DVDのパテント

 パテントとは「特許」のことを意味します。一般生活において、我々はあまりパテント(特許)というものを意識して生活することはありませんが、実は身の回りの大から小まで様々な品々には少なからず何かしらのパテントが必ず存在しています。
 それはテレビや携帯電話の中の部品だったり、そこに使われている技術だったりするのですがそれがどれだけ存在しているのかは専門家でないと分からないぐらい沢山あるのではないかと思います(笑)。つまり、企業として商品などを制作並びに製造する場合には、直接的であれ間接的であれ、このパテントというものに必ず関わることになります。権利者にとっては、パテントのある技術や部品などを幅広くライセンス出来れば、そこからかなりのロイヤリティー(特許権使用料)を徴収することが出来るので、ひとつの権利ビジネスとして非常に重要なものになってくる訳です。
 そこで我々にとっての商品であるDVDというものはどうなのか?ということで見ていくと、当然ここで使用されている様々な技術にも、パテントが存在していることが分かります。動画圧縮技術(MPEG-2)などがその代表例ですが、コピーガード(マクロビジョン)などを収録する際にも当然、ロイヤリティー(特許権使用料)を権利者に支払う必要が出てきます。このロイヤリティーを直接我々(ソフトメーカー)が支払うこともその技術によってはありますが(コピーガードは我々が製造した枚数分のロイヤリティーを直接支払います)、ほとんどの場合にはDVDを制作&製造してもらっているラボがライセンス契約を結んでいるので、そこでロイヤリティーが支払われていることになるのです。
 尚、興味深い事実として、DVDというメディアの開発にあたってはその先駆者ということもあり、基礎技術などを含む重要なパテントの数多くを「東芝」がもっているということがあります(パテントホルダーとしては勿論、東芝だけではなくあと何社か存在していますが)。そして何と映画会社としては「ワーナー」も、開発に協力していたことなどもあり、DVDのパテントを持っているのです。つまり、東芝やワーナーにはDVDが制作&製造されればされるほど、ロイヤリティー収入があるということになる訳です。
 現在ようやくDVDが普及して市場が拡大していますが、そのために、日本でも最初にDVDの低価格化戦略(ハリウッドプライス)を行ない、率先していたのも今思えば「ワーナー」ですよね。市場が拡大すればするほど、その恩恵に与れるのは他ならぬ自分たちなんですから当然です。現在年間にどの程度の枚数のDVDが制作&製造されているのかは分かりませんが、日本に限らず全世界で考えれば、億枚ぐらいの単位になるでしょうから、これは正直、結構デカイ話です!
 そうなると、前回もお話した次世代DVDの規格争いの構図も、更によく理解出来ると思います。つまり現行DVDのパテントホルダーとして成功し、更なる次を目指す“東芝”(DVDでの関係から考えればワーナーの参加表明はある意味当然とも言えますね)と、そこでは遅れをとったがここで一気に挽回をしたい“ソニー”のメーカーのプライドをかけたパテント争いということになるのです。
 次世代DVDのその次というのは、もうなかなか考えられないと思うので、恐らく次世代DVDの時代がしばらく、あるいはずっと続くことになるのではないでしょうか。そうなると、この規格争いの最終的な勝利者側が有するパテントからのロイヤリティーは長い目で見たら、現行DVD以上のものになる訳ですから、ここはお互い一歩も譲れないところでしょう。
 それだけ、パテントを持っているということは、重要で大事なことなのです。
何もしないでも、安定した収入が確実に得られることになりますからね。
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