TEXT BY 尾崎佳加

 授賞式シーズンです!! “ロード・トゥー・オスカー” その6
 特集おさらい編 「オスカーナイトを倍楽しむための5か条」の巻

 アカデミー賞特集「ロード・トゥー・オスカー」も今週で6回目を迎え、来週はいよいよアカデミー賞の発表です。今回はオスカーナイトを存分に楽しむための5か条をつくってみました!


■一. 毒舌の司会者、クリス・ロックを知る。

 今年の司会をつとめることになったクリス・ロックは毒舌で人気のコメディアン。ここ数年、授賞式の視聴率が低下気味らしく、スパイスのきいたギャグのいえる司会者はいないかということでアカデミー協会がクリスに白羽の矢を立てた。

 ところが、節度のないロックの辛口ギャグは授賞式そのものまでをギャグの対象にしてしまい、早くも問題勃発。「オスカーなんてばかばかしい。黒人のノミネートも少ないのになんで見なくちゃいけないんだ。黒人男性で見るのはゲイくらいじゃないか。」言いたい放題の爆弾発言に、一時は保守的なアカデミー会員から降板を要求する声があがるほどの議論になった。

 しかしこれに対し、授賞式のプロデューサーであるギル・ケイツは「式が退屈だと感じる向きは少なくない。ロックはこれを皮肉っただけだろう。」とかなり太っ腹のご様子。どうやらこの騒ぎ、授賞式を盛り上げるための余興の一つだったらしい。

 本番前にロックがこれだけ毒舌を吐いていれば、やり直しのきかないライブ中継でどんな辛口が飛び出すか楽しみというもの。式では得意のFワード(*UCKとかのこと)は使わないと宣言したロックだが、果たして約束を守るのか?


■一. 創立から77年、オスカーの長い歴史を知る。

 アカデミー賞は1927年、アメリカ映画芸術科学アカデミーが創立した映画賞。この頃のノミニーたちを見ると白人ばかりが名を連ね、差別的な時代背景はロックじゃなくても皮肉を言いたくなる。そんな頑固な映画の最高権威も多様化の時代を迎え、黒人、有色人種などのマイノリティーの活躍も称えるなど、目を見張る変化を遂げた。

 この動きに光を見出したのか、かつては絶対にスポットライトを浴びる事のなかった米映画スタントマン協会がスタントマン賞の新設を要求。しかし、彼らはもともと主役を支える影の存在。黒子が堂々と表立って称えられては主役の面子が立たないような気がするのだが…。

 テクノロジーを駆使し、製作方法もどんどん変わり行くこれからの時代、アカデミーが今までどおりのスケールで映画を評価できなくなってきているのは確かである。オスカー77年の歴史をもっと知りたいという方は、オフィシャルサイトのデータベース(http://www.oscars.org/awardsdatabase/)でチェック。


■一. あなたも会員になり、オスカーに参加する。

 同じくオスカーのオフィシャルサイトに「Predict the Winner(あなたもウィナーを予想)(http://predict.oscar.go.com/predict/)」という人気コンテンツがある。文字通りアカデミーが発表したノミニーの中から受賞者を予想するのだが、見事的中した人には抽選でプレゼントが贈られる。

 気になる今年のプライズはプラズマテレビ&ホームシアターサウンドシステムにレンタルムービー会員権一年分という豪華映画づくしグッズ。カウチポテト養成キットと呼べないでもないが映画好きには嬉しい景品だ。

 ちなみに、現時点で各メディアの下馬評は「アビエーター」と「ミリオン・ダラー・ベイビー」の一騎打ちになるだろうとのこと。あなたの予想ではどちらにオスカーが微笑む?


■一. 心で受賞者のスピーチをきく。

 「神様ありがとう!お父さん、お母さん、支えてくれた妻や家族、それに…」壇上スピーチで長々身内の名前を連ねる受賞者。感動はわかるが見ている方としてはあまり印象に残るスピーチではない。

 だが、受賞者の中にはこの場に相応しい言葉を用意し、素晴らしい演説を披露してくれる人もいる。「神を信じる人も、アラーを信じる人も、全ての人に平和が訪れますように」。米イラク戦争開戦直後に式が行われた2年前、エイドリアン・ブロディーを始めダスティン・ホフマンら大勢がステージで平和の大切さを切に訴えた。

 「あなたのおかげで、みなが一つにまとまることができた。」先日のゴールデン・グローブでジェイミー・フォックスが、人種の壁を越えて人に感動を与えた音楽家レイ・チャールズを称えた言葉だ。今度の式でも世界に伝えたいメッセージを持つ受賞者やプレゼンターがいるだろう。心に響くコメントをチェックしておこう。


■一. アカデミー賞は作品選びの一つの目安にすぎないと知ること。
 昨年あれほど物議を醸した「華氏911」がアカデミーから完全無視を食らっている。読者のみなさんも疑問を持っている人がいるだろう。一般のファンが選ぶピープルズ・チョイス賞やラジー賞ではしっかり表彰されているのに、ゴールデン・グローブなどのメジャー映画賞では全く相手にされなかったのだ。

 何か圧力かかってんじゃないの?と興味をかきたてられたので調べてみたが、なんのことはなく単に選考委員会に作品を応募しなかっただけということが判明。仮に応募してもノミネートされていたという確証はないけれど、「華氏911」同様オスカーに認められたいと思わない良作が他にもたくさんあるということがわかった。

 最高権威と名高いアカデミーも、あくまで映画好きな人々の一団体。オスカーの対象とならない名作・佳作がたくさんある事を忘れてはならない。

 以上をもち、エイガファン的「オスカーナイトを倍楽しむための5か条」とさせていただきます。参考になるのか疑わしい項目もあるが、共感していただければ幸いです。

次週、授賞式シーズンです!! “ロード・トゥー・オスカー” その7
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