Ewan McGregor
 今最も注目されるブリティッシュ男優ユアン・マクレガーの魅力に迫る!

 本年度アカデミー賞主要2部門に輝いた『ブラックホーク・ダウン』で新境地を開いたユアン・マクレガー。英国から今最も注目される世界的スターが登場!
 1971年3月31日スコットランドの小さな町クリーフで生まれる。本名ユアン・ゴードン・マクレガー。伝統的なカントリータウンで幸福な幼年時代を過ごす。森で遊び馬と戯れ、両親や友人のためにエルビス・プレスリーの物真似をする人気者の少年だった。

 そんな彼が俳優としての道に目ざめたのは叔父デニス・ローソンの影響。『スター・ウォーズ』('77)の生き残りパイロット役を演じ、スコットランド映画の代表作『ローカル・ヒーロー/夢に生きた男』 ('83)やウェストエンドのミュージカルに出演する叔父はユアンの憧れで、ロングヘアで髭を生やしている叔父のように<普通じゃない>存在になりたかったという。
 16歳のときユアンは父親が物理学教師をしている地元のモリソン・アカデミーを離れ演劇の経験を積むためにパース・レパートリー・シアターに入る。両親は学校を離れて役者としての道に進むことを応援。その後ユアンはカーケルディで1年間、ロンドンのギルドホール音楽演劇学校で3年間、演劇コースに通った。チャンスが訪れたのは卒業直前。デニス・ポッターズ監督、英国チャンネル4のドラマシリーズ『カラーに口紅』('92)への出演が決定、演劇界での成功を約束されるかのような好調なスタートとなる。

 しかしTVドラマシリーズの主役を得たものの、その後なかなか良い役に巡り合えず、ビル・フォーサイス監督の『Being Human』('93年日本未公開)では瞬きすれば見逃しそうなチョイ役しかもらえなかった時期もあった。その後フランスで撮影されたBBC制作の3部作「赤と黒」('93)で再び主役の座を獲得。それに続いてダニー・ボイル監督作品『シャロウ・グレイブ』('95)、『ピーター・グリーナウェイの枕草子』('96)が立て続けに評判となり『トレインスポッティング』('96)で大ブレイク。『普通じゃない』('97)『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス 』('98)で一気にスターダムを駆け上がることになった。昨年はアカデミー賞ノミネート作品『ムーランルージュ』(01)に出演し、ゴールデングローブ主演男優賞にノミネートされるなど着実に実績を積み重ねている。

 私生活では95年に年上のフランス人のプロダクション・デザイナー、イヴ・マヴラキスと結婚。 現在二人の娘クララ・マティルダとエスター・ローズと共に家族でロンドンに住んでいる。昨年『ムーラン・ルージュ』で共演した二コール・キッドマンとトム・クルーズの離婚はユアン・マクレガーが原因らしいというゴシップが発生。とはいえ家族思いの彼はどんなロケでも可能な限り妻子を同伴するらしい。


■DVDでチェック!ユアンの演技力
幅広い演技力でコメディからシリアスドラマまでをオールマイティにこなす!!


■氷の接吻('99)
殺人を重ねながら縦横にアメリカ大陸を逃亡し続ける美しい殺人犯ジョアナ(アシュレイ・ジャッド)を追跡する英国諜報局の調査員アイ(ユアン・マクレガー)。アイは彼女との間に運命的な結びつきを直感し、やがて彼女の不思議な魅力の虜になる。父の面影を求めるジョアナと幼い娘の幻につきまとわれるアイのもとに、やがて警察の追手が迫る。物語は最後の舞台、雪のアラスカ。そこで思いもよらぬ結末を迎えることに…。美しい映像と共に謎めいたストーリーが心に残る。監督は『プリシラ』('94)のステファン・エリオット。

販売:(株)ソニーピクチャーズ エンタテイメント
DVD価格:¥4,700(税抜)


■『ベルベット・ゴールドマイン』('98)
70年代ロック界に新旋風を起こしたグラム・ロックを題材にした作品。消えていったひとりのミュージシャン、ブライアン・スレイド(ジョナサン・リース・マイヤーズ)のその後を、新聞記者(クリスチャン・ベール)が追跡する。ユアンはイギー・ポップをイメージにしたといわれるカート・ワイルドを演じている。監督はトッド・へインズ。アンドロギュヌス的メイクアップとステージ衣装で、現在のビジュアル系ロックのルーツともなっているグラム・ロック時代を懐かしくも興味深くも感じることが出来る。
98年カンヌ映画祭、最優秀芸術貢献賞

販売元:アミューズソフト販売
DVD価格¥5,300(税抜)


■『ナイトウォッチ』('98)
LAを舞台に美しい娼婦が次々と惨殺される猟奇殺人事件が発生。警察の必死の捜査も実らずウラをかくように犯人は殺人を重ねていく。大学院生のマーティン(ユアン・マクレガー)が恋人のキャサリン(パトリシア・アークエット)の反対を押しきってモルグの夜警のバイトについたのはその夜だった。モルグには連続殺人事件の被害者の死体が次々と運ばれてくる。そして、マーティンを襲う不可解な出来事の数々。ついに警察はマーティンを連続殺人事件の第一容疑者として追い始めたのだった…。ユアンが戦慄のショッキング・サスペンス・スリラーに挑戦!!

