来館者調査

 映画館に来場した際に、アンケートの協力を求められたという方はいらっしゃいますでしょうか?いつも実施している訳ではないですし、おまけに都内及び近郊の一部映画館でしか実施されないことが多いので、むしろそのような機会に遭遇されたことのある方のほうが少ないでしょうね。ほとんどの方は、そのようなアンケートが行われていることも知らないと思いますので、今回は映画館で行われるアンケート調査というものに関してお話させて頂きます。
 さて、このような映画館で行われるアンケート調査は、主に“来館者調査”と呼ばれるもので、実施される場合にはそのほとんどが映画公開初日に、映画会社(その公開される映画の配給会社の場合がほとんどです。東宝東和もときどき実施しています)によって行われます。勿論例外もあり、公開日とはまったく関係ないタイミングで行うこともあるのですが・・・。

 内容に関しては、各社によって若干の違いはあるかと思いますが、概ねの内容は大体一緒だと思います。つまり来館したお客さんが観ようとしている映画を「どのような媒体から、いつ頃認知したのか(知ったのか)?」とか「その映画を観たいと思ったその理由」などというものになるかと思います。
 映画をヒットさせる為には、当然その映画を宣伝しなくてはいけません。勿論公開作品の規模や内容によって、広く一般に向けて宣伝をするのか、または狭い範囲でもそのマニア層やファン層を確実に取り込むような宣伝をするのか、と戦略もまた変わってきます。そしてそれらの宣伝が大きくみて成功したのか、失敗したのかということは公開されてからの興行成績に如実に反映される訳ですから、観客の入り具合で判別が出来ます。

 しかしそれだけでは、踏み込んだ結果分析を行うことは出来ません。その為に来館者調査として、実際に映画館に足を運んだ観客の“生の声”を集めることによって、宣伝が成功したなら、例えばどんな媒体がもっとも効果的だったのかという確認ができるのです。そして宣伝が失敗に終わったのであれば、例えばその失敗を繰り返さない為にも何がいけなかったのかという反省材料としての分析が必要になっていく訳です。そしてそれらの分析結果は各社のデータベースとして蓄積されていき、今後の作品に対してそのヒットの度合いを少しでも高めていく為に活用されていく訳です。
 昔は映画がヒットするのか?しないのか?ということを事前に判断するのは非常に難しいと言われていました。これは恐らく判断材料となるデータがあまり無かった故だと思います。現在ではそのような時と比べれば判断材料はかなりあるので100%ではないにしても、その映画がヒットするのかしないのかということはかなり高い割合で予想をすることが出来るようになったとは思います。

 しかし時代は日々確実に移り変わって行きますし、人々の嗜好もまた年々変化していっていますので、今回のテーマにあるような調査は、宣伝を自己満足で完結させることなく、次へ確実に繋げていく為にも絶対必要なのです。映画館に足を運んで頂くのはあくまで一般の方なのですからね。
 なかなかこのような調査の現場に皆さんが遭遇することはないかもしれませんが、もしそのようなチャンスがあれば確かに記入などが面倒だとは思いますが、是非アンケートに協力して頂きたいですね。皆さんの貴重なご意見が、明日の大ヒット映画を生み出すことになるかもしれないのですから。
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東宝東和株式会社