映画配信について

 この1年で急速にブロードバンド化が(ADSLが中心ですが)日本でも進んできたのは周知の通りです。大容量のデータのやり取りがそれほどストレスなく行なえるようになれば、当然それに伴い“コンテンツ”というものへのニーズが高まってきます。
 中でも映像コンテンツは、一番ブロードバンドを実感できるものとして需要が高いものですよね。そうなると誰もが思うのは、さすがに新作映画は無理にしても旧作映画をレンタル店に借りに行くことなく、いつでも好きな時にネットで観ることが出来たら便利! ということではないでしょうか。俗に言う“ビデオ・オン・デマンド(VOD)”というやつです。

 事実、映画の本場アメリカでは、つい最近メジャー系映画会社5社が共同して「ムービーリンク」という有料映画配信サイトを立ち上げ、ここ1~2年で公開されたような比較的新しい映画も含んだ形での映画配信を遂に開始致しました。残念ながら日本からはサイトそのものを観ることが出来ませんが、これは非常に画期的なことですので、当然日本でも話題になっています。
 日本でも現在、一部映画会社により未公開映画やショートムービーなどの映画配信や昔のアニメなどの配信などは行なわれておりますので、環境的には整備されつつあり技術的にも可能なレベルに来ていると言えます。従ってあと何年後かは分かりませんが(もしかしたら比較的早いかもしれません)日本でも確実にアメリカのような本格的な映画配信が始まるのではないか?と個人的には思っています。

 映画館やビデオ&DVD以外で映画を観れる媒体としては、これまで地上波のフリーTVやCS・BSなどのペイテレビだけでしたが、そこにその中間的な存在としてのインターネットという新媒体が入ってくる可能性は大きいと思います。ブロードバンド加入者の急増ぶりはCS・BS立ち上げ当初よりも勢いのあるものですし、利便性のあるビデオ・オン・デマンドが可能という“ウリ”がありますからね。
 日本における本格的な映画配信に関しては現在各社、タイミングを見計らった様子見といった状況だと言えます。現在ブロードバンドの主流はADSLですが、それで映画配信としては事足りるのか? 光ファイバー(FTTH)が一般的に普及してからの方が、より快適かつクオリティの高い映像を配信できるのではないか? テレビ画面よりも小さいPCの画面で(最近は大きい液晶モニターも出てきましたが)の観賞にユーザーは抵抗を感じないのか? そして一番重要なセキュリティは大丈夫なのか?(簡単にユーザーにコピーされてネットで流出なんて最悪ですからね)等々の技術&ハード部分が大きな懸念事項になっている為です。

 おまけに前述の既存媒体(TV/CS&BS)との兼ね合いとして、通常の流れはビデオ&DVD→CS&BS→TVとなっているが、どの時点で配信するべきなのか? といった部分も当然、今後の問題になってくるからです。しかし映画会社としては新しいビジネスチャンスの可能性が増える訳ですから、今は無理でも将来的には必ず何とかして関わっていくことになると思います。
 来春にはそういった懸念をある意味クリア?したものとして、Yahoo!BBが運営する、ADSLでテレビを活用した“BBケーブル”といった放送サービスが始まり、その中で本格的な“映画配信”が光ファイバーを待たずして始まりそうな気配です。もしかしたらそれを契機として一気に映画配信の話が日本でも進むかもしれません。

 まあ、とにかく一映画ファンとしては、ストレスが無い状況かつ低料金で旧作から新作及び準新作までが、いつでも好きな時に自宅に居ながらにして見れるようになるのであればそれは非常に歓迎したいですし、早く実現して欲しいと思います。そうなってしまうとレンタルビデオ店にとっては死活問題になってしまいそうですが、借りたいものがレンタル中という状況は確実になくなる訳ですから、それだけ考えても便利ですよね。
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