Guy Pearce

 最近のハリウッドは、オーストラリア出身の俳優、女優の活躍が目覚ましい。なかでも一番注目されているのが『LAコンフィデンシャル』『メメント』で一躍脚光を浴びたガイ・ピアース。個性と演技の実力を併せ持つガイの魅力に迫ります!
 1967年10月5日イギリス生まれ。本名はGuy Edward Pearce。父は軍のパイロット、母は英語教師。3歳の時に父の任地先であるオーストラリア、メルボルン近郊の街に移住。7歳の時に飛行機事故で父が死亡するが、英国人の母親は、母国に戻らずオーストラリアでガイとガイの姉を育てた。

 11歳から地元の劇団に所属し、ビクトリア州ギーロングで舞台『アラジン』『王様と私』『オズの魔法使い』『屋根の上のバイオリン弾き』などに出演。また、10代からジムに通い始め、16歳の頃にボディビル大会で優勝。ジュニア・ミスターに選ばれる。

 翌年、高校卒業と同時にTVシリーズ『Neighbours』で4年に渡り主演を務め、オーストラリアでティーンのアイドルに。その頃から『Heaven Tonight』('90)『Hunting』('91)などの映画に出演するようになる。
(C)BUENA VISTA PICTURES DISTRIBUTION and SPYGLASS ENTERTAINMENT GOUP,LP
 94年、カンヌ映画祭で話題となった『プリシラ』でゲイの役を演じて注目を浴び、『L.A.コンフィデンシャル』('97)でハリウッド・デビュー。野心家の若手刑事エドに扮し、著名な俳優陣の中にいて見劣りしない演技力を見せて注目される。その後も『ラビナス』('99)、『英雄の条件』(00)、『メメント』(00)など、質の高い作品に出演。幅広い役柄をこなす演技で評価されている。

 私生活では、学生時代からの友人だった妻、ケイトと97年に結婚。現在もメルボルン在住である。


■出演作に観る、ガイ・ピアースの個性と魅力!



■『メメント』(00)
 全米公開時には、大胆で複雑な構成と衝撃のラストで、「何度でも繰り返して見たくなる映画」と大評判となり、リピーターが続出。数分前の出来事さえ忘れてしまうという記憶障害に見舞われた男が、最愛の妻を殺した犯人を追う異色サスペンス。特殊な状況に置かれた主人公の心理を再現するため、時間軸を解体した上で再構築された複雑な構成、そして巧みな脚本で、アカデミー賞脚本賞と編集賞にノミネートされた。監督は一躍ハリウッド期待の新鋭となったクリストファー・ノーラン。ガイ・ピアースは、この複雑な役どころの記憶障害の主人公を演じる。ロサンジェルスで保険の調査員をしていたレナード(ガイ・ピアース)は、妻がレイプされたうえ殺害される光景を目撃し、ショックで前向性健忘となってしまう。彼は記憶を消さないためポラロイドにメモを書き、体にタトゥーを刻みながら犯人の手掛かりを追っていく……。

発売元:東芝デジタルフロンティア
販売元:アミューズピクチャーズ
販売元:アミューズソフト販売
価格:\3,800(税抜)


■『英雄の条件』(00)<2002年10月31日までの期間限定生産>
 中東イエメンで起こったアメリカ大使館包囲事件。アメリカ政府の要請で大使館員救出に向かったチルダース大佐(サミュエル・L・ジャクソン)率いる海兵隊は、暴徒と化した民衆に向かって銃撃を決断。83名の一般市民が殺害され、100名以上にも及ぶ一般市民に負傷者を出す結果となった。チルダース大佐は、殺人者として軍法会議にかけられる。彼の弁護を引き受けたのは28年前、ベトナム戦争でチルダース大佐に救われた戦友のホッジス大佐(トミー・リー・ジョーンズ)だった。チルダースの無実を証明できるはずのビデオ・テープは隠滅され、アメリカ政府の威信を失墜させたこの事件の裁判は、孤立無援の2人にとって、あまりにも過酷な戦いとなる。ガイ・ピアースは、裁判の検事となる切れ者のマーク・ビッグス大佐を演じている。

発・販売元:SPE
\2,500(税抜)


