フィリップ・シーモア・ホフマン Philip Seymour Hoffman
 映画に強烈なスパイスを効かせるフィリップ・シーモア・ホフマンの魅力

 ほんの一瞬の登場でも映画の空気をさらって強烈なインパクトを残していく。今やハリウッドになくてはならない名脇役のひとりがフィリップ・シーモア・ホフマン。ちょっと太めな体型に、ふてぶてしさと繊細さが混在した雰囲気。ジャンルを問わず、様々な作品に起用されるのも納得です。いわゆる美形のスター俳優とは違いますが、熱烈なファンも多く、彼が出ている映画なら観てみよう、という人も多いよう。最近の度重なる話題作出演を見ても、今後ますますの活躍が楽しみなホフマンの魅力に迫ります。
 1967年7月23日、ニューヨーク州フェアポート出身。高校時代はレスリング部の有力選手だったが途中で演劇に目覚め、高校演劇で「マッシュ」や「セールスマンの死」の主演をつとめる。その後、ニューヨーク大学の演劇科に進学。ニューヨーク・ティッシュ芸術学校で演劇を学び、舞台俳優として活躍したのち、映画初出演作の『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』('92)で印象を残す。この作品にキャスティングされるまで、デリのキッチンで働いていたというホフマンは、「この作品の出演がなければ、今の自分はなかった」と語っている。
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 ポール・トーマス・アンダーソン監督作『ハードエイト』('96)以降、アンダーソン作品にはすべて出演。『ハードエイト』で共演した同じく名脇役のジョン・C・ライリーとはもともと友人どうしで、ともにアンダーソン作品の常連。

 ヤン・デ・ボン監督の竜巻アクション『ツイスター』('96)では狂信的な竜巻マニアの研究者、コーエン兄弟の『ビック・リボウスキ』('98)では主人に従順な秘書を慇懃無礼な上品さで演じ、芸の幅が広いのもホフマンの特徴。
 異才トッド・ソロンズ監督の『ハピネス』('98)では、言葉では伝えられないような不気味かつ不穏、それでいてどことなく切なく愛らしい男を演じてのける。おそらく、彼しかこの役を演じられる俳優はいなかったのでは、と思わせるほどの体当たり演技が印象深い。

 その後も『ブギーナイツ』('98) 、『パッチ・アダムス』('98)、『リプリー』('99)と話題作に続けて出演。『フローレス』 ('99)での歌手を夢見るドラッグ・クイーン役では主役のロバート・デ・ニーロを食わんばかりの演技を披露し、『あの頃ペニー・レインと』(00)では伝説の辛口音楽ライターをクールに演じる。レクター博士シリーズ『レッド・ドラゴン』(02)ではうさん臭いゴシップ記者役で登場。
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 とにかく言い出せば切りがないほど、様々な役を演じているホフマン。彼の出演作を観れば観るほど、その実態からはどんどん遠のいていくという、不思議であると同時に稀有な役者でもある。


■本当のホフマンはどんな人物?
 アンダーソン監督の『マグノリア』('99)での演技が評価され、ナショナル・ボード・オブ・レビューの助演男優賞を受賞したホフマン。心優しい看護士というこの役どころは、あまりにも実際の彼とはかけ離れた役が多いのを気の毒に思ったアンダーソンが、実際のホフマンに近い役として設定したもの。アンダーソンいわく、「本当の彼は心の優しい男だよ」とのこと。

 ホフマン自身も「みんな僕のことをデブと呼ぶ。それが一番簡単でわかりやすいからね。確かに僕は体の大きな男だよ。でも他にもいろいろあるだろ? なのに僕は一度も魅力的な呼ばれ方をされたことがないんだ。だから僕は誰かが自分のことを“キュート”と言ってくれるのを待ってるんだ」と“キュート”なコメントをしている。


