DVDに収録される“音声&字幕”

 今回のテーマは、第95、96回でお話した“DVDの仕様”の追加補足にもなるかもしれませんが、DVDに基本的に収録されている字幕の種類とその意味についてお伝えしておきたいと思います(既にご存知のことばかりかもしれませんが……)。
 DVDはその特性として、任意に字幕や音声を選択して映画本編を観賞することが出来ます。ビデオのように字幕版と吹替版が別々にあるわけではないので、それぞれ借りる(購入する)必要性がなく、1枚で様々な観賞方法がとれるという非常に便利なものですよね。

 しかしながら、ほとんどの方は、いわゆるオリジナル(英語)音声に、「日本語字幕」を選択、もしくは日本語吹替版音声にした場合には、とりあえず「吹替用字幕」を選択して映画をご覧になられていることと思います。ただこの「吹替用字幕」というものの意味をキチンと理解されている方は意外と少ないのではないでしょうか?

 また必ずしもではありませんが、収録されている「英語字幕」や「音声解説(コメンタリー)用字幕」まで選択して、DVD本編を最初から最後まで観賞したことがある人は本当に少ないのではないかと思われます。かくいう私も仕事柄、自社映画のものはチェックのためにも全てのパターンで観賞しますが、他社のDVDは見てもせいぜい「吹替版音声」ぐらいまでということがほとんどですので偉そうなことは言えません。
 さて「吹替用字幕」とは吹替版音声で映画を観賞する際に、その手助けになるために収録された字幕のことを意味します。具体的には、セリフでは説明されないが画面上に表示されている文字情報(年月日・人物名・国名・地名・場所名・新聞・雑誌等の記事……etc)に日本語字幕を付けてあくまで補足として表示されるものになります。

 よってこれを選択しないからといって「吹替版音声」が楽しめないということはまったくありませんが、あったほうがよりストーリーを理解できると思います。ただもしも映画の内容的に「吹替用字幕」の必要性がないものであれば、当然この字幕は収録されません。もっとも収録されている映画でも本編の中の僅か数箇所のみしか収録されていないということも決して珍しくはありません。
 一方「英語字幕」は、その名の通り日本語ではなく英語の字幕が画面上に表示されるものになり、基本的には男優・女優のセリフとイコールとなっています(それ以外にも状況説明の字幕が入るものもあり)。元々この「英語字幕」は、アメリカ本国の難聴者用に開発された「クローズドキャプション」という英語字幕の表示システムがビデオテープや番組放送に信号として記録されていたものです(専用機器を通して再生すると英語字幕が表示されるという仕組みです。日本でも番組で難聴者用に字幕放送がありますよね)。

 それがDVDというメディアになってからは専用機器がなくても良いように標準的にUS版DVDには収録されるようになったとのだと思われます。日本版においてもほぼ標準的に収録されている訳ですが、本来であれば日本では必要性のないものなので、どちらかというと“英語(英会話)の勉強用”という意味合いが日本では強いと思われます。

 実際、英語字幕で映画本編を見ると映画のストーリーを知っているせいもあり、そんなに難しい文法やら単語ばかりを使っている訳でもないので、英語字幕内容がスンナリ理解できるように個人的には思います。勿論英語アレルギーのある方にはお勧め致しませんが(笑)、英語(英会話)の勉強をしようと思っている方で映画好きな方には、一度は英語字幕を選択して映画本編を観賞してみてはいかがでしょうか。映画を観ながら結構勉強になると思います。
 そして最後の「音声解説用字幕」ですが、よく特典のひとつとして数えられる“キャストやスタッフなどによる音声解説(コメンタリー)”のためだけの字幕になり、その他のものとは全く毛色が違うものになります。この音声解説もまたDVDに収録されてはいてもあまり観た(聞いた)ことがない方も多いようで、どんな特典なのかよく理解されていない方もいるようですね。

 これは映画本編を観ながら、まったく別の音声(概ねは監督の声のみだが、出演者やその他のスタッフを交えたりと和気あいあいの雰囲気の中、行なわれているものもあり)を聞いて、“このシーンは大変だった”等々の撮影裏話をずーっと聞いていくという、まさにDVDならではの特典なのです。まあ興味のある映画、お気に入りの映画であればその撮影裏話を映画を観ながら、各シーンごとに解説してくれているので、結構面白いハズです。しかしながら、そうでないと全編を通して音声解説付きで観賞するのはただツライだけかもしれないません。
 尚、字幕OFFも出来るようになっているDVDでは、一切の字幕を表示させずノースーパーの状況で本編観賞をすることも出来ますし、様々な音声と字幕を組み合わせて(例えば吹替音声&英語字幕、吹替音声&日本語字幕、吹替音声&解説用字幕など)観賞することも出来ますので、非常にユーザー側の自由度が高くなっています。

 ですので、今までDVDを購入(レンタル)しても、普通に字幕を選択して本編を観賞しただけ、特典映像の一部を観ただけという方には、もしこれを読んで興味があれば是非、英語字幕や音声解説などを選択して映画本編をご覧になってみることをお勧め致します。きっと、同じ映画でもまったく違ったその映画の観方をすることが出来て、かなり新鮮なはずですから。
<<戻る


東宝東和株式会社