■『L.A.コンフィデンシャル』 ('97)
 鬼才ジェイムズ・エルロイが描く50年代のロサンゼルス、その退廃と虚栄を見事に映画化し絶賛を浴びた作品。縄張り争いが激化する'50年代のLA。暗黒街を支配するコーエンが脱税容疑で逮捕され、ボス不在によるマフィアの抗争と思われる連続殺人が発生。街のコーヒーショップで元刑事を含む6人の男女が惨殺される事件が起こる。殺された刑事の相棒だったバド(ラッセル・クロウ)が捜査を開始。殺された女と一緒にいたブロンド美人リン(キム・ベイシンガー)に接近する。同じ頃、ベテラン刑事のジャック(ケビン・スペイシー)がマフィアの組織を追っていた。若手刑事エド(ガイ・ピアース)も事件を追い、容疑者を射殺。事件は解決したかに見えたが・・・。アカデミー脚色賞受賞作品。ガイ・ピアースは野心家の刑事役で登場。この作品で一躍脚光を浴びることになった。

発売元:日本ヘラルド映画
販売元:ポニーキャニオン
価格:\4,700(税抜)


■『プリシラ』('94) <初回限定生産>
 世代も生き方も違う3人のドラッグ・クイーン(女装のゲイ)が、オーストラリアの砂漠の真ん中にあるリゾートでショーに出演するため、プリシラ号と命名されたバスで大都会シドニーから旅へ出る。それぞれヘビーな問題を抱えた3人、毒舌の喧嘩が始まったり、遭難しそうになったりの大爆笑の珍道中。様々な出会い、別れ、挫折を通して描く、歌あり踊りあり笑いありのロード・ムービーだ。ドラッグ・クイーンたちの派手さの下の哀しさ、もろい心といった人間味溢れるテーマを、笑いと涙を交えて描く極上のエンターテイメント。華麗というよりど派手な衣装は、第67回アカデミー賞衣装賞を受賞した。アバ、ビレッジ・ピープルなどの大ヒット曲が満載なのもゲイ映画ならでは。ガイ・ピアースは、名優テレンス・スタンプ、ヒューゴ・ウィーヴィングらと共に本物のゲイと見間違える位の名演技を披露している。

発・販売元:20世紀FOX
価格:\3,800(税抜)


■新作でチェック、ガイ・ピアースの魅力

 文豪アレクサンドル・デュマ生誕200年記念を華やかに彩る『モンテ・クリスト伯』に出演、コスチューム・ドラマで新境地を開いたガイ・ピアース。

 多彩なデュマの作品の中でもひときわ評判が高く、ロングセラーとして読み継がれている『モンテ・クリスト伯』は、皇帝ナポレオンがエルバ島に流された頃の港町マルセイユとパリを舞台にした波瀾万丈の大河ロマンの傑作である。
(C)BUENA VISTA PICTURES DISTRIBUTION and SPYGLASS ENTERTAINMENT GOUP,LP
 ガイ・ピアースは、裕福な家に生まれながらも航海士エドモン(ジム・カヴィーゼル)にいつも嫉妬し、彼のものをなんでも手に入れたがる伯爵の子息フェルナンを演じている。身分の差の隔たりなく、子供時代から常に一緒にすごしてきた親友の婚約者に横恋慕し、なんとしても彼女を手中に入れるためにエドモンを陥れるフェルナン。ガイは、この映画の要となる憎むべき悪役を見事に演じている。
 圧巻は、ラストのエドモンとの決闘シーン。11歳の時にフェンシングを習ったことのあるガイは、競技会でいくつかメダルを獲得したこともあるが、「この撮影のフェンシング・シーンはそんな生易しいものではなかった。昔とった杵柄なんて関係なかったね。フェンシングはとても繊細なスポーツで、細かい部分に神経を集中しなければならないから大変な思いをしたよ」と語っている。

 10代の頃はボディビルでならしたガイにとっても、この激しいアクション・シーンは生半可じゃなかったようだ。
(C)BUENA VISTA PICTURES DISTRIBUTION and SPYGLASS ENTERTAINMENT GOUP,LP
 そのほか、最近の公開された作品では『記憶のはばたき』(01)『タイム・マシン』(02)『The Hard Word』がある。

 ハリウッドで成功してもL.A.に住むことを拒み、オーストラリアで妻とふたり、静かな生活を送ることを好むガイ・ピアース。どんなに忙しくても、毎日瞑想を実行して自分との対話の時間を持つという彼は、厳選された作品に出演することで独自のキャリアを築き上げている。ハリウッドの名声に惑わされない職人気質の優れた役者として、ますます今後の活躍に期待したい。


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