DVDのケース (2)

 DVDの顔ともいえるDVDケースについては、第69回でもご紹介しましたが、今回はその続きをお話します。

 以前にご紹介したときには、まだ“ジュエルケース”(CDタイプのもの)でも発売されておりましたが、現在ではほぼ全て“トールケース”になりました。それまで頑なにジュエルケースでの発売をしていた東宝も、近年トールケースでの発売に切り替わりましたしね(弊社作品では『チアーズ!』がジュエルケースで発売されましたが、『スパイ・ゲーム』からトールケースになりました)。
 そのトールケースで圧倒的なシェアを誇るのがアマレー(AMARAY)ブランドで、現在日本で発売されているトールケースタイプの大半はアマレーのDVDケースを使用しております。もはやDVDケースの定番といっても過言ではありませんが、見分け方としては、DVDケースを開けて、DVDディスクが収納されている側の左下隅あたりに「AMARAY」のロゴが入っているかどうかで、簡単に識別することが出来ます。

 何故アマレーのDVDケースがここまで普及したのかということは、一概には言えませんが、DVDの本場アメリカを含めて広く世界で普及して使用されていること、そしてアマレーの特許であるプッシュ式のディスク留め部分などが評価を受けてのことなのではないか? と思われます。取りわけ広く普及しているということが、品質の信頼性の面から言ってもメーカーとしては安心材料になるからなのでしょうね。
 だからといって、それ以外の他社製のDVDケースが決して劣っているということはなく、むしろアマレーはそのブランド名もあってか、他のケースよりは値段がどうしても高めになってしまう(コストダウンが難しい)という面も持ち合わせているので、弊社でも場合によってはアマレー以外のケースを使用することもあります。そういうことで考えると新作でも定価で3129円(税込)という低価格戦略をとる大手のワーナーがアマレーケースをDVDに使用せずに独自タイプのものを使用しているのも頷けるような気が致します。

 一方で、近年では「デジパック」(登録商標。正式名称:DVDigipak DVデジパック)仕様と呼ばれるDVDケースも急増しております(これもプラスチックトレーに良く見ると記載されています)。このデジパック仕様とは、従来のDVDケースのようにジャケットをケース表面に差し込むのではなく、ジャケットとケースが一体化したものになっているのが大きな特徴です。厳密に言えば、ジャケット印刷された型紙にディスク収納部分にあたるプラスチックトレーを貼り合せたものになっているので、それを3面に貼り合わせれば3枚同時収納、4面ならば4枚同時収納ということが可能になり、従来のジャケット印刷では出来なかったような表現(見開きでの表現を意識した印刷など)や、紙の質感などから従来以上の豪華感の演出が実現可能になっています。それ故にシリーズ映画のボックス化などの際には、良く使われているように思います(例:『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズDVD-BOX「インディ・ジョーンズ」シリーズDVD-BOXなど、最近では20世紀フォックスの「アルティメット・エディション」などでも使用されていますね)。
 最近ではデジパックとアマレーケースがコラボレーションした「DVDigilok DVデジロック」なるDVDケース(デジパックと大きな違いはないが、DVD収納部分のプラスチックトレーはアマレーの特許を生かしたものになっている)も出来たようなので、今後はこのようなものも増えてくるかもしれませんね。とにかく普段皆さんがあまり気にしないと思われるDVDのケースですが、所有しているDVDケースの刻印をよくご覧頂くとあらためて結構アマレーのものが多いことに気がつかれることになるのではないかと思います。

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