でお気に入りのハワイアンTシャツを見つけたそうだ。
Fred Segal:一見おもちゃ屋さんのような看板。中はかなり広い。
 この店”Fred Segal”の品揃えは$35の化粧品から、$3500のドレスまでと幅広い。アルマーニデザインの高級品からファンキーな古着までバラエティーに富んでいる。スターが来る店というばかりではなく、品揃えの豊富さからも、是非一度は訪れてみたいお店だ。ちなみに、開店時間は月曜日から土曜日が朝10時から夜7時。日曜日は正午から夜6時となっている。
 続いてご紹介するのは、全て特注で靴を製作してくれるお店”Di Fabrizio Shoes”(903 N. Fairfax Ave.,Los Angeles, CA )だ。このお店は、マイケル・ジャクソンのダンスシューズやロックグループKissのブーツなどを製作していることで有名。

 スターの靴屋と自らを呼ぶ職人、Di Fabrizio 氏はこれまで、アーノルド・シュワルツェネッガー、シルヴェスター・スタローン、ユマ・サーマン、ジェニファー・コネリーと言った面々の靴を作ってきた。このDi Fabrizio 氏の作った靴、是非とも履いてみたいものだが、そのお値段は最低でも$500はするそうだ。これでは、我々、庶民には手が出ない。しかし、このお店がスター達に直接売ることはあまりないそうだ。顧客の殆どはTVや映画の製作会社らしい。Di Fabrizio 氏曰く、「スター達はよく支払いを忘れるので、こういった会社相手に商売したほうが楽」。実際、ミッキー・ロークなどは未だに支払いをしてくれないらしい。
靴屋:外観は小さな街の靴屋さんという感じだ。
 また、よく注文を受けるのが「高さを少し足して、身長を高く見せたい」と言うものだそうだ。スタローンは、ここで作った靴を履いて3 1/2インチ身長を伸ばし、映画に出演していた(スタローンがあまり背が高くないというのは有名な話)。他にもエリザベス・テイラーの外反母趾を直すための靴や、ダニー・デヴィートが『バットマン リターンズ』でペンギン男を演じたときの靴など、ありとあらゆる靴を製作している。だが、これまで作った中で本人も驚いたのは、ジュディ・ガーランドのために作った靴がオークションで$126,000の値段で売られたことだと言う。

 スターが集まると言う店というだけで店にとっては計り知れない宣伝効果となる。しかし、同時にセキュリティーの問題やスター達の無理難題を処理しなければならず、良い事ばかりでもなさそうだ。だが、贅沢を極めたスター達が集まるのだから、何か特別なものがその店にあることは確か。その何かを見つけに行って見るのもハリウッド観光の楽しみになりそうだ。500ドルは確かに高いけれど、世界で一足しかないあなただけの靴を作ってみるのも良いのでは?
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