TEXT BY 伊藤秀隆(監督/プロデュース/脚本)

 2003年夏休み映画 総決算! 勝ったのはどの作品?

 さて、夏休みも終わりに近づいた今日この頃。皆様どうお過ごしですか? 2003年の話題作は全部見ることができたでしょうか? あなただけのお気に入り映画は見つかりましたか?

 ここハリウッドも、「夏休み映画」と呼ばれるものは大体終わり、「秋の映画」へとすでに突入してきたよう。「秋の映画?」と思われた読者もいると思うが、どんな映画なのかをご説明する前に、まずは今年の「夏休み映画」を振り返ってみよう。
 興行成績で言うと、この夏の勝者は『ファインディング・ニモ』。稼いだ額は、なんと$329,790,041、つまり386億円。大海原を舞台に、可愛いキャラクター達が迫力の大冒険を繰り広げるこの映画は、子供だけでなく大人の鑑賞にも十分耐えられるもの。日本では冬休みに公開されるそうだが、CGを駆使した爽やかで透明感溢れる海を舞台にした映画だけに、夏にこそ見て欲しい作品だった。

 続いて、第2位は『マトリックス・リローデッド』。興行収入は$278,821,645、327億円。日本でも多額の費用をかけ、殆どイベント状態と化していたこの作品。内容については「ほとんどの見せ場をCMで見せられた」とか「映像はいいが、ストーリーがない」など、最近のハリウッド映画の代名詞みたいな言われ方をしているが、やはり強いものは強かった。上記のような厳しい批判も、多くの価値観の観客が見たからこそ出てきたというもの。それだけ期待も大きかったということだろう。
冬に公開してもヒットするのだろうか? 内容は確かに素晴らしいが……。
 そして、第3位は日本でも現在大ヒットしている『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』。興行収入は$260,925,697、312億円。ディズニーランドで一番人気といわれる「カリブの海賊」をモチーフにした作品。プレミアをディズニーランドで行うなど、面白い宣伝展開とポスターにワイルドなジョニー・デップなど、カッコいい俳優を並べることで大成功。さすがは敏腕プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーだ。

 この夏、ブラッカイマーが手がけたもう一本の映画『バッドボーイズ2』も$132,324,611、150億円を売上げて大ヒット作の一つになっている。彼のプロデューサーとしての地位はもはや不動のもののようだ。
 この他に、超ヒットの基準と呼ばれる2億ドルを突破したのは『Xメン2』とジム・キャリー主演の『Bruce Almighty』。1億ドルの大ヒットクラスが『スパイキッズ3D』『ターミネーター3』『超人ハルク』『ワイルドスピード2』といったところだ。勝つ作品もあれば、負ける作品もあった夏休み映画戦線。しかし、あまりにハリウッドっぽい作品が並びすぎて、少々飽きてきた方もいるはず。

 そこで、ついに始まりました「秋映画」。ハリウッドにおいて「秋シーズン」に公開される映画は大きく分けて2種類。一つは、ハロウィン・シーズンを目論んだ「ホラー映画」。もう一つは来年のアカデミー賞を狙った「ドラマ映画」。どちらかというと、前半は「ホラー映画」で後半が「ドラマ映画」という感じになる。そして、夏休みが終わる今、ハリウッドで現在公開中の大ヒット映画とは?
前から噂では聞いていたけど、本当に実現するとは……権利問題を処理するのが大変だったらしい。
 なんと『ジェイソン対フレディー』。おいおい、タイトルそのままじゃないか……なんて、突っ込まないように。確かに、あまりに直接的なタイトルだが、『13日の金曜日』のジェイソンと『エルム街の悪夢』のフレディーが戦うというのだから、誰もが気になるのも当然。しかも、ストーリーが「ある日、ジェイソン愛用の白いマスクが盗まれた。犯人はフレディー。ジェイソンはマスクを取り返すべく、フレディーを追う……」という、思わず吹き出す内容。吹き出すが、やはり気になるストーリーなのだ。僕もまだ見ていないが、日本で公開の際は話のネタに是非、ご覧下さい。
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