タイムコード

 皆さんがビデオやテレビ放送などで映画を観る際には、基本的には字幕やテロップなどの表示以外には何も表示されてはいません。しかしながら、皆さんが観る前に行う編集段階では、「タイムコード(TC)」と呼ばれる時間表示が画面に必ず表示され(概ねは画面上部)、刻々と時間をカウントし続けていきます。何故ならば、このタイムコードがすべての編集作業の目印となるからです。
(このタイムコードはデータとして記録されているので、業務用の再生デッキでON・OFFを選択することが簡単に出来ます)
 よって前回(107回)にお話した放送用のロール分け編集などは、まさにタイムコードなしでは出来ない作業ですし、映像の切り貼りなどの編集作業、そして字幕のイン&アウトや、吹替台詞のタイミングなどもすべてこのタイムコードを指標としてミックス作業が行われています。皆さんには決して見えない影のものですが、実は重要な存在なのです。

 このタイムコードと呼ばれる時間表示は主に『TCR 00:00:00:00』といった感じで画面に表示されており、一番左から時間(h):分(m):秒(s):フレーム(f)を意味しています。普通に考えれば秒のところまでは意味が分かって頂けると思いますが、一番右側のフレームという部分に関しては馴染みがなく、分からないのではないでしょうか? 
 このフレームとは分かりやすい言葉でいうと「コマ」(コマ送りといった表現で使うあのコマのことです)というものと同じになります。つまり日本も含まれるNTSC方式のテレビを採用している国では、フレームが00から29まで30フレーム進行した時点で、1秒が経過するということになっているのです。尚、このフレーム表示部分が一番慌しく動いていますので、この部分の数字は肉眼では当然ながら正確には把握は出来ません。

 ちなみに厳密に言いますと、NTSC方式では1秒間が29.97フレームというのが正しいものなので、30フレームで表示するやり方だと実時間との間にズレが生じていってしまうことになります。1時間で考えると108フレーム(3.6秒)もズレてしまうのです。放送局では実時間と合わせる必要性があるので、合わせる為に00、10、20、30、40、50分を除く毎正分の開始時点から<00,01>の2つのフレームをカウントせず飛ばして、02フレームからカウントする方式(『ドロップ・フレーム』)をとっています(例“01:00:59:29”→“01:01:00:02”)。
 ですが、ビデオやDVDに関してはこのようなドロップフレームだと、放送ではないので実時間とのズレをそれ程気にすることもないので、全て1秒間30フレームで表示するという方式をとることが多いです(『ノンドロップフレーム』 例、01:00:59:29→01:01:00:00)。勿論、これは基本的なタイムコードの区分なので、それぞれが逆ではまったく対応出来ないという訳ではないのですが、それぞれその方がそのままで使い易いということになっています。

 またこのタイムコードは本編開始(多くは映画会社クレジットから)を01:00:00:00としています。つまり1時間経過した時点で02:00:00:00となるように表示されるので、知ってないと結構時間を勘違いしてしまいがちです。
 今回は特に皆さんには馴染みがないお話だったかと思いますが、豆知識ということで覚えておいて頂ければと思います。
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