TEXT BY 尾崎佳加

 ハリウッドのテレビ事情
 アメリカの番組はこうしてつくられる!

 ハリウッドといえば映画一色の都市だと思いがちだが、テレビ番組だって結構アツい。今回は視聴者の期待にこたえるテレビ番組をつくるためのリサーチ機関、テレビジョンプレビューについてお話ししよう。

 先日なにやら怪しい手紙が届いた。「あなたをテレビジョンプレビューにご招待します」
 そう書かれてはいるものの、詳しい番組名や内容の説明が一切記されていないのだ。なんでも未公開のテレビ番組の試写会が行われるということだが、聞き覚えのない会社にご招待されるなんて全く身に覚えがないものだから戸惑った。

 好奇心に促され、とにかく行って確かめようと当日会場のパサデナヒルトンへ向かう。ホテル内の会議場を借り切ったスペースにはすでに300人ほどの招待客がにぎわっている。みな私のように突然招待を受けた一般の人たちばかり。実はこれ、テレビ番組の試写会なのだ。
チケット。4枚送られてくるので友人など大勢誘い合わせて行ける
 日本ではあまりなじみがないけれど、アメリカではテレビ番組の試写というのが珍しくない。アメリカのドラマは番組の寿命がとても長い。日本でも人気の「フレンズ」などは、98年から始まって足掛け7年の長寿番組だ。ここまで長く続くドラマというのは、日本だったら名作「渡る世間は鬼ばかり」位のもんでしょうか。

 でも、アメリカのシットコム(登場人物が毎回違う場面やエピソードを演じるホームコメディーシリーズのこと。「フレンズ」なんかもその一つ)は、当たれば10年近く放送することもある。製作側は何とか人気の続くシリーズにしようと、極めて慎重に視聴者の求めているものを探ろうとするのだ。とりあえず試しに作った一話(これをパイロット版という)をまず一般の人に見せて、反応がよくなければそのまま人目に触れずオクラ入り、ということだって珍しくない。今回参加したテレビジョンプレビューも、そんなパイロット版の試写会だった。
プレビューの会場となったパサデナヒルトン
 さて、いよいよプレビューの開始。時間になると一人の男性が壇上に立ち今日のプロセスを説明しはじめた。今回は公開予定の2つのテレビ番組のプレビュー。こういった調査では出来る限り視聴者の生の声を聞きだせるよう、私たちが普段家でテレビを見ているような感覚で鑑賞できるようになっている。会場には小さな家庭用テレビが用意され、番組の間に入るはずのコマーシャルもきちんと挿入されている。「チャンネル変えたくてもリモコンはありませんから」と、いかにもアメリカ人らしいジョーク。
 そしていよいよ開始されたプレビュー。極秘の調査内容のため詳細な描写は控えたほうがいいのだろうが、けちくさいことは言わずちょこっとご紹介。

 一つめの作品は、ラブサスペンス調のドラマ。前世で運命的な出会いをしていた恋人同士が現世で生まれ変わり再びであうというストーリー。セラピストと患者が催眠を通して過去を探っていく…といった昼メロ色が強い設定ではあったが、数年前から前世療法やソウルメイト探しがブームの日本でもウケそうなテーマではある。
 試写のあとは、さっそくアンケートの記入。ストーリーは良かったか、登場人物一人一人に好感は持てたか、毎週放送されたら見るか、など、結構辛らつな質問が並んでいる。俳優の演技は良かったかという質問もあったが、「悪かった」という票が多い俳優は降板させられることがあるんだろうか。シビアな世界だ。

 続いての作品はコメディドラマ。バリバリのワーキングウーマンが、天然ボケぞろいの同僚たちに足を引っ張られ、家庭では多感な年頃の子どもに手を焼く忙しい日常をコミカルに描いたシットコムだった。
試写に訪れた人々。市民の中からランダムに選ばれるようだ
 という訳で、面白半分で参加したテレビジョンプレビューだったが、制作側はもちろん必死である。プレビューの結果如何で苦労して作ったドラマが水の泡、なんてことも日常茶飯事。なんとかパスして放映がきまったシリーズも、人気が続かず1年ほどで打ち切りになってしまうこともしばしば。(それでも日本と比べると充分長いが)
映画でヒットした作品をテレビ化したらなぜか全然人気がなかった、というような例もある。はたして今日の2作がテレビで放映される日はくるのだろうか??
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