TEXT BY 尾崎佳加

 ハリウッドのテレビ事情
 夏のリアリティーTV、セレブ出演のショーが続々登場

毎度インパクトの強い番組でお騒がせの米リアリティーショー。この夏オンエアを控えた新シリーズも話題性たっぷりのラインナップになっている。
6月9日からオンエアされるCBS局の「The Cut(ザ・カット)」。スター誕生型のオーディション番組とだけいうと“またか”と思いがちだが、この番組がオーディションするのはファッションデザイナー。ファッション界の明日のスターを発掘しようという企画だ。そして、この新番組のホストはトミー・ヒルフィガー。米カジュアルブランド「Tommy Hilfiger」のデザイナー、ヒルフィガーその人なのだ。
さてこの新番組、全米からデザイナー志望者たち16人を募り、裁縫のいろはからファッション界のビジネス戦略、社交術などのサバイバル法を徹底的に叩き込む。優勝者には「Tommy Hilfiger」次期コレクションのデザイン権が与えられ、業界を目指す人にはまさに夢のようなゴールが待ち受けている。ところが、現在公表されている参加者のプロフィールをのぞいてみると専業主婦、ミス・ミネソタ、プロスケートボーダーなど驚くほど多種多様。このうち真剣にデザイナーを志している人が何人いるか、シリーズ開始を待って確かめてみなければいけない。
「The Cut」の参加者たち。そんなにお洒落とはいえない私服なのは番組の戦略か?
同じく「育成系」リアリティーショーで、さらに強烈なインパクトを放つ番組がNBC局から登場する。キャシー・ヒルトンの「I Want To Be A Hilton(ヒルトンになりたい!)」だ。
「I Want~」は、今やヒルトンホテルグループの名前が後からついてくるほどカリスマ性(?)のあるスーパーセレブ、パリス&ニッキーのママが贈るセレブ育成番組。全国の一般人(厳密には、資産はともかくセレブにふさわしい考えを持たない人たち)にキャシーママがマナーや礼儀作法などを説き、上流階級のなんたるかを教えるという筋書きだ。それにしても(ニッキーはともかく)パリスは連日メディアのヘッドラインに登場するようなゴシップクイーン。娘の知名度に触発されたのかキャシーママ、目立ちたがり屋の血は争えない。
そして、目立ちたがり屋も度が過ぎるとこんな風になりますよ、という例を示してしまった新番組「Britney And Kevin : Chaotic(ブリトニー&ケビン:大混乱)」(UPN局)。スーパーアイドルのブリトニー・スピアーズによる、夫ケビン・フェダーラインとのラブラブ新婚生活をありのままにキャプチャーしたドキュメンタリー式番組だが、これが早くもすごいコケようを見せている。
ブリトニー嬢、今までさんざんウソばかり書きたててきたタブロイド誌に「本当の私を見せてあげる」と意気込んだまでは良かったものの、自分がアイドルだということをすっかり忘れた私生活暴露ビデオにパパラッチのみならずファンまで絶句。四六時中エッチの話ばかりしている赤裸々すぎるブリトニーの素顔(スッピン画像も含め)に耐え切れなくなった視聴者の気持ちをまとめ、ワシントン・ポスト誌がひとこと。「史上最高に頭の悪い番組。原子爆弾を処理するように、鉛の中に入れて土の中に一万年埋めていないと危険」。早くも番組の打ち切りの話がでていることはいうまでもない。
このように、行く末に一抹の不安を残す新番組たち。大物がホストという話題性だけでどこまで突っ走ることができるか見ものである。
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