地上波デジタル放送

 皆様は今年12月より関東、中京、近畿において「地上波デジタル放送」が開始されることをご存知でしょうか? 最近連日のようにこの文字が新聞などの紙面を賑わすことが多くなりましたが、先日電通が発表した調査結果によると、まだ放送開始地域においても4割ぐらいの人達は地上波デジタル放送のことを全く知らなかったということです。放送開始が12月からということを知っていた人も3割に満たなかったそうです。ましてや現在主流のアナログ放送が、2011年までには完全にデジタル放送に切り替わるということまで知っている人は、ほとんどいないといってもいい状況だと思います。

 上記の通り、この地上波デジタル放送は国の方針のもと、今年12月から関東、中京、近畿地区において開始され、将来的に2011年までには全国すべての地域で現在のアナログ放送からデジタル放送へ切り替わることになっています。つまり、我々は今後、希望するしないにかかわらず、どこかのタイミングで確実に地上波をデジタル放送で観ることになるわけです。単純に、今観ている民放各局の放送がアナログからデジタルになるということです。

 最近発売されている薄型テレビやプラズマテレビであれば、地上波デジタル放送対応を謳ったものもあると思います。しかし昔ながらのテレビではデジタル放送を受信することは出来ないので、そういうテレビしかない場合には、必ず受信できるタイプのテレビに買い替えなければならなくなります。恐らく、買い替えのニーズを見越して完全にデジタル放送に切り替わる頃までには、専用テレビの価格も大幅にダウンされ購入しやすくなると思います。それでも前述の調査結果からわかる通り、決して一般からのニーズのもとスタートするものでは決してなく、国先行でのものなので、今後地上波デジタル放送を普及させるためのキャンペーンなどが開始されるでしょう。そして多くの方がわざわざ受信のためにテレビを買い替える必要があるということを“本当に知った”時は、うまくやらないと様々なトラブルを起こすことになると思います。
 しかしながら、この地上波デジタル放送は悪いことばかりではありません。例えば、私たちが扱う「映画」で考えれば、まず放送用のマスター素材は「ハイビジョン」になります。つまり、従来よりも画質が格段にアップします。ハイビジョンについては以前にも触れたと思いますが、マスターとしては現在最高クラスのクオリティをもつものなので、DVDの画質よりも基本的には良いものと考えてよいと思います。

 また、音質に関してもデジタル放送により5.1ch放送が可能となるので、DVDに収録されている5.1ch音声と同じく臨場感あふれる音声の再現が可能になります。つまり、地上波ですからフリー(無料)で将来的にはそのクオリティの映画を鑑賞できるようになるのです。そう考えると、一般の方にとっても、かなりのメリットがあるのではないでしょうか? 私たちにとっては、DVDなどのメディアとの住み分けの問題があります。もちろん、クオリティが高い分、それを私的録画した場合の著作権などの問題も出てきます。コピーワンス(※1)などのセキュリティ措置が導入されていくことになると思います。

 映画以外の分野でもメリットは同様にあり、ドラマでもきっとハイビジョン収録がなされ、画質や音質が格段に良くなるでしょう。バラエティや音楽番組であれば、かなりの臨場感を体験できるはずです。また、現在BS/CSデジタル放送で一部行なわれているようなインタラクティブ番組(※2)も、デジタル放送ならではの機能として増えてくることになると思います。

 とにかく、本当に12月からスタートするのかというぐらい世間に浸透していない地上波デジタル放送ではありますが、今後確実に私たちにとって身近になってくるものです。皆様にも今回の豆知識がきっかけとなって、今のうちから興味を持って動向に注目していただければ何よりです。


※1:一度だけ放送の録画が出来るが、そこからのダビングは不可
※2:視聴者がボタンなどを押して実際に番組に参加することが出来る
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