TEXT BY 尾崎佳加

 冗談? それとも悪意? セレブをアタックする“jerk”たち

ロス、ロンドン、パリ…。今週は世界各地で不愉快な事件にあうセレブが続出した。偶然とはいえなぜこんな事件がおこるのか? 中には国際問題に発展しうる由々しき事件も…!?
19日、ロンドン。トム・クルーズ主演のSF大作『宇宙戦争』の華々しいプレミア会場で4人の逮捕者が出るなど誰が想像しただろう。訪英中のクルーズがレッドカーペットでインタビューに応じている最中、差し出されたマイクの一つから水が噴射され、クルーズの顔を直撃した。「どうしてこんなことをするんだ?」穏やかだが怒りをあらわにインタビューアに詰め寄るクルーズ。バツが悪すぎたのかその場から逃げようとするインタビューアに「逃げるんじゃない、どうしてだと聞いているんだ」と彼の手をしっかり掴んで放さない。「私はインタビューに応じ、質問に答えているというのに君はこんなに不快なことをする。失礼極まりない。君はjerk(大ばか者)だ」
このインタビューアを含む3人のクルーは、英民放チャンネル4のセレブリティーを狙うドッキリ番組「Balls of Steel」の仕掛け人。単なるいたずらのつもりが暴行未遂で一時拘束されるほどの事件に発展し、あわてた同チャンネル側は「悪意はなかった」と謝罪を表明。「クルーズさんがジョークの解かる人であってほしい」と虫のいいコメントを発表した。この番組、3週間前にもシャロン・オズボーンを偽カメラから噴射する水でずぶ濡れにした。怒りを買った仕掛け人は、頭にたっぷり水の入ったバケツをオミマイされたばかり。まったく懲りないチャンネル4にオズボーンは「トムが法的手段に出るなら私も!」と意気込んでいたが、クルーズ側の広報は「時間も労力ももったいない」と起訴はしない考えだ。
たちの悪いjerkたちに悩まされているセレブは彼らだけではない。17日、ハリウッドヒルズの住宅地で行われたパーティーに出席していたレオナルド・ディカプリオは、見知らぬ女性にビール瓶で顔を殴られ12針を縫う大怪我を負った。女性はなんでも元ボーイフレンドに復讐するためずっと彼を探していたが、結局見つからなかったため、なぜかかディカプリオに狙いを定めたという。ディカプリオとこの女性の間には全く接点はなく、見事なとばっちりである。
ティーンセレブのリンジー・ローハンも先月末、しつこいパパラッチに追いかけられ、カーチェイスの果てに衝突されて軽傷を負っている。この事件以前からパパラッチたちの執拗なストーキングに異常な警戒をみせるセレブは多く、一般の報道陣たちは「I Am Not a Paparazzi(パパラッチじゃありません)」Tシャツを着て取材にのぞむなど、大変な気の使いよう。
パパラッチを非難する、こんなTシャツも。
ご難続きのセレブたち。ダメ押しは、テレビ司会者、オプラ・ウィンフリー。パリの高級ブティック街で「Hermes(エルメス)」に入店しようとしたオプラが、万引き犯と間違えられて門前払いされたのだ。オプラといえばアメリカじゃ知らない人はまずいない超有名人。先日もフォーブス誌の著名人長者番付「The Celebrity 100」に首位でランク入りした、黒人かつ女性で初の大統領有力候補とまでいわれる人物である。それがフランスでは「最近ノースアフリカンの人たちともめ事がありまして…」とバリアを張られてしまった。オプラはミシシッピ出身の生粋のブラックアメリカンだが、そんなことより客の容姿や特徴ではなく人種で入店制限する基準がなんか間違ってやしないだろうか。
このあとエルメスはこのとんでもない間違いに気づき、すぐさま謝罪し手厚いもてなしをしたと伝えられるが、もしオプラが侮辱されたと憤慨していたなら米仏国家間の人種差別問題に発展していたかもしれないのだ。
悪意があるないは別にして、jerkたちの浅はかな行動は他の思慮深い人たちを傷つける。思慮深い人々を見習い、行動、言動に責任を持てる存在になってほしいものだ。
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