私的録画補償金(前編)

 皆さまは「私的録画補償金」という制度をご存知でしょうか?恐らくは皆さまはこの制度の存在をあまり知らないことと思いますが、実は間接的にはこの制度に関わっていると思われます。
 この私的録画補償金とは、最近のデジタル機器及びメディアの普及により、誰もが簡単にテレビ番組などをデジタル録画することが出来るようになってきたために、家庭内で私的使用を目的としてデジタル機器及びメディアを使用して映像録画をするものは、著作権者や著作隣接権者に対して補償金を支払わなくてはならないと定められたものになっています。

 そして、皆さまが支払った補償金は社団法人私的録画補償金管理協会(SARVH)と呼ばれる団体に一旦プールされて、加盟している著作権者たちに分配されるという仕組みをとっているのです。
 ですが、恐らく皆さまがこのSARVHに対して補償金を、テレビ番組を録画する際に支払ったことは決してないはずです。それは実は、デジタル機器を購入した際には、その購入価格の中に上限を1000円として含まれており、またDVDメディアもその購入価格の中に実は補償金分も含まれているので、実は皆さまが知らず知らずのうちに間接的に非常に微々たる補償金を支払っていることになっていたからです。

 まあ本来はテレビ番組を録画する度に補償金を支払わせるというのが正しい形なのかもしれませんが、そんなことは実際問題、到底出来ることではありませんのでこのような形で、皆さまに負担も意識させることもない形をとっている訳です。DVD各種メディア(該当は映像録画用DVDのみで、データ記録用DVDは関係なし)にはよくみると、この補償金の旨が裏面などに記載されているのでお時間がある時にでも見ててみてください。
 ちなみに、音楽の場合には私的録音補償金制度(SARAH)というものがあり、私的録画の場合同様にMDや音楽用CD-Rにはその購入価格に補償金が含まれる形になっているのです。

 つまり逆に言えば、あくまで家庭内において「私的使用」を目的とした録画(これは複製と同義)であれば、テレビ番組を自由に録画することが認められているのです。まあ実際には上記の通り補償金を支払っているので“有償”にてということになりますが。しかし、私的使用を逸脱してしまうと(例:自分が録画したものを他人にコピーして譲渡や販売するなど)それは著作権法を違反したということになるので、注意してください。

 なお、録画ということであれば現行最も普及しているVHSテープはその対象に入らないのか?と思われるでしょうが、我々の「映画」のように映像著作物でもっとも恐れるのは、ほぼ劣化が無い形でのデジタルコピーなので、アナログを無視するという訳ではありませんが、ダメージが大きく今後主流となるデジタルを対象としているのです。
 また、DVDソフトは映画以外でもそのほぼすべてにコピーガードが収録されているので、それを外してコピー録画する行為(最近の海賊版にはこのパターンのものもあり)は例えそれが家庭内での私的使用が目的だとしても、当然私的使用を逸脱した違法行為となりますので、よく憶えておいてください。

 コピーガードを外さないまでも、再生している映像をPC上に取り込む「リッピング」という行為も基本的に著作権者はそのような行為を想定も、許可もしておらず私的使用(複製)を逸脱した行為に該当すると思われるので、ご注意ください。事実アメリカでは現在主流のコピーガード技術の特許を持つマクロビジョン社が、この“リッピング”もガード出来る技術を最近開発したらしいので、今後は日本でもDVDソフトにはコピーガードだけでなく&リッピングガードも収録されることになっていくかもしれません。

★参照HP
私的補償金制度に関する公式ページ
http://www.sarvh.or.jp/
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