日本語吹替版<2>(2)

 前回に引き続き、日本語吹替版のバージョンについてのお話です。

 一番最初に観たのが地上波オンエアの吹替だった場合、その吹替の印象が強く残って固定されます。そのため、ビデオ&DVDの吹替版を観たらイメージが違った、という方もいるのではないでしょうか。

 そのせいか、現在、まだDVD化されていないような過去の旧作や名作、話題作のDVD化が続々決まってきています。それにあたり、ユーザーの中で“○○版の吹替をぜひ収録してほしい”という要望があるのも当然だと思います。ただ、権利クリアの問題などがあるようで、特に地上波オンエアで制作された吹替版をDVDに収録するという逆の流れはなかなか難しいようです。
 最近はあまりそういう作品はないですが、昔は不思議なもので、吹替版がオリジナル版より独自の雰囲気を醸し出していた作品がありました。香港映画「Mr.BOOシリーズ」の地上波オンエアにおける広川太一郎氏の吹替は、台本無視ともいえるアドリブ的なセリフ回しが抱腹絶倒ものでした! 残念ながら、つい最近発売されたDVDには、この広川太一郎氏による吹替は収録されていないとのことです。

 ユーザーからの声が多数あれば、地上波オンエアの吹替版がDVDに収録され、それがDVDのセールスポイントになるということも今後は十分考えられます。地上波オンエアされたときにしか吹替版が存在していない、つまりビデオ&DVDにも吹替版が一切収録されていない、という“幻の吹替版”も結構あるようですから、それらが再び日の目を見ることもDVDならあり得そうです。

 なかなか一般の方には、同一作品の様々な吹替のバージョンを観る(聞く?)機会はないと思います。でも、ビデオ&DVD版と地上波オンエア版との違い、地上波オンエア版の各局ごとの違い、という普段あまり気を留めてない部分に注意して映画を観てみると、いろいろと新しい発見ができて、自分のお気に入りの声優も見つかるはずです。
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