ハイビジョン

 現在で最高クラスのクオリティを持つ「ハイビジョン」。しかし実際にハイビジョンで視聴したことがある人は少ないと思います。そこで今回はあらためて、ハイビジョンとは何かということをお伝えしましょう。また、これは以前お話した第90回・“地上波デジタル放送”の補足でもあります。

 まずハイビジョンの話題で大きく我々に関わってくることがあります。ほとんどの方はまだご存知ないかもしれませんが、2011年に現在放送しているNHK及び民放各局における地上波アナログ放送は終了し、全てがデジタル放送に完全移行することが予定されています(※段階的に移行する予定)。
 つまりプラズマディスプレイ(テレビ)などのデジタル放送対応のテレビを購入するか、デジタル放送受信用のチューナーを購入しなければ、2011年以降は地上波テレビ放送を一切視聴出来ないということを意味します。また、専用チューナーをつければ現行使用しているアナログ放送用テレビの使用は出来ますが、それはあくまでも“観れる”というレベルで、デジタル放送のメリットを活かすためには、多くの人がテレビの買い替えを行なうでしょう(さすがに機器も安くなるでしょうし……)。そして、その頃には「ハイビジョン」が一気に身近なものになってきます。

 デジタル放送は送信できる情報量が格段に多いので、OAされる番組は必然的に記録情報量が多く、オリジナルと比べてその再現性が非常に高いハイビジョンマスターが使用されることになります。つまり映画は当然としても、音楽番組やバラエティ番組、そしてドラマ等に至るまで、そのすべてのOAの元がハイビジョンマスターになっていく訳です。ハイビジョンには勿論、細かなスペック(規定)があるのですが、難しいことは抜きにして、単純に今のテレビ放送やDVDよりも、圧倒的に高画質&高音質なものになると考えて頂ければ十分です。
 また、地上波テレビがデジタル放送に移行するとなれば、当然それに併せて記録メディアも変化をしていくことになります。その代表例が次世代DVDでしょう。次世代DVDについては、第100回で詳しく説明していますが、Blue-rayDISCやHD DVDは、ハイビジョンマスター(ないしは放送)をほぼそのまま記録することが出来るので、記録メディアとして最適と言えるでしょう。DVDソフトも近い将来、ハイビジョンマスター収録であることを謳った次世代DVDとして発売されることになると思います。

 そのような状況や、既に一部地域では地上波デジタル放送が開始されていることもあり、我々は海外から映画の本編マスターを取り寄せる際、地上波デジタル放送での放送を見越して16:9オリジナル画格(※上下に黒味の入るレターボックス)でのハイビジョンマスターだけではなく、16:9フルフレーム(※ワイドテレビの画面いっぱいに映像が表示されたもの。上下には一切黒味が入らない今のテレビ放送と同じ)のハイビジョンマスターも新たに取り寄せるようにしています。
 実は最近テレビでの映画オンエアの際には、アナログ放送(SD)とデジタル放送(HD)がサイマル放送(※同じ時間に同じ番組を異なる放送形式で放送)されていますので、もし既に地上波デジタル放送のサービス開始地域に居住していて、受信機器もある方であれば是非地上波デジタル放送で映画を観てみてください。映画をハイビジョン高画質の吹替版(2.0chステレオ)で、しかも“無料“で観ることが出来ますよ。
そういう私はそんな機器はまだもっていないので、自社作品でもアナログ放送でしか観れないのですが(泣)、これからは地上波でハイビジョンを楽しめる時代が到来しますよ。
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