宣伝展開

 今回は過去のテーマでとりあげてきた宣伝関係の話をまとめてみました。
映画の宣伝展開は、その作品の内容と宣伝方針(どんな層をターゲットにするのか?など)によって全く異なります。

 ですが、おおむねの宣伝展開にはある程度のパターンが決まっているので、あとは何処まで宣伝に予算をかけることが出来るのか? あまりかけられないのであれば、いかにアイディアで勝負していくのか? ということがその後の展開を左右すると言えます。
 宣伝とはズバリ、より多くの人に宣伝したいものを知らしめつつ、ターゲットとなる層に確実にその内容が届くようにする、というものだと思います。よって、全国数100館以上の規模で上映される映画で、宣伝に予算をかけることが出来るならば、一番手っ取り早く、かつ効果的な方法は、短期集中的に大量のTVスポット(CM)を地上波各局に投下するということでしょう。

 勿論TVスポットを大量投下すれば、無条件で観客が増加すると言う訳ではありませんので事前の仕込みは必要不可欠ですが、主要ターゲットとなるであろう10~30代ぐらいまでの層であれば、何処かのTV局で確実に一度は目にするでしょうから、その効果は歴然だと思います。
 また公開直前にデカイイベントを行なって話題性を作ったり、監督や主演俳優(女優)を招聘して来日キャンペーンを行なうのも、予算はかかりますが短期間にマスコミの露出を稼ぐことが出来て、効果的なものになります。

 しかしながら、それ以外の規模がそれほど大きくない作品や単館系の映画であれば、当然宣伝にあまり予算をかけることが出来ないので、そこはいかに効果的な宣伝を展開していくのかが重要です(例えば他とのタイアップ展開をしていく等々)。
 宣伝は一般の方の目に見えてくる部分ですから、皆様にも宣伝展開で映画会社がその映画にどの程度力を入れているのか? ということが結果として判断出来てしまうと思います。よって映画会社として力を入れているつもりでも、結果としてそれが見えてこない(伝わってこない)のであれば、厳しく言えばそれは宣伝が失敗しているということになってしまいます。しかしそれは決して映画の公開規模の問題ではありません。その映画に興味のない100人に伝わるよりも、例え1人でも興味のある人間にその映画のことが伝われば、宣伝の目的はひとまず達成されている訳ですから。

 そういう意味では、今度公開される弊社新作『ドーン・オブ・ザ・デッド』は、非常に異例な映画になるかもしれません。まず公開規模で考えると日比谷映画チェーンの映画(チェーンとして中ぐらいの規模)で、しかもホラーというジャンルでありながら、ゴールデンタイムを含めて結構TVスポットを投下します。
 そして、一般的にはまだあまり知名度がないながらも主演女優のサラ・ポーリーの来日キャンペーンの実施(これは昨年公開された彼女主演の『死ぬまでにしたい10のこと』のヒットによる部分も大きいですね)、そして前代未聞の街頭ビジョンでの冒頭10分間の公共無料上映イベント(USでも公開前にテレビ放送を行ない、同じく前代未聞の宣伝手法)と、この手の映画としては異例づくしの宣伝展開を行っています。

 というわけで、通常あまりホラー映画が一般的に認知されることはないようですが、本作はかなりの方に認知されるのではないか? と今から期待をしています。まあ認知されるだけでは勿論駄目で、映画館に足を運んでもらえるように“興味”を引かなくではいけないんですが、この映画であればその点は大丈夫のような気がしています。
<<戻る


東宝東和株式会社