TEXT BY 堂本かおる(フリーライター)

 熱狂のプエルトリカン・デイ・パレード

 「第46回ナショナル・プエルトリカン・デイ・パレード」が今年も賑やかに行われた。五番街に大音量のサルサ・ミュージックが鳴り響き、200万人が赤青白のプエルトリコ旗を振りながら一日中踊る。今回は熱狂のパレードをリポート!
 6月8日の日曜日、タイムズ・スクエアにほど近い44丁目から86丁目まで、五番街がプエルトリコ系の人々でぎっしりと埋め尽くされ、スパンコールで飾られた華やかなフロート(山車)が何十台も繰り出した。

 プエルトリコとはカリブ海に浮かぶトロピカルな小さな島。昔からアメリカへ移住する人が多く、ニューヨークのあちこちにプエルトリカンのコミュニティがある。
プエルトリコの民族衣装をアレンジしたコスチューム
 アメリカに暮らすプエルトリカンは英語を話すが、彼らの本来の言葉はスペイン語。プエルトリカンも含め、中南米・カリブ海諸国のスペイン語圏からの移民を“ラティーノ”と呼ぶ。現在アメリカではラティーノ人口が爆発的な勢いで増加中。実はすでに黒人の人口を追い抜いている。
 プエルトリカンにとってメインの音楽は、もちろんサルサ。そのサルサも年配のミュージシャンが演奏する伝統的なものから、ヒップホップを取り入れた最新のものまでさまざま。人気FM局やコカ・コーラなど、若者に人気のある企業のフロートは100人以上もの若者が踊りながら後を追い、それを沿道の見物人がホイッスルを鳴らしながら応援するのだから賑やかこの上ない。まさに、ラテンの熱い血が爆発といった光景だ。
フロートの上で演奏する円熟サルサ・バンド
 このプエルトリカン・デイ・パレードのルートとなっている五番街は、言わずと知れた高級ブランド街。ルイ・ヴィトン、グッチ、プラダ、フェンディ、ゴディバ、ヘンリ・ベンデルなどがずらりと軒を並べている。しかし、毎年この日ばかりはほとんどの店がシャッターを下ろし、五番街は約200万人のプエルトリカンと、彼らが振るプエルトリコ旗の赤・青・白に染まってしまう。

 プエルトリコ系のスターと言えば、なんといってもJloことジェニファー・ロペス。ニューヨークはサウス・ブロンクス育ちの彼女は、1999年のパレードにグランド・マーシャル(総指揮者)と呼ばれる最高栄誉ゲストとして参加したが、近年は多忙なためか姿を見せない。
 Jlo人気はアメリカでもますます高まり、話題にも事欠かない。先月は、タイムズ・スクエアのマダム・タッソー蝋人形館にJloの蝋人形が登場。身体にぴったりとフィットしたセクシーなドレス姿を訪れる観光客に披露している。Jlo人形の除幕式に招かれたブルームバーグ市長も「本物にお会いしたいものだ」とコメント。ちなみにこのJlo人形、客が耳元で何かささやけば、ポッと頬を染める仕掛けがされているとか。

 また、恋人ベン・アフレックとの熱愛もまだまだタブロイド誌を賑わせている。ニューヨーク発の人気コメディ・ショー「サタデー・ナイト・ライブ」でも、「ベン・アフレックがJloに貢ぎ続け、プレゼントを気に入ってもらえないと涙を浮かべる」というギャグがオンエアされたばかり。
プエルトリコ・カラーでコーディネイトした姉妹
 そのジェニファー・ロペスとベン・アフレックがついに映画で共演した。アメリカでは8月1日に公開となるクライム・ラブロマンス・コメディ『Gigli』だ。ベン・アフレック演じるヒットマンのジグリは、地方検事の息子誘拐という大仕事を引き受ける。しかし、この任務をジグリが独りで遂行できるか不安になったボスは、Jlo演じる女ギャング、リッキを助っ人に雇うが……。

 監督は『ジョー・ブラックをよろしく』('98)、『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』('92)のマーティン・ブレスト。共演はアル・パチーノ、クリストファー・ウォーケンという渋さで、夏休みのヒットを狙っている。
 それはさておき、今年も熱狂のうちにプエルトリカン・デイ・パレードは幕を閉じた。しかし、ニューヨークのイベント・シーズンは幕を開けたばかり。7月にはアフリカン・アート・フェスティバル、8月にはハーレム・ウィーク、9月にはアフリカン‐アメリカン・デイ・パレード、ウエスト・インディアン(カリビアン)・パレードなど、大きなイベントが目白押しだ。
五番街はどこもかしこもプエルトリカン・フラッグだらけ


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