TEXT BY 尾崎佳加

 【トレハリ】 ハリウッドを席巻するジャパニーズビューティー
「Geisha House(ゲイシャ ハウス)」、「Koi Restaurant(コイ レストラン)」、「Zen(ゼン)」、「Katana(カタナ)」…。これらはどれもハリウッドで大人気を誇るアジアンテイストのレストランの名前である。今までは、ジャパニーズレストランといえばオーナーは日本人と相場が決まっていたが、これらのレストランのオーナーはアメリカ人。日本びいきのアメリカ人が和風に憧れ、イメージして作ったものだという。ハリウッドのジャパニーズブームは映画やアニメだけでなく、レストラン業界にまで及んでいるのだ。
今やロス全体に広がっているアジアンブームは、ファッション界にも広がっている。美容マガジンに”zazen(座禅/瞑想)””chi(気)”“shiatsu(指圧)“といった日本語がひんぱんに使われたり、「Buddha nose(ブッダの鼻)」なるビューティーブランドも登場したり。大の親日家として知られる歌手のグウェン・ステファニーは新プロジェクト「原宿ラバーズ」で文字通り、原宿や渋谷周辺のファッションスタイルを意識したアパレルブランドを立ち上げてしまい、ヒューレットパッカードと協力してデジカメまで作ってしまった。このデジタルカメラ、「HP Photosmart R607 Harajuku Lovers」は台数限定の生産というのも手伝って大ブレイクしている。
「Buddha nose(ブッダの鼻)」製のバーム
欧米がオリエンタルな響きを“cool(カッコいい)”とする傾向は以前からもあった。これを化粧品業界が見逃すわけがない。コスメティックブランド「Fresh(フレッシュ)」はこの冬公開の映画『Memoirs of a Geisha(邦題『さゆり』)』をきっかけに、同作にインスパイアされた新コスメ「メモワール オブ ゲイシャ」を販売することを発表した。これまでの化粧品でもアジアをイメージさせるブランディング展開はあったが、「Fresh」はたんなるネーミングだけでなく、酒や米を原料とした成分配合で、日本の美容文化を本格的に取り入れた新鋭のブランドである。
話は変わるが、ナオミ・ワッツがジャパニーズホラーのリメイク作『ザ・リング』でブレイクしたのが1998年。その後サラ・ミッシェル・ゲラーを主演に迎えた『THE JUON/呪怨』や、この秋公開予定の大作『ダーク・ウォーター』(ジャパニーズホラー『仄暗い水の中から』リメイク版)に出演しているジェニファー・コネリーなど、ハリウッドの美系女優は続々と日本関連の作品に出演するようになった。最近では『ビー・ウィズ・ユー(原題)』(『いま、会いにゆきます』リメイク版)の主演にジェニファー・ガーナーが決定したばかりで、アジアのブロックバスターのリメイク作は女優たちの間で人気の高い作品となりつつある。
ハリウッド女優たちの間にも到来しているこのアジアなトレンド。ゲイシャブームはアメリカに根付くアジア文化のひとつになるかもしれない。
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