放送用ロール分け

 映画を地上波のテレビでオンエアする際には、深夜枠などであればそのままCM無しでオンエアするということも稀にありますが、21~23時といった枠でのいわゆるプライムタイム(※19~23時のこと。ちなみにゴールデンタイムとはそのうちの19~22時のことを言う)でのオンエアでは、必然的に提供スポンサーのCMを本編の間に放映しなくてはなりません。これは地上波ならではのことで、本編中の随所にCMが入ることになります(当然NHKには提供スポンサーによるCMは存在しないので、この限りではありません)。

 人によっては、映画館での上映と同じく、最初から最後まで一気に集中したいという方もいると思います。しかし、何かしながらでも気楽に観られる地上波のテレビオンエアの際には、むしろトイレや他の事柄をすることが出来て、ある意味便利なものなのではないでしょうか?
 ちなみにこの映画放送中のCMは、通常の2時間枠の映画の場合で、本編中に概ね4~5回入っており、そのCMの長さは2分間になっています。つまり2時間枠で8~10分はCMに割かれることになる訳ですね。また、2時間枠とは言っても正確に21時00分から23時00分までオンエアされる訳ではないので(※21時03分から22時54分とかの場合がほとんど)、それを考えるとその枠でオンエアされる映画の長さは正味100分ぐらいということになります。

 尚、CMを入れるタイミングに関しては、本編内の場面(シーン)変わりのところで行ないますが、映画への喰い付きを良くするためにも映画開始から最初のCMまでは一番長くとって約20分ぐらい(場合によっては30分)とする場合が多いように思います。従ってその後のCMからCMまでの間の映画本編に関しては、上記のようにCMが入った場合、5~6回あることになるので、どれも必然的に10分前後ぐらいの長さになってきます。ちなみにこのように、CMを入れる為に映画本編を分割していく作業を通称「ロール分け」と呼び、CMとCMの間の各本編を最初からR-1(ロール1)、R-2(ロール2)・・・と称しています。
 また元々100分ぐらいの映画であれば、ほとんどノーカットでオンエア出来ることになる訳ですが、110分だったり120分ぐらいの映画を通常の2時間枠でオンエアする場合には、10~20分近くをカットしてオンエアすることになります。さすがに20分近くもカットされてしまうとオリジナル版を知っている方からすると、かなり違和感を覚えるでしょうから、20分近いカットというものはそんなにありませんが、10分程度のカットに関しては結構あると思います。
 勿論、先日初めて地上波でオンエアされた『ハリー・ポッターと賢者の石』のように元々2時間を大きく越える作品などは話題性も狙って、特別枠で編成をしてノーカット・オンエアを売りにすることもあります。またそこまでの特別編成ではないまでも、話題の作品などであまりカットをしたくないという場合には、2時間枠を5~15分程度拡大延長して番組編成されることも結構ありますので、地上波でのオンエアだからといって決してカットが当たり前という訳ではないのです。但し、勿論映画本編の中にプライムタイムのオンエアには相応しくない場面(暴力&残酷描写や性描写)などがあれば、そのシーンはその放送局の放送コードに従い、検討された上でカットされることはあります。これも地上波それもプライムタイムでのオンエアならではのものでしょう。
 尚、これらのカットは、各ロール間で行なわれるのが視聴者にとっても一番自然なので、そこでカットされることが一番多いように思いますが、場合によっては本編中からなるべく自然にカットをしてしまう(つまり場面変わりと場面変わりを繋げて、間にあるシーンをごっそりとカットしてしまう)というやり方もあります。よってオリジナルの長さの映画を観賞済で、テレビオンエアの際に何か違和感を覚えたところがあれば、それは本編中でこのようなカットがなされていた可能性が大きいですね。こんなことを知っておくと、テレビのオンエアで何処がカットされたのか?あるいはあんなシーンでもカットされなかったんだ!というようなことが比較出来て興味深いハズです。
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