■これからの活動は? 最新映画でチェック
「アンダーソン組」の組頭として貫禄の堂々たる演技を披露
 フィリップ・シーモア・ホフマンの新作は公開したばかりの話題作『パンチドランク・ラブ』。監督はデビュー作『ハードエイト』から『ブギーナイツ』『マグノリア』とホフマンを起用し続けているポール・トーマス・アンダーソン。お気に入りの役者を使うアンダーソンの作品には欠かせない存在のホフマンだが、この作品では『ハードエイト』のチンピラや『ブギーナイツ』のゲイの音響係、『マグノリア』の心優しい看護士とはまた違った顔を見せてくれている。どんな顔かは観てのお楽しみ。
 ロサンゼルスのサン・フェルナンド・バレー。 バリー・イーガンは相棒のランスと倉庫街でトイレの詰まりを取るための吸盤棒をホテル向けに販売している。 突然キレたり泣き出したりと、精神に問題を抱える彼の最近の関心事は、 食品会社のマイレージ特典を利用して無料で飛行機に乗ること。バリーは応募要綱のスキをつき、一生無料で飛行機旅行をするためプリンの大量買いを始める。そんなバリーがある朝出社すると、隣の修理屋へ車を預けにきたリナという女性と出会う。 実は彼女はバリーの姉の同僚で、バリーの写真を見て一目惚れしてしまい、 車の修理を口実に様子を見に来たのだった。やがて2人の仲は親密になっていくのだが……。
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■これまでの出演作でフィリップ・シーモア・ホフマンの魅力に迫る
出演作ごとに変わるカメレオン俳優ホフマンの変幻自在ぶりをチェック!
『ビッグ・リボウスキ』('98)
 人呼んで“デュード”、無職で日々気ままに暮らす彼の本名はジェフ・リボウスキ。ある日、彼の家に突然二人のチンピラがやって来る。女房が借りた借金を返せと息巻き、部屋中を荒らす彼らの所行に呆然とするデュード。彼には妻などおらず、全く覚えが無い。それもそのはず、チンピラは同姓同名の大金持ちジェフ・リボウスキと間違えたのだった。頭に来たデュードはボウリング仲間のウォルターとドニーに事の顛末を話すと、ウォルターは大金持の所へねじ込めといらぬアドバイスをする。早速、リボウスキの大邸宅に乗り込むデュード。それが、大いなる災厄の始まりだとも知らずに…。
発売元:アスミック/東芝デジタルフロンティア
販売元:パイオニアLDC
DVD価格:\3,800(税抜)
『ハピネス』('98)
 新鋭トッド・ソロンズ監督による愛と笑いと風刺がたっぷりの群像劇。アメリカのニュージャージーで育った三人姉妹。今は家庭を持ったり、仕事をしていたりと、それぞれの道を歩んでいる。だが、町の住人たちの心の闇が露呈し始めた時、彼女たちが信じて疑わなかった“幸福な日常”は少しずつ崩れてゆく。一見幸福そうに見える三人姉妹を中心に、アメリカ郊外に暮らす普通の人々の心の闇を描く。セックスレス、少年愛、レイプ願望など、性に関する屈折したテーマ、独特のブラックユーモア、そしてクセのあるキャラクター描写が秀逸。辛辣だが温かい、毒も多いが優しさにも満ちた独特な感覚の作品。
発売・販売元:タキコーポレーション
DVD価格:\4,800(税抜)
『あの頃ペニー・レインと』(00)
 1973年、たった15歳でローリングストーン誌のライターとしてデビューした少年ウィリアムは、厳格な母親に育てられ、弁護士を目指す優等生だった。姉の影響でロック・ミュージックを聴き始め、伝説的なロック・ライター、レスター・バングスと出会い、彼の雑誌や地元の新聞に掲載されたウィリアムの原稿がローリングストーン誌の編集者の目にとまる。そして彼は、ローリングストーン誌からブレイク寸前のロックバンドのツアーに同行取材する仕事を任される。そこで彼はグルーピーのリーダー的存在“ペニー・レイン”と名乗る少女と出会い、初めての恋に落ちる。
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
DVD期間限定特別価格:\2,500(税抜)
『レッド・ドラゴン』(02)
 『羊たちの沈黙』『ハンニバル』と続いたトマス・ハリス原作の“ハンニバル・レクター3部作”の1作目にあたるサイコ・スリラー。FBI捜査官ウィル・グレアムは連続殺人の捜査のため、精神科医ハンニバル・レクター博士の助言を求めていた。しかし偶然目にしたものから、犯人はレクター博士であることを知り、苦闘の末レクター博士を捕らえる。その後ウィルは現役を引退し、今は家族とフロリダで静かに暮らしていた。そんな彼のもとをある日、元上司のジャック・クロフォードが訪れ、彼に最近起きた二家族惨殺事件の捜査協力を願い出た。一度は断るウィルだったが、殺された家族の状況を知るうち、捜査に加わるようになる。なかなか犯人像を割り出せないウィルは、やむなく拘禁中のレクターのもとへ意見を聞きに出向くのだが…。
発売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
DVD価格:DTSプレミアム・エディション \3,980(税抜)/コレクターズBOX¥7,980(税抜)
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