映画宣伝と芸能人

 芸能ニュース好きの方であれば、一週間の芸能ニュースの中で、芸能人(ミュージシャンも含む)が何かしらの形でハリウッド映画の宣伝に関わっていることをご存知だと思います。もちろん日本映画であれば、主に映画の出演者が行う宣伝活動として当然のことですが、ハリウッド映画の宣伝なのに、様々な形で日本の芸能人が起用される理由とは何でしょうか? それはすべてにおいてパブリシティとしてのネタ&話題づくりということに他なりません。
 彼らが起用されるよくあるパターンとしては、大きく分けて2種類あります。一つ目は出演者の来日キャンペーンの際、花束贈呈ゲストとして話題性のある女性タレントを起用したり、バラエティ番組などにインタビュー取材をさせたりと、直接的に出演俳優・女優と絡んで話題をつくるもの。

 二つ目は、アニメ・CG映画などで吹替のキャストに芸能人を起用して話題をつくったり、イベント試写会や初日公開イベントなどの特別ゲストとして芸能人を呼ぶ、といったとにかく何かしらに芸能人を関連させて話題をつくるような間接的なものがあります。
 前者の方は、話題性のある映画で、なおかつ有名な出演者であれば放っておいても露出はされるでしょうが、それを更にもう一押しして話題を盛り上げるという場合や、知名度などの面ではいまいちの出演者の場合に、記事を少しでも大きくする為に……といった感じで芸能人が起用されます。

 後者の場合には、言い方は非常に悪いのですが、あまり話題性に乏しい映画を、最後にもうひと盛り上がりさせるため……どちらかというと、結構苦しい起用であるということが言えると思います。それでもそういった映画の宣伝のために、頑張って仕事をして頂いているので我々にとっては非常に有難い限りです。大抵こういう場合には、何故かグラビア・アイドルが多いような気がしますが、やっぱり露出しやすいからなんでしょうね(笑)。
 いずれの場合でも映画会社としては、芸能人を起用することによって少しでも多くのスポーツ紙にまずは大きく記事として掲出してもらい、更にはその掲出記事を受ける形等で一局でも多くのワイドショー番組で紹介してもらい、全体として大きく露出されてくれれば、もうパブリシティとしては大成功な訳です。

 もちろんこういった場合には、当然お仕事として芸能人に来てもらう訳なのでギャラを支払いますが、高額を出費して新聞広告やTVスポットを打つことを思えば、少額ながら効果的な宣伝が出来るのです。
 ただ、これらの芸能人を使ったパブリシティの場合には、当然映画会社は映画に関した取材や質問をすることを取材者にお願いします。しかし、もしもその芸能人がタイミング悪く、プライベートなスキャンダルなどで世間を賑やかしている人だと、そうはいっても当然ながらそのことにばかり取材が集中してしまって、とても映画の宣伝どころではなくなります。そうなると、その芸能人のことは大きくとりあげられても、映画のことはちょっとしか触れられないという悲惨な状況になり、パブリシティの意味がまったくなくなってしまいます。

 また、こればかりは本当にどうしようもないのですが、記事が露出されるタイミングに世間を騒がすような大事件が起こってしまったりした場合には、もう露出どころではなく完全に記事そのものが飛んでしまうということも有り得るので、そうなるともう上記以上に何のために芸能人を仕込んだのか分からなくなります。まあそればかりは本当に運が悪いとしか言いようがないのですが、映画会社としては堪ったものではないですね。
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