DVDのケース

 DVDが最近ようやく一般的に市民権を得て、急速に普及しつつありますが、実はDVDを収納するケースは様々なタイプが使われていて、まだひとつに統一されてはいないのが現状です。それでも音楽CDと同じ形状で透明な「ジュエルケース」と呼ばれるものと、現在主流であるビデオケースを縮小&スリムにしたような「トールケース」(アマレーケースとも言われます)が二分をしていた時を考えれば、映画DVDはほぼ全てが「トールケース」に統一されたといっても良い状況になっています。
 それはここ最近、こと映画DVDに関しては今まで「ジュエルケース」でのみ発売をしていたメーカーが「トールケース」で発売するといった方向転換をしている為なのです。これには当然理由があります。一般の方の中には「ジュエルケース」の方が良いという方もいらっしゃるとは思うのですが、やはり音楽CDとの区別化、そして映画ソフトとしてのボリュームがあるといったことから、「トールケース」が支持されていったのだと思います。またDVDを実際に発売する各店舗側からしても、混在するのは商品陳列上好ましくはなかったので、現在のように「トールケース」が主流になっていったと思われます。
 また最近ではこの「トールケース」からの派生タイプのケースとして、ケースとジャケットが一体化した“デジパック”と呼ばれるもの(各面にディスクトレイを設けることにより2枚組や3枚組なども可能)や、2枚組などの場合にも対応できる重量感のある少し厚みのあるもの(通常「トールケース」でも、もうひとつ仕切り用の別トレイを挟み込むことによって2枚組収納は可能。現行はこちらが2枚組収納の主流)なども出てきているので、「トールケース」タイプのものが広く使用されているといった方が正しいかと思います。
 そして、今度は逆に「トールケース」が当たり前になった為に、各メーカー側からすれば「トールケース」にただDVDを入れて発売するだけでは、他社との差別化を図れなくなるようになってしまいました。そこで各メーカーは、特に売れる見込みのあるタイトル、あるいは大きく売れて欲しいタイトルに関しては、上記のような「トールケース」の派生タイプなども使用しつつ、制作予算を多めにかけて、プラスαのケースなどをつけるようになりました。これがいわゆる“外箱ケース”などと言われるものになります(ここでいう外箱ケースは、マニア性の高い限定の豪華BOXなどとは異なるものを意味しています)。

 当然、よほど劇場で大ヒットした作品は、何をしても売れますので別格ではありますが、通常の作品においては店頭でお客さんの目を引くこと、つまり目立たなければ興味も持たれないので、このようなプラスαのケースは、それこそ各メーカーが現在様々な試行錯誤を重ねている部分にもなります。
 不思議なもので、ただ「トールケース」のみのタイトルと外箱がついているタイトルでは、多くの方は外箱がついているものに自然とある種の豪華感を感じるはずです。また同じ外箱でも薄いものと厚みのあるものでは、当然厚みのある方がどっしりして重量感を感じるはずです。後、“色”という要素も、豪華・重量感などを醸し出す大事なものです。このあたりは人間の深層心理にも関係する部分になりますが、タイトルによってはこのようなプラスαが大きく生きる場合もありますので、マーケティングが重要になりますよね。

 また最近では普通の「トールケース」で外箱もつけないが、ジャケットをキラキラと反射する紙などを使って印刷することによって目立たせる、なんていう手法も使われているので、それこそ各メーカーいろんなことをやっています。
 勿論、皆さんがDVDを購入したいと思う要素の大半は、その中身にあると思いますが、このような“外見”も今後は購入の要素として意識して頂ければ、きっといろいろメーカの思惑が見えてきて興味深いかと思います。従って、現在はネット通販やコンビニ販売など手軽にDVDを購入できるのですが、TSUTAYAなどの大型店舗に足を運ぶことが可能な方は、是非そのような店頭でいろんなタイトルを見て貰いつつ、DVDを購入して欲しいと思います。

 最後に、ちなみに皆さんはUS版のDVDというものを目にされたことは無いかもしれないですが、確かに値段は安く(概ね2000~3000円ぐらい)中身も凄いものも多いですが(まれに日本版の方が中身も凄いことあります!)、“外見”に関しては、制作コストを抑えることで値段を安くしているとも言えるんですが、はっきりいって日本版に完全に負けているものがほとんどと言っても過言ではない程、工夫の無いものばかりなのです。つまり中身は替えようがないのですが、外見に関しては日本はアメリカ以上にオリジナリティを発揮して、各メーカー頑張って制作しているという訳なんですね。
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