DVDの仕様に関して(2)

 前回、DVDでよく問い合わせのある事項として、“レイヤーチェンジ”というDVDならではの仕組みに関してお話をさせて頂きました。しかし恐らくDVDに関してもっとも多いであろうお問い合わせ内容は、上記を含めたご使用DVDプレーヤーにおける“再生の不具合”ということになるかと思います。これは、一概には言えないのですが、要するに同じDVDソフトであっても、再生するDVDプレーヤーの機種によっては、必ずしも同じように再生されないことがあるということです。
 勿論、我々もDVDソフトのマスター(DVDをプレス製造する大元になるもの)を制作した段階で、試験的にプレスされた“プルーフディスク”(商品ディスクのように、レーベル印刷がされていない無地のものとお考え下さい)と呼ばれるもので、検証という形で各社の代表的なDVDプレーヤーに関して問題なく再生が出来るかどうかということをチェックします。

 その上で、実際にプレスを開始するのですが、それでも世に出回っているありとあらゆるDVDプレーヤー(広義でパソコンなどでも再生出来るものも含めたとして)でチェックを行なっている訳ではありませんので、ものによっては上記のような再生の不具合(画面がおかしくなる、最初から一切再生が出来ない、途中で完全に画面がフリーズしてしまう等々)が出てくるものもあるようです。
 何故同じ規格で作られているハズのDVDプレーヤーが、ものによって再生の不具合を起こすのかはよくは分かりませんが、DVDは莫大なデータを記録した精密なものですから、果たしてどの程度あるものなのか分かりませんが、記録面のピックアップスピード?の違いなど機種による微妙な個体差などが考えられます。

 あるいは、プレス製造の際に規格外のものが生じた際には、ほぼ自動的に排除されるのですが、それがたまたま混じっていたとか、規格内の認定だがギリギリのレベルだった等々、DVDソフトのプレスの際の微妙な個体差などが作用しあい、何らかの原因になってしまうとしか基本的には考えられません。ですので、我々はこのような状況を、抽象的であまり良い表現ではありませんが、“機種との相性”と表現しています。
 尚、ちなみに最近までの状況から総合すると、もっともよく再生に関して不具合のお問い合わせを頂くのは「PS2」がダントツになっています。勿論すべてのDVDソフトで問題が出るという訳ではないと思われますが、他の機種では問題ないのにPS2だと問題ありというケースはよく聞く話なのです。

 これはやはりDVD再生専用機ではないが故のことなのかもしれず、上記検証段階でも当然PS2の検証は必ず行なっているのですが、それでもPS2は製造時期によって形式番号の違いが出てくることもあるらしく、それと上記の相性問題が絡み合う為か、ちょくちょくお問い合わせを頂いています。ですので、PS2をご使用されている方には誠に申し訳ないのですが、実はソフトメーカーからするとPS2は結構、要注意対象機種だったりする訳です。

 ついては、購入したDVDソフトをお持ちのDVDプレーヤーで再生した際、もしも何らかの再生不具合が生じた場合には、まずは表面上に傷などの外的要因がないかどうかをご確認して頂いた上で、ご購入されたお店か、あるいは販売メーカーのカスタマーサービスセンターにご相談されるのが一番だと思います。カスタマーサービスセンターは、発売元では設置していないことが多いと思われますが、販売元では大抵設置しているはずです。DVDソフトには記載されていないことが多いでしょうが、HPなどには記載されていると思います。

 確実な対応を考えた場合、カスタマーサービスセンターの方がベターですので、お奨め致します。あきらかにディスクに問題(内部・外部)があると思われる場合には、交換などの対応をしてくれるはずですので。ただし、交換で症状が解消すれば良いのですが、ディスクを交換したのにも関わらず再度同じ症状が出るという場合には、要注意です。お使いの機種にどこか問題があるという可能性も出てくるからです。

 我々としても、通常であれば商品を納品さえしてしまえば、それでひと安心といきたいところなのですが、DVDという商品に関しては、前述してきたように一筋縄ではいかないところがありますので、本当に発売後も大丈夫かどうか?問題がないかどうか?という心配が尽きないのです。大量出荷したDVDなんかは特に。
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