TEXT BY 尾崎佳加

 ハリウッドのテレビ事情 3
 「ウチのママ、貸します?」 なんでも交換してしまうトレード系リアリティーショー

 昔から隣の芝生は青い、と言いますが、恋人も含めて、他人のものはなぜか自分のよりも良く見えるもの。だったらいっそ取り替えちゃえ!という過激な番組があるんです…。
 どんなに愛着がある愛用品も、長年使っていると飽きてしまうもの。愛する人でさえ、身近にいすぎると、その大切さに気づかくなってしまう。『Trading Spouses』(FOX)『Wife Swap』(チャンネル4)はそんな人間の驕った心理を浮き彫りにするリアリティーショーだ。どちらのショーも毎週、ランダムに2つの家庭を選び、それぞれの母親を1週間トレードするというもの。一家の大事なママを交換してしまうなんてワル乗りが過ぎる気がするが、意外に人気がある番組なのだ。
『Trading Spouses』
 不安と期待を胸に、住み慣れた我が家を後にするママたち。派遣先の家で見たこともない材料が並ぶ冷蔵庫の前で立ち尽くしたり、洗剤や食器を収納する場所がわからず戸惑ったり…。それから一週間、トレードされたママたちは、生活習慣やルールの違いをイヤというほど思い知らされることになる。お金持ちの家にトレードされて、高価な新しいおもちゃを買ってとダダをこねるわがままな子どもに、苦労してものの大切さを教えこもうとするお母さん、家族で農業を営むカントリーホームにトレードされる家事もろくにしたことのないお金持ちのご夫人。早朝からの肉体労働に耐えられなくなり、しょげて誰とも話をしなくなってしまったママに、家族もどう対応していいのかわからず困り果ててしまう。別のエピソードでは、ルールやお説教ばかり言う神経質気味のママに家族はすっかりうんざり。一週間後本当のママが帰ってきた時の喜びようはヒトシオだった。番組の思惑通り、改めて家族の大切さを気づかされたわけだ。
 ところが、中には新しいママの方が好きになってしまうというどんでん返しも起こる。厳しく育てられて行儀の良すぎる子どもたちに窮屈さを感じないのかと尋ねるおおらかなママ。「外でどろんこになって遊ぶことはいいことなの」と自ら服を汚してみせる彼女に子供たちは大喜び。 やがて帰ってきた本当のママにもうやさしくしてほしいと打ち明けた子どもたち。ショックを受けてしょんぼりしたママの表情がちょっとかわいそうではあったが、家族の本音を知る良い機会になったことは確かである。
 この番組と同じトレード系のリアリティーショーで。『Trading Spaces』(TLC/Discovery)というのがある。買う前は憧れだったマイホームも長年住むと、住み心地や使い勝手に不便を感じ出すもの。なんとかしてリフォームしたいと思うのだが、何から始めていいのかわからない。
 『Trading Spaces』(TLC/Discovery)
はそんな悩みを抱えるファミリーを募り、家を交換して模様替えを任せてしまおうという番組だ。

 日本でも、「狭いマンションの収納スペースをなんとかして!」という主婦の願いを聞き入れ、専門家がリフォームする番組があるが、こちらはなんといってもズブの素人。自分の家のリフォームにさえ困り果てた人々に大事な家を改造させてしてしまうのだから、出演者はかなり勇気のあるファミリーといえる。事実、リフォーム後の我が家が気に入らないと文句をいう人も少なくなく、慣れ親しんだ以前のレイアウトを恋しがったりさえする。
 いずれのショーも、いくら隣の花が赤く見えても結局は他人のものなのだと気づく良い機会。こんな番組に出演しなくても、自分が愛しみ育てた花が一番艶やかに咲いていることに自信を持ちたいものだ。

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