発売元 アミューズビデオ/東芝デジタルフロンティア
販売元 アミューズソフト販売
DVD価格¥4,800(税抜)


■『ブラス!』('96)
鉱山閉鎖に揺れ動くイングランド北部ヨークシャーの小さな街グリムリー。アンディ(ユアン・マクレガー)ら炭坑で働く男達によって結成されたこの町のブラスバンドグループ、グリムリー・コリアリー・バンドは100年の歴史を持つ、。音楽に全情熱を注ぐリーダーで指揮者のダニー(ピート・ポスルスウェイト)は、人々の活気を取り戻そうとロンドンのロイヤルアルバートホールで行われるブラスバンドの全英選手権に出場するつもりだ。しかし失業の恐怖に脅かされたメンバーたちは、ダニーと同じようには熱心に取り組めない。そこへ、生まれ故郷に戻ってきたバンド創設者の孫娘でホーンの名手グロリア(タラ・フィッツジェラルド)が入団。選手権にむけて男たちは俄然やる気を出すのだが・・・。 崩壊していくコミュニティを舞台に、音楽と共に生きる喜びと、友情に支えられた人生の素晴らしさを描く感動作。

97年ベルリン国際映画祭正式出品作品
97年サンダンス・フィルム・フェスティバル オープニング招待作品
97年東京国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門 審査員特別賞受賞
第23回セザール賞 外国映画賞受賞

発売元:アミューズビデオ/東芝デジタルフロンティア
DVD価格:¥4,800(税抜)


■『トレインスポッティング <特別版>』('96)
ダニー・ボイル監督とユアン・マクレガーが『シャロウ・グレイブ』に続きコンビを組み一躍時代の寵児となった出世作。クラブ・フリークの若者を「トレインスポッターズ」と呼ぶ流行語まで生み出した。ドラッグ中毒のレントンは何度か薬絶ちに失敗し、今日も仲間たちと麻薬に耽る。ドラッグを手に入れる資金調達のためには窃盗、詐欺、万引きなんでもやる。仕事を見つけてロンドンで真っ当な生活をしようという決心も束の間、レントンの元にはジャンキー仲間が転がり込みヤバイ大仕事を持ちかける。エディンバラを舞台にドラッグ中毒の若者たちのフリーキーな青春が描かれている。赤ん坊が天井を這いまわる禁断症状の幻覚シーンを始め、斬新でアップテンポなカメラワークは一瞬たりとも目が離せない。

発売元:アスミック/東芝デジタルフロンティア
販売元:パイオニアLDC
DVD価格:抜)\3,800


■『シャロウ・グレイブ』('94)
お洒落な共同生活を営む陽気な新聞記者のアレックス(ユアン・マクレガー)、神経質な会計士デビッド(クリストファー・エクルストン)、美人の女医ジュリエット(ケリー・フォックス)の3人。彼らは新たな同居者を募集し、ヒューゴと名乗る男を選ぶ。ところが新ルームメイトはいきなり麻薬の過剰摂取で死んでしまい、彼の部屋には大金が入ったトランクが残される。大金を自分たちのものにしようと危険な野心が芽生えた3人は、最初は協力し合って死体を埋めるのだが…。『トレインスポッティング』のスタッフが集結。英国映画ブームの先駈けとなったスタイリッシュ・サスペンス。古典的スリラー映画の素材をいかにも今風に料理してある。登場人物のキャラクターが魅力的な上、ファッションやアパートのインテリアも洒落いて、ストーリー以外の部分でも楽しめる作品だ。

発売/販売元:(株)ソニーピクチャーズ エンタテイメント
DVD価格¥3,800(税抜)


■『カラーに口紅』('92)
ユアン・マクレガーの本格デビューとなる6部構成のTVシリーズ。50年代の英国陸軍情報部を舞台にしたロマンティック・コメディ。除隊を6週間後に控え退屈な仕事に飽き飽きして毎日妄想ばかりしているミックをユアン・マクレガーが演じる。主題歌であるコニー・フランシスの名曲「カラーに口紅」をはじめ、エルビス・プレスリー、プラターズ、バディ・ホリーといった往年のロックンロール・ナンバーが全編にフィーチャー。50年代の古きよきイギリスの雰囲気が伝わってくる作品。

発売元:パイオニアLDC
DVD価格¥7,600(税抜)orレンタル


■最新映画でチェック!
ユアンが絶対に出演したいと思った『ブラックホーク・ダウン』(02)
 スコットランド出身のユアン・マクレガーだがアメリカ軍人として『ブラックホーク・ダウン』に出演。アメリカ軍のソマリアへの軍事介入時に起きた壮絶な市街戦を描いた衝撃のこの作品は、本年度アカデミー賞主要4部門にノミネートされた。

