TEXT BY 尾崎佳加

 授賞式シーズンです!! “ロード・トゥー・オスカー”
 第62回ゴールデン・グローブ授賞式の巻

 やってきました! 2005年の授賞式シーズン。1月を迎えてすぐ、続々と昨年の優秀映画たちを称える賞が発表されています。「fromハリウッド」は今回から“ロード・トゥー・オスカー”として、授賞式の流れを徹底追跡リポートしたいと思います!

 まずは16日に発表された第62回ゴールデン・グローブ賞。アカデミー賞の前哨戦とも言われるこの賞。受賞者はその年のオスカーでも有力候補となる。
 本年度、ドラマ部門作品賞に輝いたのは実在の大実業家ハワード・ヒューズの人生を綴った『アビエーター』。ミュージカル・コメディ部門作品賞は、同じく実話に基づいた作品、『Ray/レイ』が手にするだろうと予想されていたが、期待を見事に裏切って『サイドウェイ』がその座を奪った。惜しくも受賞を逃した『ミリオン・ダラー・ベイビー』だが、昨年各映画賞の場で高い評価を得た『ミスティック・リバー』のクリント・イーストウッドの作品ということもあり、依然注目を集めている。
 ロイターも、この結果からオスカー最有力候補を予想、『アビエーター』、『サイドウェイ』、『ミリオン・ダラー・ベイビー』の3作で争う可能性が高いと報じている。

 ドラマ部門最優秀女優賞には『ミリオン・ダラー・ベイビー』でボクサーとして生きる女性を演じたヒラリー・スワンク。ライバルとなったのは、オスカー女優にも関わらずなぜか演技の評価がかんばしくない『バース』のニコール・キッドマン、思いっきりアクションなのになぜかドラマ部門ノミネートとなった『キル・ビル Vol.2』のユマ・サーマン。イマイチぱっとしない受賞という感じが拭えない。ミュージカル・コメディ部門は『ビーイング・ジュリア』のアネット・ベニングが受賞している。

 そして気になる最優秀男優賞。ドラマ部門は、過去2度のノミネートされているレオナルド・ディカプリオが3度目の正直で受賞。ミュージカル・コメディ部門は盲目のキング・オブ・ブルース、レイ・チャールズを演じた『Ray/レイ』のジェイミー・フォックスが選ばれた。
 ところで、ドラマ部門ノミニーのうち、スペイン出身ながら大健闘を見せた俳優がいる。『海を飛ぶ夢』で、全身麻痺で寝たきりの生活を強いられる男の苦悩を演じたハビエル・バルデムがその人だ。3ヶ月にわたる撮影期間、十数時間をベッドで演技し、残りの数時間もこれまたベッドで睡眠だったという、まさに寝たきり生活を地でやっちゃった人なのである。
『海を飛ぶ夢』
4月G.W. 日比谷シャンテ・シネ他、
全国にてロードショー
 バルデムはスクリーンの外でも面白い発言が目立つ人なので、ここでちょこっと紹介しよう。AP通信が最近行ったインタビューによると、バルデムは「オスカーなんてちっとも興味がない」と言い切った強気な男優。『夜になる前に』(00)でオスカーにノミネートされた事があるにもかかわらず、だ。「それよりもっと大事なことがあります。それはイラクに爆弾を落とすのをやめること。アメリカが京都議定書に関心をもつこと。グアンタナモ問題を重視することなどです」と、語る社会派バルデムは、大のアメリカ(ブッシュ)嫌い。インタビューアの「『海を飛ぶ夢』は多くのアメリカ人に受け入れられると思いますか?」との質問にも「半数がブッシュに投票した国ですからね。観てもらわなくても何とも思いませんよ」と、マイケル・ムーアもびっくりの暴言である。
 昨年の大統領選で反ブッシュ、ケリー支持を打ち出したセレブは多かったが、やはり自国のことだけあってここまで痛烈に批判する例はなかった。バルデムにはぜひオスカーを受け取り、外国人代表として壇上で熱いスピーチをやってもらいたい。ゴールデン・グローブでは海外映画賞部門最優秀作品賞に輝いた同作品だけに、実現の可能性は十分にある。

 次週はいよいよアカデミー賞のノミネーションの発表! オスカーを持ち帰るのは果たしてどの作品?!
授賞式シーズンです!! “ロード・トゥー・オスカー” その2
アカデミー賞ノミニー発表 ウィナーを勝手に予想の巻! へつづく…。

1月
6日 米監督組合賞ノミネーション発表

8日 全米映画批評家協会賞授賞式

9日 ピープルズ賞授賞式

11日 SAG賞 ノミネーション発表

16日 ゴールデングローブ賞授賞式

24日 ラジー ノミネーション発表

25日 アカデミー賞 ノミネーション発表

29日 米監督組合賞授賞式
2月
5日 SAG賞授賞式

26日 ラジー賞授賞式

27日 アカデミー賞授賞式

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