TEXT BY 尾崎佳加

 世界が愛する日本のブリッコカルチャー

パリ、ミラノ、ニューヨークに続き、先週ロサンゼルスで開催されたLAコレクション。ハリウッドという好立地でセレブの寵愛を受けた西海岸ブランドが待望の新作を発表するこの期間、他のクチュールとは違った形であるブランドがデビューを飾った。
細い目と厚めの唇がオリエンタル風な少女や、肩桜吹雪のタトゥーを入れたゲイシャ風な色白の少女。それぞれにメイクやファッションを楽しむ様子を描いたグラフィックがLAコレクションメイン会場の壁紙一面に描かれた。ポップアート「Tokidoki(トキドキ)」はLAコレクションのオフィシャルイラストレーターとしてファッション界の仲間入りを果たした。
「Tokidoki」はイタリアのアーティスト、シモーヌ・レーニョが大好きな日本をイメージして描いたオリジナルブランド。彼の作品には典型的な欧米の日本の印象であるスシ、ゲイシャ、ニンジャやカブキがたくさん登場する。もちろん、シブヤやハラジュクを意識したおめめぱっちりマイクロミニな女の子もいるし、ガンダムさながらのロボキャラだって登場する。ともするとごちゃ混ぜでたらめなジャパネスクに見えないこともないが、その実よく観察しているなと感心してしまう部分もある。はにかむようなどこか遠慮がちな女の子たちの微妙なしぐさを、思わずうなずきたくなるほど写実的に描写しているのだ。
以前、知り合いの韓国人が「日本の女の子はアニメのよう」と言ったことがあった。見た目そのものよりも、しぐさや振る舞い方がなんとなくアニメ風なのだという。よくよく聞いてみると、上目遣い、口元に手をあてる、髪や身体のどこかを常に触っている、内股などなど、確かに欧米の女性がしそうにないしぐさを例に挙げる彼。こうして並べてみると日本は特有のブリッコカルチャーを確立しているように見える。
ブリッコは日本中の広い層で熱烈に支持されている。それでなくても日本女性は世界で一番モテる人種である。日本女性は美容に強い関心を持ち、プロ並みのメイクで街を行き交う。デジカメ、カメラつき携帯、プリクラと何かにつけて写真を撮るのが大好きで、最もかわいく映るポーズを熟知している。流行には驚異的に敏感で、飽きる暇もないほど次々と生まれるトレンドの波に乗っては最新のオシャレを完全マスターする。そんな日本の女性に「アニメのよう」な愛らしいしぐさがプラスされると、とにかくもう、徹底的にかわいくなってしまうのだ。
そんなジャパニーズガールズの魅力にやられてしまったアーティストはシモーヌ・レーニョだけではない。小さい頃からハローキティーが好きだったというアクセサリーデザイナー「Tarina Tarantino(タリナ・タランティーノ)」は、サンリオからコラボレーションのオファー話をもらったとき、夢が叶った!と喜んでオファーを受けた。先月NYコレクションでデビューを飾った歌手兼デザイナーのグウェン・ステファニーも超のつく日本好き。バックダンサーにジャパニーズガールズを従え、ワールドツアーは「Harajuku Lovers(原宿ラバーズ)」と命名。同名のクロージングラインではカタカナ、漢字やアニメ風なデザインのTシャツやボトムスを展開している。
先日、友人たちとゆうこりんの話題で盛り上がった際、男性の「最高!」派と女性の「抵抗あり」派に分かれたが、今、世界が待っているのはまさに彼女のようなブリッコカルチャーから生まれた女の子なのかもしれない。「抵抗あり」派の女性もこれに勇気を得て理性のボタンをとばしてみてはいかがだろうか?(当方中傷、非難に対する責任は一切負いません…)
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