■実力派女優としても注目!現代のミューズ、ミラ・ジョヴォヴィッチのすべて
 『フィフス・エレメント』('97)や『ジャンヌ・ダルク』('99)などの大作に次々と出演、20代前半にして、その美貌だけでなく演技力でも世界中を虜にした現代のミューズ、ミラ・ジョヴォヴィッチ。しかし、果たして人はどれほど彼女の真の魅力を知っているのだろうか。このコーナーではそんな神秘のベールに包まれたミラの全てに迫る!

 75年12月17日、旧ソ連ウクライナ共和国キエフ生まれ。本名ミラ・ナスターシャ・ジョヴォヴィッチ。モンテネグロ人で小児科医の父ボギッチとロシア人で女優をしていた母ガリナとの間に生まれる。キエフからモスクワ、ロンドンと居を移し、5歳の時に家族でカリフォルニアのサクラメントに移住。9歳の時にモデルとしてデビュー。11歳の時にはイタリアのファッション雑誌「レイ」の表紙を飾り、一流雑誌などのトップモデルとして活躍するようになる。ロレアルのイメージ・キャラクターを務めたり、カルバン・クラインやICB、パルコなどのCMに出演。88年、『トゥー・ムーン』でスクリーンデビューし、その後、『青い珊瑚礁』('80)の続編的な作品『ブルーラグーン』('91)や、ロバート・ダウニーJr.主演の『チャーリー』('92)、クリスチャン・スレイター主演の『カフス!』('92)などに出演。97年、リュック・ベッソン監督作品『フィフス・エレメント』のブルース・ウィリスの相手役に5000人以上の候補が集まり、ミラはニューヨークで行われたオーディションに1度落ちたが、ロサンゼルスで偶然にもベッソンと再会、リールー役を掴むチャンスを得る。

 『フィフス・エレメント』の後、再びベッソン監督と組んで『ジャンヌ・ダルク』に主演、世界中の注目を集める。97年にベッソン監督と結婚したが、99年に離婚。“ミラ”の名前で音楽活動もしており、94年には「The Divine Comedy」をリリース。モデルや女優の仕事を続けながら、バンド、“プラスティック・ハズ・メモリー”でツアー活動も行っている。

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■一風変わった役どころも多い、ミラの出演作をチェック!
 モデルやバンド活動もこなす彼女だが、何と言っても女優としてのミラが最も魅力的。今までどんな役柄を演じてきたか、じっくりチェックしてみよう。

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■無償の愛を描いた作品でヒロインを演じるミラの飛躍ぶりを堪能しよう
 ミラの新作は、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』('99)のヴィム・ヴェンダースが監督し、第50回ベルリン映画祭銀熊賞を受賞した『ミリオンダラー・ホテル』。英国の人気ロック・バンドU2のボノが温めていた原案を映画化した作品だ。幻想的な映像、そして音楽を背景に昇華していく“無償の愛”を描き出している。ミラは主人公トムトムに愛されるヒロイン、エロイーズ役を演じている。エロイーズ役は公募もされたが、女優としてこの役で成長したい、というミラの熱意がヴェンダース監督の心を動かし、抜擢されたという経緯を持つ。

 物語は、ロサンゼルスのダウンタウンにあるミリオンダラー・ホテルが舞台。このホテルは社会からはじき出された人々が住みついた、現代のカオスのような場所だ。そこに暮らす知能障害者のトムトム(ジェレミー・デイヴィス)は、親友イジーの死に傷ついていた。そんな折り、イジーの死に疑問を抱いた彼の父親が、このホテルにFBI捜査官スキナー(メル・ギブソン)を派遣する。これがきっかけとなり、トムトムはずっと恋心を抱いていたエロイーズ(ミラ)と急接近。住人たちの思惑と事件捜査が絡み合い急展開していく。そしてふたりの恋もある結末を迎える…。
 この作品のほか、トマス・ハーディ原作、マイケル・ウィンターボトム監督、ウェス・ベントレー、サラ・ポーリー、ナスターシャ・キンスキー出演のロマンス・ドラマ『The Claim』('00)、ポール・アンダーソン監督のSFホラー『Resident Evil』('01)、ベン・スティラーが監督と出演を兼ね、オーウェン・ウィルソン、ヴィンス・ヴォーンと共演しているコメディ・ドラマ『Zoolander』('01)、ウィリアム・ボールドウィン、デニース・リチャ-ズと共演したロマンティック・コメディ『You Stupid Man』('01)、音楽を通して救われる家族を描くドラマ『Dummy』('01)など、新作が目白押しだ。

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■作品とコメントに見る、ミラの女優人生とは?
 スーパーモデルとして、また女優としても成功を収めてきたミラ。最近は歌手としても頭角をあらわし、自らの表現の世界を拡大し続けている。彼女の創造のエネルギーはどこから来るのだろうか。また、彼女の目指すものは一体何なのだろうか。

 子供の頃の愛読書はヴォルテール(18世紀のフランスの文学、哲学者。著作に「哲学書簡(哲学論集)」、「カンディド(小説)」などがある)だったそうだ。ものごとにはのめりこむ性格で、『ジャンヌ・ダルク』撮影時まで結婚していた監督リュック・ベッソンも同じだったという。ふたりとも、ジャンヌから強烈な何か感じて資料を集め始め、あれこれと議論を戦わせながら映画を作り上げていった。ミラは、これだと思ったこと、信念を貫き通すエネルギッシュで衝動的なところはジャンヌにそっくりだと語る。

 けれども10代のころは演技についてあまり考えたこともなく、普通の女の子たちと同じように、デートをしたり遊んだりすることに夢中だったようだ。映画に出るようになってから、必死で勉強するようになり、女優として成長することに興味を持ち始めた。モデル出身というレッテルを嫌った彼女は、アイドル役や可愛らしい役には見向きもせず、不思議な言語を話す聖なる戦士役や、人の心を癒す娼婦役、エキセントリックに見えるが純粋に神を信じる少女役などを次々と演じていく。そういった努力が「モデルあがり」というレッテルを見事にはがし、難しい役も演じられる女優として注目を浴びるようになっていった。


 『ミリオンダラー・ホテル』では、実際のロケ地の状況なども踏まえて役作りをしたという。ロケ場所のフロンティア・ホテルは非常に危険な所でもあったが、「そこでたくさんの友達をつくって、触れ合うことができた。それは、エロイーズをホテルの本物の住人にするために不可欠なことだったの。不思議だけれど、今まで行ったどこよりもこのホテルに溶けこんでいたと思う」と語る。また、何物にも心動かされる事が無いというエロイーズの性格を際立たせるため、あまり目立たない外見を作り上げていった。

「似合わない服とか、全然良くないと思う服をわざと探したの。可愛いと思った服は捨てたわ。一番気味の悪い服だけを集めたのよ」ミラの考えでは、エロイーズは着るものに無頓着で、あれば何でも着てしまう。だから、外見に全く気を配っていないように見せるため、流行の衣装は要らないと考えた。自分なりのエロイーズ像を完璧に持っているのだ。

 そんな彼女も、最近は普通の役に憧れがあるようだ。しかし、様々な役柄に挑むのは、面白いからとかスターになりたいからではなく、学ぶことが多くあるからだという。モデルとして地位を確立しているミラは、周りに迎合せず自由に仕事を選べるというメリットを生かせる立場にある。モデル、歌手、女優…。これだと思ったものには徹底的にのめりこみ、自分に磨きをかけていく。誰にでもできる仕事ではないからこそ、もっと充実した、プラスになるような役を演じていきたいという。次に彼女がどんな役に挑むのか、気になるところだ。



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