映画本編中に収録される英語テキストについて

 映画館やビデオ&DVDで映画を観るときには、“英語テキスト(字幕)”がほとんどだと思いますが、画面に不意に日本語字幕以外の言語が現れることがあるのをご存知でしょうか? 

 これは主に劇場公開時点で、その作品のストーリーをより理解しやすいようにプリントに焼き込まれたもので、時代(日時)設定や場所(地名)、人名などを表示させる補助的用途なものになります。最近では主人公を含む主要キャストが、英語以外の他言語を喋るといったシチュエーションで、セリフの内容が英語テキストで表示されるものの方が多いかもしれないですね。
 基本的に映画館で公開される際は日本語字幕の場合がほとんどですから、これらの英語テキスト表示があるシーンには、更に日本語字幕を付けて公開、ビデオも字幕版の場合には同様な処理をすることがほとんどです。

 しかしながら吹替版のビデオやテレビでの吹替OAなどの場合には、日時や地名などに対して補足的に「吹替用字幕」を使用します。また、他言語セリフの場合には、演出上の理由で日本語に吹替えてしまった場合(実際には吹替えをしたかったとしてもその部分の音声が抜けているM&Eと呼ばれる音声素材が無いと出来ないのですが)、俳優(女優)は日本語を喋っているのに、英語テキストが入ってしまうという、ちょっと間抜けな状態になってしまいます。
 オリジナル俳優(女優)が喋っている他言語セリフを原音のまま活かすとなった場合には、英語テキストはそのまま表示させた上、その内容を訳した「日本語字幕」が表示される(そのような場合には字幕は縦位置で表示したりして見やすいように配慮致します)ことになります(例『トゥームレイダー』シリーズで、ララ・クロフトが他言語を喋るシーンなど)。

 ですので、大抵の場合にはそれらの本編中の英語テキストが無いものへと差し替えることが出来るように「テキストレス素材」と呼ばれるものが、大元のマスター素材(USから送られてくるビデオ用・DVD用のノースーパーマスター)の巻末などに該当箇所だけ付いているのです。

 よって、皆さんはあまり字幕版のビデオと吹替版のビデオを見比べたことはないと思いますが、字幕版ではそのままになっている英語テキストが、吹替版ではテキストレスのものに差し替えられて表示されないといった違いがあります(セリフのようなもの以外の年代や地名などの英語テキストはそのまま活かすことが多いですが)。
 尚、DVDにおいてはメーカーによっても考え方が異なるので、必ずしもそうだとは言えませんが、オリジナルに忠実に、敢えて英語テキストをすべて残している場合が多いように思います。それにいくらDVDとは言え、大元のマスターに焼き込まれた英語テキストは、他の字幕と同じように簡単に切り替えられるものではないので必然的に、テキストは残す形になります(不可能ではないがテキスト有りの本編とテキストレスの本編2種類を入れ込まなくてはいけなくなるため物凄いデータ量になってしまう)。

 従いまして、オリジナル英語音声&日本語字幕で観ているときに何も問題は無いですが、日本語吹替音声で観るときのみ、英語テキストが表示される箇所では、場合によってはちょっとした違和感を感じることになるかもしれませんね。

 普段、ほとんど気にしない箇所だとは思いますが、今後は注意して観てみるのも良いと思います。
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