US版と日本版DVD

 よほどの映画好きな方以外は、専用のプレーヤー(リージョンフリーもしくはリージョン1プレーヤー)が必要なので、US版DVDというものは観ることはまず無いと思います。国内にも輸入版DVDを専門に取り扱っているショップがあり、また今はネットショッピングという手もあるので、輸入版を手に入れるのは非常に容易ではあります。しかしながら現在は映画公開タイミングが日米ほぼ同じの作品が多い為、USと日本でのDVD発売のタイミングがほぼ近いものになっています。そして当然ながら日本語字幕が一切無い訳なので、一般の方にとってはほとんど観る必要性が無い訳です。
 それに最近ではUS版でも2枚組のものが増えてきましたが、多くの場合US版は1枚での発売が多いので、日本版の方が2枚組でお得で、おまけにパッケージも外箱が付いていたりしてUS版より豪華だったりします。

 何故お得かといえば、単純に外見的に2枚組だからということだけではありません。US版は1枚に無理やり特典映像まで含めて“押し込む”的なものが多いので、そうすると“ビットレート”と呼ばれるデータ圧縮率を高くせざるを得なくなり、必然的に映像や音声データが犠牲になってしまうことになるのです。

 低圧縮率であればあるほど、元の映像データや音声データに近いクオリティでデータを収録出来るので、高画質・高音質といえます。最近ソニーが発売している“SUPERBIT”シリーズなどが、まさに一切の特典映像や複数音声を収録しない代わりに映像と音を出来る限り良いクオリティ(低圧縮率)で収録しているというものになります。

 つまり日本版のように本編ディスクと特典ディスクに分けた方が、少しでも本編の画質や音質を犠牲にしないで済む訳です。もっともそれでも最近は本編の複数音声収録<4~5本ぐらい>が多いので、かなりデータを喰われてしまっていることは確かです。
 更にUS版DVDと日本版DVDの収録映像特典においてもほとんど違いはなく、むしろ日本版に独自の映像特典がプラスαとして追加されるというケースが多いのです。但し、唯一の例外としてはUS版DVDにはPCでの視聴を前提としてか“DVD-ROM特典”というものが収録されていることが結構あり、これはPCでDVD再生をした際にしか観ることが出来ません。

 勿論日本版でもワーナーや20世紀フォックス等のメジャー系会社のDVDなどには、DVD-ROM特典が収録されているのですが、日本ではPCでのDVD視聴は推奨しない(再生トラブルを懸念する傾向が強い為)という考え方が多いようなので、わざわざPCでの視聴を推奨することになるような特典を収録しないことも多いのです。弊社製のものなどもDVD-ROM特典は収録していません。

 上記のように考えていくとUS版DVDを観る価値は、上記DVD-ROM特典の有無と、ただ日本版より早く観れるというだけで(劇場公開のタイミング次第では日本公開時点でUS版DVDが発売されていることもあります)、それ以外にはほとんど無いということになってしまいます。でも中にはUSでしか発売していない作品のDVDや、あるいはUSでしか発売していないバージョンのDVDがあったりするので、映画好きな方にとっては、あの作品のDVDが日本では発売されていないということがあった時などは、まさにUS版DVDの存在価値が真にでてくることになります。勿論、将来的には日本でも発売されることになるかもしれませんが、何時になるのか分からない作品も多いようですので。

 まあ、多くの場合において日本版DVDは本国のものより、いろんな意味で立派なものが多いということを憶えておいて頂けたらと思います。
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