ユアン・マクレガーはデスクワーク専門だったが、怪我をした同僚の代役で出撃することになったグライムズ特技下仕官を演じる。緊迫した状況の中でも本物のコーヒーを淹れるこだわり派のインテリ軍人役は何気にユーモラス。戦場で想像と現実のギャップにとまどうグライムズののキャラクターは観客の目線に最も近い。
 「ホンジュラスの熱帯雨林へ旅立つとき、郵便でこの映画の本を受取ったんだ。それを飛行機の中で読破し、非常に感動的な実話だと感じた」マクレガーは『ブラックホーク・ダウン』に出演の経緯をこう語る。ホンジュラスへ到着してから至急にエージェントに電話を入れ『絶対やりたい作品なのでチャンスを逃さないでくれ」と頼んだという。

 帰国後ユアンは直接リドリー・スコット監督に電話で出演の意志が固いことを伝えた。英国人監督はスコットランド人のユアンにアメリカ英語を話すことを要求。「僕は子供のときからアメリカの映画やTVにどっぷり浸っていたから、それほど問題にならなかった」という。アメリカ人以外の役者のためにセットではアクセント・コーチが雇われ、ほぼ毎日セットで発音指導が行われた。『トレインスポッティング』のスコティッシュなまりは見事にアメリカ軍人のアクセントになっている。
 『ブラックホーク・ダウン』出演においてそのほかに要求されたのは軍事訓練キャンプ。それは、迫真の戦場を再現する上で必要不可欠なものだった。「最後には村に見せかけた場所で銃弾に当たらないようにする訓練を実施した。もちろん僕は銃弾を受けたけどね(笑)。でも武器訓練は貴重な経験にんった。僕らは銃を見ると“わあ、銃だ!”と思うけど、兵士たちにとって銃は、あることすら忘れてしまうような当たり前の存在なんだ。それに映画に登場する実在の兵士数名と会うこもでき、彼らの考えや記憶を知ることが非常に役立ったよ」とユアンは語る。

 アカデミー賞主要4部門にノミネートされた映画史上に残る戦争スペクタクル『ブラックホーク・ダウン』に出演し、新たなキャリアを築いたユアン。今夏公開される『スターウォーズ・エピソード2/クローンの攻撃』(02)も待ち遠しい。


■これもチェック。ユアンのあれこれ。
俳優として以外のユアンの魅力とは?
 大のモーターサイクル好きのユアンは、英国のレーシングチームに所属している。また英国ロックバンド、オアシスの大ファン。'96年のMTVビデオアワードではオアシスの演奏紹介をし、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス 』('98)撮影時には彼らの3枚目のCDをスタッフに配り歩くほど。ユアン自身、いまでも音楽の世界で活躍する夢を持ち続けているという。そんな彼が思う存分夢を投影することが出来た映画がある。デヴィッド・ボウイをモデルにしたという『ベルベット・ゴールドマイン』('98)とミュージカル『ムーラン・ルージュ』(01)だ。憧れのロックスター役を演じ、また映画の中で歌を披露したユアンは演技だけにとどまらない音楽の才能をアピールした。
 現在も時間があれば両親の住む故郷クリープを訪れるというユアン。ハリウッドでブレイクしても地元や仲間たちのことは忘れない。地元モリソン・アカデミーではレクチャーや演技指導なども行っている。まだ売れない頃にはアパートをシェアし苦楽をともにしてきたジュード・ロウ、そしてジョニー・リー・ミラーら仲間たちと共に制作プロダクション会社ナチュラル・ナイロンを設立。『ノラ』(00)では主演としてだけではなく、共同プロデューサーとしても映画と関わり、演劇の向上を目指して劇団「ナチュラル・ナイロン・シアター・カンパニー」を旗揚げした。

 またロンドンの地下鉄を舞台にした9人の監督によるオムニバス『チューブ・テイルズ』('99)では初の監督としてデビュー。ロンドンのカルチャー情報誌「TIME OUT」が「地下鉄/チューブ」をテーマにした短編小説を募集し、9人の監督がそれぞれ10分ほどの作品を競作している。ユアンの作品はその中で最もロマンチックなものとなっている。最近では叔父のデニス・ローソンと共にエディンバラで30分のショートフィルムを制作した。

 時間の許す限りチャリティに関わっているユアン。最近は悲惨な環境にあるサーカスのシロクマを救済するため、英国動物擁護チャリティPETA代表として米国内務長官にレターを提出。また成長期まで生きることが出来ない子供たちのための支援グループ、レイチェル・ハウスをサポートするなど数々の社会的な貢献を行っている。

 英国版エスクワイア誌やハロー・マガジンで行われた読者投票で「最もかっこいい男性」に選ばれたユアン。英国内ではすでにカリスマ的人気を確立している彼の俳優としての今後の活動も興味はつきないが、それとともにブリティッシュ映画をハリウッド優勢な世界に知らしめるという大きな役割と期待がかけられている。


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