TEXT BY 尾崎佳加

 第76回アカデミー賞授賞式
 And the Oscar goes to……

今年で76回目を迎えるオスカーナイト。いくつもの大作に出演した大物スターもこの日ばかりは緊張した面持ちでのぞむ、ハリウッド最大規模の授賞式だ。そんな最も栄えある授賞式の模様をレポートします!
LA時間の5時から行われる式を前に、コダックシアター会場へ続々と到着するセレブたち。戦争の影響で自粛されていた取材陣用のレッドカーペットも今年は復活。真っ赤な帯の上を練り歩くスターを幾千ものフラッシュが照らす、これぞハリウッドという光景がLAの熱い夜を飾った。
今年のホストを務めたのはベテランのコメディアン俳優、ビリー・クリスタル(『アナライズ・ミー』(99)、『アメリカン・スウィートハート』(01))。出席したスターたちをネタにして歌を披露したり、辛口の政治ジョークを飛ばして見せたり、スタートから大忙しのパフォーマンスで笑いを巻き起こす手腕は実にお見事である。先週のSAG授賞式でも「僕も大統領になります」とシュワちゃんの大統領立候補発言を笑いのネタにした受賞者がいたが、政治をネタにした冗談はなぜかとてもウケがいい。ビリーの放つ痛快なブラックユーモアに、オスカーのスターたちも爆笑の連続。
コダックシアター前に並ぶ、オスカーフラッグ
それにしても何より、渡辺謙の活躍だ。ハリウッド俳優たちを相手にたった一人のアジアン俳優として、我らが謙さんは大健闘の雄姿を見せてくれた。3大映画賞ともいえるオスカー、ゴールデン・グローブ、そしてSAGの全ての賞にノミネートされたことは同じ日本人としてとても誇らしいこと。受賞こそ逃したものの、俳優渡辺謙の名は今やYahoo! MoviesIMDbHollywood.comMovies.comなど、ハリウッド情報を取り扱う多数のウェブサイトに"セレブリティー"として登録されている。是非一度ご覧あれ。
金のオスカー像に、フラッシュを浴びせる報道陣たち
また、謙さんは2005年夏に公開予定のバットマンシリーズ最新作、『バットマン・インティミデーション(原)』に悪役として大抜擢されている。他のキャストもモーガン・フリーマン(『トータル・フィアーズ』(02))、クリスチャン・ベール(『アメリカン・サイコ』(00))といった有名俳優の出演が決まっている超大作だ。サムライ渡辺が今後本格的にハリウッドでブレイクし続ける可能性は大だ。皆で応援しよう。

ちなみに真田広之の名も上記のサイトでセレブ検索できるようになっている。『トワイライト・サムライ(たそがれ清兵衛)』のノミネートのため山田洋次監督と真田も会場へ駆けつけたが、こちらも受賞へは一歩届かなかった。(2人のツーショットはOscarオフィシャルサイトで公開されているので要チェック)
『たそがれ~』を抑え、海外映画部門を授賞したのはカナダ映画、『バーバリアン・インベーション』。プロデューサーがスピーチで「『ロード・オブ・ザ・リング』がこの部門にノミネートされなくて本当に良かった」とジョークをとばし、会場はひと際大きな笑い声に包まれる。

これはなかなかパンチの効いた一言だった。『ロード・オブ・ザ・リング - 王の帰還』は多くの人の予想通り、ダントツ最高数の11部門を授賞。ノミネートされた殆どすべての部門を総なめにした。ここまで強いと見ているほうも少々白けてしまう。プロデューサーの発言も、この辺をちょっぴり皮肉ったわけ。もちろん、何年に一度という歴史的作品だとは思うのだが、3年越しのシリーズ作を完結した今年一度で総合評価するとなると、ちょっと不公平な感じもする。他の候補作品は当然苦戦してしまう。
そんな中で『コールド マウンテン』は6部門のノミネートを獲得、大変な健闘を見せた。南北戦争に引き裂かれた恋人を想い、苦悩の愛を生きる兵士を熱演したジュード・ロウ。惜しくも主演男優賞を逃したが、主役を支えつつもその存在感を見せつけたレニー・ゼルウィガーの力強い助演に、オスカーは初めて微笑みかけた。「毎日二コールの側で演技をし、大切なことをたくさん学んだ。とてもかけがえのない時間でした」と澄んだ目で二コールに感謝を示したスピーチはひと際感動的だった。
レニー・ゼルウェガーの熱演に、オスカーが応えた
オスカー授賞式の舞台を借り、社会や人々にメッセージを伝えようとする俳優は多い。『ミスティック・リバー』で助演男優賞を得たティム・ロビンスも、ステージで関係者に感謝の言葉を捧げたあと、こう付け足した。「実際に僕の役のような経験を持つ人は、それを恥じる必要はない。辛い経験はあなたが望んだことでも、あなたに落ち度があったわけでもないから。強く生きてほしい。」性的暴行を受けたトラウマを持つ男性を演じ、役を通して感じた被害者への激励の気持ちを強く訴え、会場から熱い拍手を受けた。

熱い余韻を残し、ビリーのアナウンスが声高らかに響く。
「もう一度、本年度の授賞者のみなさんに拍手を」
声と同時に一度閉じた幕が開き、受賞者全員がもう一度ステージに立ち並ぶ。はにかみながらも自信を浮かべた表情でしっかりとオスカーを手にしたスターたちに、鳴り止まない拍手がその栄誉を称え続けた。
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