映画配給とDVD&VIDEO販売/発売元

 大半の方は、映画を公開した配給会社が、ビデオ&DVDを発売するとお思いではないでしょうか。確かにワーナーブラザースや20世紀フォックス、そしてソニーピクチャーズなどは、それぞれビデオ部門の関連別会社があるので、自社グループ内で劇場公開からビデオ&DVD発売までを行なうことが出来ます。しかしそのようなところは主にメジャー系会社だけで、インディペント系の会社だと必ずしも劇場公開とビデオ&DVD発売が一致しないことが多々あります。

 弊社東宝東和を例に皆さんにもわかり易くなるよう説明してみましょう。東宝東和の場合には、アメリカ側の取引先との契約によって“劇場配給権”しか持たない作品群と、全ての権利を有している(つまりオールライツを持っているということ)作品群に区分けされています。当然オールライツを持っている作品は弊社がビデオ&DVD発売元になる訳ですが、劇場配給権しか持っていない場合には東宝東和が発売することはありません。
 作品を例に挙げれば、数年前大ヒットした『シックス・センス』や『インサイダー』などは東宝東和が劇場公開は致しましたが、ビデオ&DVDはポニーキャニオンから発売となりました。これは上記の作品が劇場配給権しか持っていなかった為です。

 逆に最近発売した『トゥームレイダー』やこれから発売となる『スパイ・ゲーム』などは、権利を有している作品なので東宝東和からの発売になっています。しかし東宝東和では販売、すなわち実際に店頭に卸すことなどは行なわず、その部分は販売会社に行なってもらっているので、ややこしいかもしれませんが、発売は東宝東和だが販売は他社ということになっている訳です。

 皆さんからすればそのような部分はあまり意識されないと思いますので、イメージ的には東宝東和が発売・販売すべてを行なっているとか、逆に他社が発売・販売を行なっているという感じがするかもしれませんね。ちなみに上記作品でいうと『トゥームレイダー』がパイオニアLDC、『スパイ・ゲーム』が東宝に販売を行なってもらうということになっています。たまにビデオはA社だが、DVDはB社で販売する何て言う場合もあるので更に複雑の場合もあります。つまり販売会社ベースで言うと東宝東和公開作品だからといって決まっている訳ではなく、まちまちということになる訳です。
 実際は更に映画を買付ける際に出資提供を受けたりすることもありますので、そうなると発売元が共同で複数クレジットされたり、そこから販社が決まってきたりすることになり、もっと複雑になってくることも多いのです。この辺りのことはビデオ&DVDの裏面などを観て頂くと表記されていますので、ご理解して頂けるのではないかと思います。

 最近では、ギャガが松竹系の劇場で配給公開した『ハンニバル』や『ラッシュアワー2』が垣根を飛び越えて、ライバル系の劇場を持つ東宝のビデオ部門から発売されるというような事例も出てきています。こういった映画に関する諸権利について、当然一般の方はほとんど意識されていないでしょう。興味の持った方はこういった部分をクローズアップするだけでも、いろいろなことが見えくると思いますよ。
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東宝東和株式会社