ヤン・デボン JAN DE BONT
 ハイパー・アクションの達人の魅力を探る!

 『トゥームレイダー2』の大ヒットで、再注目されているヤン・デ・ボン監督。名前でわかるように、ヤン・デ・ボンはアメリカ人ではなくオランダ出身です。そんな彼がハリウッドで大成功を収めた経緯とは? 今回は、ハイパー・アクションの達人ヤン・デ・ボン監督の魅力を探ります!
 1943年10月22日、カトリックの家庭に14人兄弟のうちのひとりとしてオランダで生まれたヤン・デ・ボンは、10才の頃から映画に興味を持ち始め、ハイスクール時代にはすでに16ミリ映画を撮り始める。アムステルダム国立映画アカデミーに在籍していた頃は、ハリウッド西部劇や戦争映画の、アクションと感情が絡み合う表現に影響を受け、特にスタンリー・キューブリック監督の『突撃』('58)にその手法を学んだという。

 またダッチ・ニュー・ウェーブの創立メンバーとしてしばしばパリを訪れ、ゴダール監督らと交流を持ち、ドキュメンタリー作家としてプロの道を歩み始める。1970年に短編ドラマの撮影監督として、同じくオランダ出身のポール・ヴァーホーヴェン監督とのコンビをスタート。'73年『ルトガー・ハウアー/危険な愛』がアカデミー外国語賞にノミネートされ、撮影監督としての名声を確立していく。
 '81年に『プライベイトレッスン』の撮影監督を努めたのを皮切りに、ハリウッド映画に進出。'80年代後半からは、『ダイ・ハード』('88)『ブラック・レイン』('89)『レッド・オクトーバーを追え!』('90)『リーサル・ウェポン3』('92)といった大型アクション映画を手がけ、名撮影監督の地位を欲しいままにした。

 そして'94年、全編、ハイパーテンスなアクションで構成された『スピード』で監督デビュー。同作品を大ヒットに導き、一気にアクション映画の巨匠の座に就く。続く『ツイスター』('96)も、全世界で6億ドルを超える興収を稼ぎ出した。

 '96年にブルー・チューリップ・プロダクションを設立。『スピード2』('97)『ホーンティング』('99)を監督すると同時に製作にも携わった。最近では『マイノリティ・リポート』('02)の製作を手がけている。


■ヤン・デ・ボン監督の魅力を作品でチェック!

■ブラック・レイン('89)

リドリー・スコット監督が、日本を舞台にヤクザとアメリカ人刑事の戦いを描いた作品。松田優作の遺作としても知られている。ヤン・デ・ボンは、撮影監督としてハリウッド映画の視点で観る日本とヤクザを描くことに貢献している。スコット監督の緊迫するアクションと決め細やかな感情が錯綜するスタイルは、ヤン・デ・ボン監督作品にも大いに共通する点だ。改めてヤン・デ・ボン監督のカメラワークのうまさを堪能してみたい。

パラマウント ホーム エンタテインメント
価格: ¥2,500
■DVD詳細はアマゾンへ> http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000E6YSU/eigafancom-22
■スピード('94)

時速50マイル以下になると爆発する路線バスをメインに、爆弾魔とSWAT隊員の攻防をノンストップで描くパニック・アクション。ヤン・デ・ボンが、撮影監督としての経験を結集させて、秒刻みで展開するアクションを展開させた監督デビュー作。キアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックを世に送り出した功績も大きい。

「スピード ― アルティメット・エディション」
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
価格: ¥4,700
■DVDの詳細はアマゾンへ> http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000063LEO/eigafancom-22
■ツイスター('96)

スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮、脚本マイケル・クライトンという後ろ盾で製作されたヤン・デ・ボン監督2作目。CGを駆使して竜巻の驚異を描くパニック・スペクタクル。竜巻内に調査用のセンサーを送り込もうとする研究者をヘレン・ハントが演じる。なんといっても竜巻の中を飛んでくる牛のCGがみどころ。

「ツイスター ― デラックス・エディション」
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
価格: ¥3,800
■DVD詳細はアマゾンへ> http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00008Z6JI/eigafancom-22
■ホーンティング('99)

ロバート・ワイズ監督の『たたり』('63)を、ヤン・デ・ボン監督がSFXを駆使して再映像化したホラー作品。不眠症の臨床患者のアルバイトに参加するため、人里離れた豪邸”ヒル・ハウス”に集った人々。だが実験の正体は、人間の恐怖を研究するためのもので、この屋敷は地元でも有名な呪われた屋敷だった。次々と起こる恐怖体験に被験者は・・・。主演はキャサリン・ゼタ・ジョーンズ。

ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
価格: ¥2,500
■DVD詳細はアマゾンへ> http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00006RD7I/eigafancom-22
■マイノリティ・リポート(02)

フィリップ・K・ディックの近未来SFサスペンスをスティーヴン・スピルバーグ監督が映画化。ヤン・デ・ボンは製作として携わり、特撮工房ILMによって作り上げられたリアルな近未来世界を展開。西暦2054年、ワシントンDC。政府は凶悪犯罪を防ぐ策として、予知能力者によって未来に起こる犯罪を事前に察知し防御していたが、その犯罪予防局のチーフ、ジョンは自分が36時間以内に見ず知らずの他人を殺害すると予知されたことを知る・・・。主演はトム・クルーズ。

「マイノリティ・リポート 特別編」
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
価格: ¥2,805
■DVD詳細はアマゾンへ> http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00006CTJN/eigafancom-22


■最新作でみるヤン・デ・ボンの魅力!

 『スピード』でサンドラ・ブロックを、『ツイスター』でヘレン・ハントを起用したヤン・デ・ボンは、“戦うヒロイン”の演出に長けた監督だ。パワフルなヒロインがアドレナリン全開のアクションを繰り広げる『トゥームレイダー2』も、ヤン・デ・ボンのスタイルと技を集約させた作品となっている。

 常に前例のないスタントを生み出す彼は、この作品について語っている。「ララ・クロフトというキャラクターにずっと恋してたんだ。ああいうワクワクするヒロインは、監督の理想を形にしたようなものだ。加えて、才能豊かで自らスタントもこなすアンジェリーナがいる。ものすごいカードを手にしたも同然だよ」
 ヤン・デ・ボンは、世界をめぐる壮大なスケールを活かしたアクション演出に、アンジェリーナという最高の女優を得て、巨匠の腕前を最大限に発揮したエキサイティングな最新作を作り上げた。
<<戻る


東宝東和株式会社