■アクションも、シリアスドラマも出来る俳優メル・ギブソン
 『マッドマックス』シリーズでアクション俳優として大ブレイクを果たし、『リーサル・ウェポン 』('87)、『身代金』('96)、『ハート・オブ・ウーマン』('00)などに主演、アクションだけでなく、心を揺さぶるドラマもこなせる俳優メル・ギブソン。『ブレイブハート』('95)では監督としても認められアカデミー賞を受賞。自ら映画製作会社を持ち、精力的に作品を生み出し続ける彼の魅力に迫ります!

 56年1月3日、ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。本名はメル・カウラムキル・ジェラード・ギブソン。父ハットンは鉄道員で敬虔なクリスチャンで、後に教会法とカトリシズムの本を書いている。母アンは元オペラ歌手。ギブソンは11人兄弟の6番目として生まれる。弟のドナルも俳優。68年、12歳の時にオーストラリアのシドニーに家族で移住。77年、優秀な成績でシドニー国立演劇芸術学院を卒業し、『メル・ギブソンの 青春グラフィティ』('76・未)で映画デビューを果たす。
 続いてジョージ・ミラー監督のアクション映画『マッドマックス』('79)のオーディションに合格、主役の警官マックスを演じて“スティーブ・マックィーンの再来”と騒がれ、一躍大スターに。

 ピーター・ウィアー監督がハリウッド資本で製作した『危険な年』('82)で、共演したリンダ・ハントがアカデミー賞助演女優賞を獲得したのがきっかけとなり、アメリカに進出する。その後、『マッドマックス』シリーズや、『リーサル・ウェポン』シリーズ、『フォーエヴァー・ヤング』('92・公開時タイトル:『フォーエヴァーヤング 時を越えた告白』)などに主演する傍ら、『顔のない天使』('93)で監督も手がけるようになる。95年には、監督第2作、主演及び製作も務めた『ブレイブハート』でアカデミー賞監督賞を獲得した。89年、オーストラリアにいる時に、会計士をしていたブルース・デイビーと“アイコン・プロダクション”を設立。製作作品にゲイリー・オールドマン主演の『不滅の恋 ベートーヴェン』('94)、『フェアリーテイル』('97)、『理想の結婚』('99)など。新作にはヴィム・ヴェンダース監督の『ミリオン・ダラー・ホテル』('00)、アニメ『チキンラン』('00)などがある。プライベートでは、アデレードで歯科助手をしていたロビン・ムーアと80年に結婚。2人の間には、長女のハンナ、双子のエドワードとクリスチャン、三男ウィリアム、四男ルイス、五男マイロ、六男トーマスと合計7人の子供達がいる。

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■役者も監督もこなすギブソン、作品から彼の魅力を徹底的に探る!
 出演作は軒並みスマッシュ・ヒット、監督としても認められているギブソンの魅力を作品から徹底チェック!


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■期待のギブソン最新作はアカデミー賞受賞女優と共演のとびきりピュアなラブ・ストーリー!
 ギブソンの最新作は、全米公開初登場1位を獲得し、絶賛ロードショー中の『ハート・オブ・ウーマン』。共演は『恋愛小説家』('97)でアカデミー主演女優賞を獲得したヘレン・ハント。シカゴの広告代理店を舞台に、2大アカデミー賞スターの顔合わせで贈る、21世紀の幕開けを飾るのにふさわしい贅沢なラブ・ストーリーだ。ちょっぴりストーリーを紹介しよう。

 シカゴの広告代理店に勤めるニック(ギブソン)はタバコや酒、車などの商品広告で数々のヒットを飛ばしてきた。自らも“男っぽさ”が売りの彼は女性に対しても自信満々。しかし、ライバル社から引き抜かれてきたダーシー(ハント)に、誰もがニックのものだと信じて疑わなかったポストを奪われ、彼女の部下になることに。だが、ニックはちょっとした事故がきっかけで女性の心の声を聞くことができるようになってしまう。他人に絶対に弱味を見せないダーシーの心の声を聞いてしまったニックは、驚くほど純粋で繊細な彼女の本当の姿を知る。一方、ニックの能力のことなど知らないダーシーは、不思議なほど自分の気持ちをわかってくれる彼に惹かれはじめる。
 そして、ダーシーの心の内を読んだニックは、そのアイデアをもとに広告企画をプレゼンテーションして大成功をおさめる。素直にニックの実力を認めるダーシー。後ろめたさとダーシーへの愛しさに揺れるニック。そんな2人にとんでもないことが起こってしまう!ギブソンはコメディならお手のもののハントを相手に、おかしくも切ないピュアなラブ・ストーリーに挑戦している。

 その他の新作には、人気クレイメーション・シリーズ「ウォレスとグルミット」の映画化作品『チキンラン』('00)のロッキー役(アメリカ生まれのニワトリ!)の声の吹替や、ミラ・ジョボビッチと共演、ヴィム・ヴェンダースが監督した新感覚のラブ・ストーリー『ミリオン・ダラー・ホテル』('00)が待機中。また、ベトナム戦争を題材にした「We Were Soldiers Once... and Young」という回顧録が原作の『Lost Patrol』という作品に取りかかる予定。

