リメイク

 続編(シリーズ)ものの項目でも取り上げたように、近年ハリウッドの様々な映画企画にはオリジナルのものも多いのですが、安定した興行が狙えるということからの続編制作、そして今回取り上げるような過去映画化されたもののリメイク(再映画化)企画が多いのは、昨今のニュースなどで皆さんもご存知なのではないかと思います。

 あまりヒットしなかった映画ならいざ知らず、それなりのヒットをした映画のリメイクであれば最初から知名度もあるし、収益もある程度は確実に見込め、おまけにリメイクによって話題になるというプラス要素も手伝ってか、本当に最近は“リメイク企画流行り”と言っても良いと思います。
 ファン心理としても、自分が好きだった過去の映画がリメイクされるとなれば、どんな風に生まれ変わっているのか興味津々でしょうから(誰が監督・出演してストーリーはどうなのか? といったこと等々)潜在的な観客の観賞意向も否が応にも高まって、映画としてはスタートラインから大きなアドバンテージを持っているということになる訳です。

 勿論、それ故にリメイクする映画の選定というものが非常に重要になってくるので、誰もオリジナルを知らないぐらい古い映画や、近年の映画ではリメイクの意味が無いということから最近では20~30年前、つまり1970~80年代ぐらいのものが多いように思われます(最近だと『PLANET OF THE APES 猿の惑星』(01)が話題になりましたね。弊社でも『ローラーボール』(02)という映画がありました)。

 ただ、ここ最近でハリウッドは“他国の映画”をハリウッドリメイクするという手法を取ることによって近年の映画でもリメイクすることを可能としました。もっとも、この手法によるリメイクはその映画がアメリカ国内で公開されていないものもあるでしょうし、公開されていたとしても限定公開だったりとほとんどのアメリカ人には初見であると思われるので、アメリカ的にはまったくの“新作”といっても良いのかと思われます。
 皆さんが良くご存知の例としてはスペイン映画の『オープン・ユア・アイズ』('97)をリメイクした『バニラスカイ』(01)、我が日本映画の『リング』('98)をリメイクした『ザ・リング』(02)などが既に公開済みのものとしては記憶に新しいのではないかと思います。特に我々日本人にとって今後日本映画のリメイクが数多く企画されるているのが非常に興味深いところです。

 『ザ・リング』の全米での成功もあってか、特にジャパニーズ・ホラーというジャンルは海外でも注目されているようで『仄暗い水の底から』(02)や『呪怨』(03)(何と日本版と同じ監督が抜擢!)などのハリウッドリメイクが既に決定していますし、日本で大ヒットした『Shall we ダンス?』('96)がリチャード・ギア&ジェニファー・ロペスといった今話題の俳優がキャスティング(予定)されてのリメイクが決定しているなど何かと話題には事欠かない状況です(その他にも黒澤作品のリメイク話などあり)。

 『千と千尋の神隠し』(01)がアニメとは言え、アカデミー賞を受賞しましたから、これからは今まで以上に日本映画というものがハリウッドから脚光を浴びると思いますので、思わぬ映画がハリウッドリメイクなんていうことがあっても何ら不思議ではないのかもしれません。

 どこまでオリジナル版に忠実なのかという視点で、オリジナル版とリメイク版を見比べてみることが出来るのが一番面白いところな訳ですから(ちなみに『ザ・リング』はオリジナル版にほぼ忠実でしたね)、その上で果たしてリメイク版はオリジナル版を超えることが出来たのかどうなのか? リメイク版なりの良さはあったのか?逆にあらためてオリジナル版の良さを再認識するなど、皆さんでもいろいろと見比べてみてはいかがでしょうか? 今後、邦画リメイクを含めて、ハリウッドのリメイク映画の企画はもっと多くなるようですから…。
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