TEXT BY 尾崎佳加

 【HOLLYWOOD TODAY】 セレブの顔が欲しい? アメリカで整形手術が大ブーム

 ハリウッドで整形手術を受けていない俳優を探すことは宇宙旅行に行くより困難だと噂される今日この頃。お金さえあれば、全身とっかえて究極の美を手に入れられる時代なのだ。じゃあ、お金がないけど変身したい一般人はどうすればいい?そんなアナタの夢を叶える整形手術番組がアメリカで大ブームを呼んでいるのです。
 「みんな私をGEEK(ダサい)と言っていじめたわ」ABC局の高視聴率番組『エクストリーム・メイクオーバー(EXTREME MAKEOVER)』で、大抵の応募者が語るセリフの一つだ。『エクストリーム~』は容姿にコンプレックスを持つ視聴者に整形手術を施し、「なりたい自分」に変身させてあげようという夢のような番組。一度カラダのことが気になると自分の全てが許せなくなるのか、応募者の悩みは全身のあちこちに及ぶ。
 「スタイルが悪くてお洒落ができない」、「歯並びが悪いから笑えない」、「胸が小さいのを恋人に見せたくない」、「髪質が嫌い」など、次々と悩みが出てくる出てくる。だが、この番組のすごいところは小さな悩みから大胆な願いまで全て、ぜーんぶ引き受けてしまう太っ腹さにある。まずアゴや唇、目もとからボディーの細部まで美容整形外科界のカリスマ医師が施術を行い、その後、ヘア&メイク担当のアーティストがセレブばりの化粧を施す。ドリームチームが総がかりで魔法をかけ、仰天するほど(本当に!)美しくなった応募者は、自信に溢れた笑顔でゴージャスなドレスに身にまとい、家族や友人の前に現れる。数週間までとは確実に違う容姿とオーラを手の入れた応募者を見て、親戚や恋人は腰を抜かすほど驚く、というのが毎回のパターン。
 MTVの『有名人の顔になりたい(I WANT A FAMOUS FACE)』も、視聴者の大胆な変身願望を叶えてくれる大人気番組だ。「エルビスになりたい」という彼の大ファンや、「ブラピの顔が欲しい」というイケ面志望の男の子の夢を叶えてあげるというのがこの番組のコンセプト。先シーズンのある週、ブリトニー・スピアーズにチョイ似だということからそっくりさんとして活躍している女性エンターテイナーが応募する回があった。他の誰かになろうとするのは骨格の違いなどの問題もあって、ただ単に変身するよりはるかに難しいらしい。大抵は「う~んちょっとそれっぽくなったけど¨」という程度の変身で終わってしまうのだが、この時は手術がまさかの大成功。さらにブリトニーに近づき自信を得た彼女は今や売れっ子のそっくりスターとしてひっぱりだこなのだそう。

 この整形番組ラッシュを追いかけるようにはじまったFOXテレビの新番組『ザ・スワン』も後発にもかかわらず高視聴率を上げている。一般から募った醜いアヒルの子たちに手術を施し、ビューティーコンテストで最も美しく変身した白鳥を選ぼうという番組だ。
通常6,000ドルの豊胸手術が今なら4,999ドル。日本に比べるとリーズナブル?
 このような整形番組の影響で「私も全とっかえしたい!」という一般人が増えてきたことはいうまでもない。1992年、米国形成美容外科学会(ASPS)が整形手術件数調査を始めて以来、毎年患者の数は毎年着実に伸びている。LAの地元情報誌を見ても、3ページに一回は整形外科の広告だ。少し前まで、整形手術といえば深刻なコンプレックスを持つ人が高額を払って受けるものだというイメージが強かったが、プチ整形という言葉が定着した今日、低予算で施術時間も短く、気軽に試すことのできるものとしてとらえられるようになってきた。各病院も軽い気持ちで変身を勧める傾向にあり、「昼休みを利用して気軽にフェイスリフトができます」などというランチタイム整形まで登場、お手軽さをアピールして患者の取り込みを図っている。そのうち「ちょっと美容院いってくるわ」が、ちょっと整形行ってくるわ、になるんだろうか?

 日本に住む友人から聞いた話。あるお金持ちの不動産屋で、若いホステスたちにプチ整形を受けさせ、どう変身するかを見て楽しむという趣味を持っている人がいるらしい。大変贅沢な趣味で結構だが、それだけ整形手術に対して抵抗をのない人が増えてきたということなのだ。若い人は特に、タトゥーを入れるような軽い遊び感覚でプチ整形を受ける。コンプレックスを克服するという概念で生まれた整形手術は今、もっと気軽にトライできるお洒落となりつつあるのかもしれない。
■マイケル&ジャネット・ジャクソン、そして不動産王ドナルド・トランプを整形したというドクターはこの人> http://www.hoefflin.com
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