次世代DVD-最新状況―

 何回か取り上げている「次世代DVD」。その規格争いがここのところ、一層激しさを増しており、その報道を結構、頻繁に目にするようになってきました。
 この次世代DVDとは、ご存知の通り、ソニーを中心としてある意味ライバルでもあった松下電器などが参加する陣営が推奨する“ブルーレイディスク(BD)”とNECや東芝陣営(最近になって三洋電機が参入)が推奨する“HD(ハイビジョンDVD)”の2種類の規格のことを意味します。細かな規格は当然異なっている訳ですが、

①ディスクサイズは現行のDVDと同じ
②現行のDVDよりも記憶容量が何倍もアップするので、ハイビジョンの映画でもその映像クオリティを損ねることなく収録することが可能になる

という点においては基本的に両規格は共通していることになります。
 次世代DVDにおいて二大規格が発表された当初は、陣営の規模から言っても“BD陣営優位”の感はありましたが、“DVDフォーラム”というDVD規格の策定団体にHD DVDが認定されるなど両者一歩も譲らずという状況で、決め手はやはりソフトを供給する側である米メジャー映画会社が、どちらを支持するかということになるだろうと言われてきました。その米メジャーがここに来て急速に動き出し、各陣営への参加(加入)あるいは支持の表明し出したのです。
 当初よりソニーグループですので、ソニーピクチャーズ及び最近買収されたMGMがBD陣営なのは発表するまでも無いことですが、まず口火を切ったのが、20世紀フォックスが10月にBD陣営への加入表明し、その後、11月下旬になって今度はワーナーブラザース、パラマウント、ユニバーサルのメジャー3社(&ニューラインシネマの計4社)がHD DVD陣営への支持を表明。この時点で米メジャーがほぼ2分割された状態で拮抗する形になり、残りのディズニーを取り込んだ方が米メジャーの半数を取り込み、シェアで優位に立つ状況になっていたのですが、12月8日になり、ディズニーがBD陣営への参入を発表。つまり米メジャーの取り込みという局面においてだけみれば、ほぼ6:4の割合で、あきらかにBD陣営が優勢に立ったという訳です。
 ただ、そのディズニーも“BD規格にしかソフトを供給しないという訳ではない”というような含みを持たせているという話もあるようですし、現在のDVDビジネスを牽引している感もあるワーナーがHD DVD陣営にいます。HD DVDは現行DVDとの下位互換が可能ということも売りだったりするので、この両陣営の規格争いは、ようやくスタートラインに立つ準備が出来たという程度でしかありません。そうなるとビデオテープにおいて勃発した、いわゆる「VHS対ベータ」の規格争いの再現は間違いなく、商品ソフトが実際に発売され始めても、どちらかへ最終的に統一(?)されるまではユーザーや、我々のようなコンテンツホルダーである、映画会社にとっても悩みの種になってしまいます。
 安全策としては、他社も同様なところが多いようですが、それぞれの規格に同じソフトを出すというゲームで言う“マルチプラットホーム戦略”まで行なうのかどうかは別にして、恐らくは弊社も二股をかける形で、両陣営に参加するということになるのではないかと思われます。(実際、両陣営ともにプロモーショングループ<HD DVD>や、アソシエーション<BD>といった支持基盤づくりを始めだしてはいるものの、二股OKとなっているのが現状のよう)その形で、しばらく次世代DVDの趨勢を見ていくしかないようですね。
 このようなハードメーカー主導による規格争いは、前述の通り過去にもあったもので、勝者がいれば必ず敗者が出ることになるのは明白。なのに“何故メーカー側がもっと上手くお互いに歩み寄れないのか?”と本当に不思議に思います。結局、本質的にはメーカー同士のプライドやエゴのぶつかり合いというところなのでしょうが、それに振り回されることになるソフトメーカー、そして一番肝心な一般ユーザーを無視した、このような規格争いはこれを最後にして、どちらが勝つにしても、もう止めてもらいたいですね。次世代DVDの動向に関しては、実際の商品が出始めるのが2005年秋ぐらいからになるようですので、今後も何か大きな動きなどがあれば、この豆知識で取り上げて行こうと思いますので、興味を持って頂ければ幸いです。
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