オールライツについて

 以前の豆知識でも簡単に触れましたが、1本の映画には、それに付随して様々な諸権利が存在しています。それは映画の中身(映画本編の映像やキャラクターの肖像など)に関するいわゆる“著作権”といわれるものと、権利ビジネスとして、その映画を映画館やビデオ&DVDそしてTVなどで使用する際の劇場配給権・ビデオ権・TV権といった諸権利になります。
 つまり、もしそれら全ての諸権利(いわゆるオールライツということですね)を有している映画が公開されて大ヒットした場合には、その後映画館以外の部分でもかなりの収益が見込めることになり、ビジネスとして大成功ということになるのです。

 洋画の場合、当然日本の配給会社が映画制作をしている訳ではありませんから、弊社のようなインディペント系会社が海外から映画を買い付ける際、契約条項として、その配給会社が日本における代表として、諸権利保有を許諾されているということになります。このオールライツを保有している場合には、よく(C)表記として~ALL RIGHTS RESERVED.というようなものが表示されてます。
 東宝東和の場合には、以前にも触れましたが、全ての公開作品のオールライツを保有しているわけではなく、『トリプルX』のように、日本での劇場配給だけ(つまりビデオ&DVDやTVは別会社扱い)を委託されているものもあります。ですから、公開時点でなんとしても結果を出さないと、収益が出ないという厳しいものもあるのです。反面でオールライツを保有している『トータル・フィアーズ』のように、公開時点でとりあえず成功を収めている作品では、この後の権利ビジネスの展開においても期待が持てるということになっていきます。

 また一方、オールライツを保有している作品でも、契約時点で保有期限が設けられている作品もあります。保有継続の更新契約が出来る場合もありますが、それが出来ない作品では、永久にオールライツを保有するということは出来ません。映画制作時点で先を見越して、一部出資をしているような作品(東宝東和の最近の例で言いますと『トゥームレイダー』や『ローラーボール』などでは名前がオープニング&エンディングでクレジットされています)では、その映画はただ買い付けをした映画とは異なり、自分たちの映画でもある訳なので、オールライツを永久に保有することが可能になります。
 従いまして、例えば過去に弊社東宝東和が配給して、ビデオなどを出した作品だからといって、いつまでもその権利を保有しているという訳ではないのです。通常は5~10年ぐらいまでで権利が切れてしまうことが多いのです。

 東宝東和は過去に、とりわけゴールデン・ハーベスト製作のジャッキー・チェン主演映画を配給していたこともあり、いまでもジャッキー作品は、東宝東和がいつまでも権利を保有していると思われている方が多いでしょう。しかしながら実は、もうそのほとんどの作品で権利が切れてしまっており、東宝東和では権利保有していないというのが現状となっています。

 永久にオールライツを保有する映画が、公開時点で期待通り大ヒットしてくれれば、ビジネスとしては短期的にも長期的にも収益が見込める理想的なパターンとなります。そう考えると、皆さんがその映画に一番最初に触れる場である劇場公開というものが、いかに重要になってくるかということがお分かり頂けることと思います。全てが大ヒットしてくれれば苦労はないのですが、それは非常に難しいことになりますから。
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東宝東和株式会社