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■共演者のコメントに見る、ギブソンの魅力とは?
 アクション・スターとして世界にその名を知らしめてきたギブソン。しかし、近年はアクションのみならず、コメディやラブ・ストーリー、アニメーションの声優などにも挑戦している。彼を初めて見た印象をズバリと一言で代弁するのは、『ハムレット』での共演者ヘレナ・ボナム=カーターだ。「メルは思ったより小柄な人だったわ。でもそんな事どうでもいいと思わせるのがあの瞳。女なら愛さずにはいられないタイプの男だと思うし、男性だって彼を好きになる…そうじゃない?それが彼の独特の魅力なのね」と語る。最近の彼の活躍は役者だけにとどまらない。『ブレイブハート』では主役と監督業をも両立させてアカデミー賞を受賞、また、映画製作会社“アイコン・プロダクション”を設立し、積極的に作品を生み出したりと様々な面で才能を発揮している。そこで、作品を観るだけではわからない彼の魅力は一体どんなものなのか、関係者のコメントから探ってみよう。
 『ハート・オブ・ウーマン』で共演したヘレン・ハントは、「メルはいつも撮影現場で笑わせてくれた」と言う。『リーサル・ウェポン3』、『身代金』で共演したレネ・ルッソも、「彼のそばにいると、ごく自然に気にかけてあげたくなるような何かがある。とてもセンシティヴな人よ。何か悲しみのようなものが宿っているように感じるの。でも彼ったら同時に凄いユーモアがあって底抜けに楽しい人でもあるのよ!」と楽しそうに語る。

 俳優で監督でプロデューサー、そしてオスカー受賞者のギブソンは才能に恵まれているが、彼ほど大きな運に恵まれた人もいない。『マッドマックス2』で共演したウェズ役のヴァーノン・ウェルズはこう証言する。「よく覚えてるよ。カジノにいたんだ。俺がスロットをやってる所へメルがお喋りに来た。隣のマシンに寄りかかってね。そこへおせっかいな婆さんがやって来て “悪いけど遊ばないならそこどいてくれない?”って言うからメルは20セントをマシンに放り込んでハンドルを引いた。喋りながらだよ。で、大当たりさ!それ以来ずっとその調子、連勝ってやつだね」

 「メルがちょっと三枚目的なナイスガイを演じるのは、それが彼の天性の才能だとわかってるから。でも全く別の面もあるのね。怒りとか精神のダークな部分を合わせ持っていて、それを表現するのはある種の快感よ。そういう暗い部分も併せ持つ魅力が彼の本質に近いものだと思う」とは『マーヴェリック』で共演したジョディ・フォスター。「でも、大金を稼ぎまくっている時、ふと気が咎めるようなこともあるわ」とフォスター。「彼はある種の罪悪感のようなものを感じてると思う。でもそうじゃない人っている?聖人じゃあるまいし。はっきり言うけど、あれだけのギャラに見合う仕事をきちんとこなし、この世界で大きな成功を手にし、かつ多くの人々に愛されている。にもかかわらずいつも振り返ってこう言うの。“なぜ僕が?”そんな人物ってそうそういるかしら?彼くらいの立場なら、日に何万回も誰かに言い寄られたり何かをとられそうになったり、裏切られたり、食いものにされそうになってもおかしくない。彼は寛大で高潔でとても魅力のある人だけど、私が本当に好きなのは、彼が他の人に対して愛想よく気持ちのいい人だという事実にも関わらず、ハリウッド的な人づきあいを極力避けているという点なの」

 仕事も出来るが家族やプライベートも同じくらい大切にするギブソン。コメントを読むと、強烈な運の持ち主であり、大スターでありながら飾り気のない性格がにじみ出る人柄ということがよくわかる。それは彼の家族から受け継いでいる部分だとも言えよう。彼は11人兄弟という大家族の中で育ち、現在はギブソン自身も7人の子供を抱える大家族の柱になっている。家族は彼が例えていうところの「一つの小さな社会」を形成しており、彼にとってはかけがえのないものなのだ。『マッドマックス』シリーズのジョージ・ミラー監督はこう語る。「何であれ確かな事は、メルにとって家族の絆を強く保つ事こそ一番の情熱の対象なんだ」


 もちろん彼はこれからも役者としてだけでなく、監督として、製作者として、多くの作品に関わっていくことだろう。だが俳優として成功した彼が、何故それ以外の仕事にも携わるのだろうか?彼が俳優以外の仕事をする時の思いはどういったものなのだろうか?最後にギブソン自身のコメントをみてみよう。「(監督の仕事は)実はストレスが作業を能率的に動かす要素だ。手順や予算、時間などをやりくりするのは途方もないプレッシャーだけれども、僕にとって不快なことではないよ。多くの人がこの事に不平をいったり嘆いたりするが、創造性と拘束性は二律背反しつつも、切っても切れないものだ。時折この窮屈さとストレスが素晴らしい決断を可能にしてるんだから。もちろん、いろんな思いが頭をよぎる。自分をひどく疑ったり、とかね(笑)。でも、それと同時にあり余る歓びの瞬間もたくさん経験した。そして満足感も。俳優業だけでは知る事のなかった素晴らしい感覚だ!」

★このページのテキストはメル・ギブソンのファンサイト「GIBSONial Relations」を運営するcarinyaさんにご協力いただきました。 メルのことをもっと詳しく知りたい方は、ぜひサイトをご覧ください。
「Carinya's Mel Gibson Site」>>http://www.mel-at-carinya.com


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